13・67

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著者 : 陳浩基
  • 文藝春秋 (2017年9月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163907154

13・67の感想・レビュー・書評

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  • 華文ミステリにこんな作品があるとは
     2013年から1967年へ遡りながら、香港警察の頭脳・クワンの人生と、香港社会の移り変わりを描く、本格×社会派ミステリ。本格ミステリの海外ランキングNo1の評判に相応しく、各中短編それぞれに様々な技巧を凝らしています。第1話から超展開ですが、それが真価を発揮するのは、"出発点"である第6話まで読み終えた時。思わず"最終地点"である第1話を読み返してしまうでしょう。
     ベストは「クワンのいちばん長い日」。これだけ詰め込んで中短編として纏めたのは見事としか言いようがありません。次点は「テミスの天秤」。

  • 香港社会と香港警察の時代を追いながら、主人公ローとクワンの歩みを綴る社会派ミステリーで連作短編集。

    オールタイムベスト級だらけ。横山秀夫+連城三紀彦のよう。完成された警察小説、超絶トリックスターである。

    「黒と白のあいだの真実」
    あらすじだけでもうワクワクが止まらない。設定を生かしたロジック。どこに向かうか見守っていると…前代未聞の超絶ギミック。「戻り川心中」クラスである。はじめから勿体ぶらず、いきなり感情が揺さぶられる衝撃。放心状態で次の短編へ。

    「任侠のジレンマ」
    正義感の塊ロー。彼のまっすぐな若い血は、正しい道へ進んでいるのか?悩む彼に告げるクワン。構図の逆転。もはや芸術か。

    「クワンのいちばん長い日」
    作者の全部収束させたわというドヤ顏がみえる。詰め込みすぎな事件を見事な構成力でまとめあげた。脱帽。行き着く先が全く想像外だった…

    「テミスの天秤」
    読者が予想するのは、案外簡単なものである。ただ、どこまで先見できるか?全てを知った先には、胸の痛みが収まらない。

    「借りた場所に」
    短編が進むごとに社会派の一面。特に香港警察の汚職濃度が増していく。誘拐犯対警察。コンゲームものとして、傑作に値する。さらにそれ以外の価値も…

    「借りた時間」
    冒険ミステリ。ほかの作品とはまた違った感覚で、堪能。こんな作風もできるのかぁと感嘆したのも束の間、ラストにおける破壊力。全体をとおした上での、この終わりに満点以外考えられない。

    完成度でいえば古今東西の名作と肩を並べる。今後、語り継がれる海外ミステリ。発売年に読めた事はツイッターに大感謝である。


  • まず、香港現代史を遡りつつ、同時にクワンとローという2人の主人公の関係も原点に向かっていく構造が面白い。
    香港と国家との関係を考えると、第一話と最終話に何処かー脈通じるものが感じられ、また物語自体もリンクしていて、最終話が第一話の解釈を書き換えるというのもよく練られている。これは謎ときが終わったと思ったら、最後でもう一つ意外な謎が解き明かさされるというミステリーの構成にも似ている。
    各話が本格ミステリーであり、それが連なることで、別の意味を持つという点で、いくつかの違った驚きを与えてくれる。

  • 警察小説に本格ミステリーのガジェットを詰め込んだ本格推理短編集。香港の社会情勢やハードなアクションを盛り込みつつ大胆で巧みなトリック忍ばせており、どの短編も高品質。作品全体の構成もトリッキーで驚かされます。
    また、名探偵の飄々とした性格が良いアクセントになっていて堅苦しくなく読めるのも好印象。オールタイムベスト級の傑作と言っても過言ではないと思います。
    お気に入りは「Yes」「No」の答えだけで事件を解決する安楽椅子探偵ものの【黒と白のあいだの真実】と、ド派手な銃撃戦と逆説ロジックが印象的な【テミスの天秤】です。

  • しみじみと胸を打つ、素晴らしい作品だ。

    私が好きな小説を考えてみると、謎解きやトリックなどなくても、登場人物たちが生き生きと動き、彼らに心を寄せるうちにどっぷりと物語世界にひたれるような作品が大好きなことに気づいた。その物語だけでも十分なのに、さらに作者のサービス精神により、謎やどんでん返しが盛り込まれ、驚かされてしまう。その驚きは時とともに色褪せても、物語にひたった思いはいつまでも輝いている。だから、結末を知っていても何度も再読に耐えられる作品になる。
    そういう作品を私は愛している。

    この香港の傑作も、そんな作品に加えられそうだ。
    警察人としてのプライドを持ち、犯罪者を理詰めで追いかけていくクワン警視と若きロー刑事の奮闘と、強力な敵対者との息詰まる攻防の行方に手に汗を握った。
    そして、この連作短編集は、エピソードごとに少しずつ香港の歴史を遡っていき、その不条理な土地に潜む空気を描いていく。
    かつて、私も訪れたこの街の空気を思い出しながら、胸を熱くして読んだ。
    そして最後まで読んで、最初のエピソードをもう一度読んでしまった。

    きっと誰もがそうせざるを得ないだろう。

  • 後半になるに従って、加速度的に面白くなっていきます。表現(翻訳?)がまわりくどいと感じる所はありますが、それでも読み応えはあります。

  • 此れも気になる、、、

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    http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163907154

  • 【220冊目】ミクロでは「本格」、マクロでは「社会派」と筆者自身が振り返っているけれど、そのとおりだと思う。謎解きも安定感と意外性が両立していてかなり好印象。第6話目のまで読むと第1話を読み返したくなる仕掛けがあるとのことだったが、予想に反して大した仕掛けではない。けれど、そうした控えめな仕掛けが好印象に思えるほど、1つ1つの話のクオリティが高いと感じた。香港の推理小説に注目したくなっちゃうなぁ…

  • 面白かったけど、日本の小説みたいかな。思ったより中国感がないかも。

  • このミスでご紹介いただいた本、それでなかったら触れる機会はなかったけれど、これはすごい!!
    中編集。逆時系列で。

    まさか、最後にこの人がこうなって!この人が?!

    あんまりびっくりしすぎて文章組み立てられずに。

    読み終えてしまって残念。
    もっともっと 読み続けていたかった。

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