裏切りのホワイトカード 池袋ウエストゲートパークXIII

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163907192

感想・レビュー・書評

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  • 2016年を舞台にした物語。

    ポストートゥルース
    ある海外の辞典出版社が2016年を代表する言葉に選んだ。嘘でもデタラメでも話題を呼んで数を集めれば勝ち、
    大衆に受けるのなら可能不可能は問わないという意味らしい。

    トランプ大統領就任に関して多く用いられた用語のようですが、
    一般市民の日常生活にもひそんでいるような。。。


    この1冊にその年の特徴が集約されているようで、
    毎年読みたいなと思います。

    ネットの晒し上げ ドラッグ 心霊詐欺 偽造カード詐欺
    の4編でした。
    2016年ってそんなことが事件になってた年だったのかな。

    毎度のこと、ネット問題は必ず組み込まれています。
    もうネットから切り離す生活は無理ですよね。
    まだ今年のIWGPシリーズは読んでいませんが、
    もっと深刻な内容な気がして怖いです。

    帯には、
    フェイクだらけの時代、真実は自分で見極めろ
    と書かれています。
    今後もっともっとフェイクなのか真実なのか見分けるのが難しくなりそう。


    今回も時事問題たっぷりで面白かったです!

  • 別れた妻が付き合っている男に虐待されている息子を救おうとした父親が、逆に虐待疑惑をかけられネット上で炎上する『滝野川炎上ドライバー』、悪い男と付き合って変わっていく母親を心配する女子中学生の話『上池袋ドラッグマザー』、マコトの友人ゼロワンの不思議な夢を追うことから始まったスピリチュアルな話『東池袋スピリチュアル』、そして沢山の人員を集めている怪しげなバイトを探る『裏切りのホワイトカード』の四編。


    『滝野川炎上ドライバー』では、トオルの言葉が泣かせます。「ぼくはずっとがまんしようと思ってたんだ。お母さんがいっしょにいたいという人だから。でももうがまんしない。あの人はぼくだけでなく、昨日の夜、お母さんまで定規で叩いた。もうがまんできないよ」母親の幸せを思って我慢する子ども。
    それを知った父親が虐待した男に話をつけにいこうとする時、マコトの母がかけた言葉がいいです(笑)
    「このうちにある得物はなにをもっていってもいいよ。でもね、ジュンジくん、とどめだけは刺さないようにね」

    『上池袋ドラッグマザー』では、マコトに依頼する女子中学生のマイがいい娘です。
    シングルマザーで精一杯自分を育ててくれている母親が最近変わってしまったことを心配し、マコトに相談にきたのです。お昼を抜いて貯めた四千円を握りしめて—。
    愛情が確かにあるのなら、踏みとどまってやり直せるのだと思いました。マイちゃんのためにも。

  • ちょっとした皮肉っぽいマコトのフレーズとか、
    味わい深い。
    タカシとの何度もある電話のやりとりとかも
    毎回工夫をこらしていて、二人のコンビネーションというか仲の良さを感じて、楽しい。

  • ほんま安定しておもしろいなやっぱり・・・毎回めちゃめちゃ印象に残るわけじゃないけど、さっと読めるしおもろい。エンタメ小説!って感じ。毎回クラシック聴きたくなるけどぜんぜんわからんわからー

  • 何個か前は飽きたかな、と思ったけど今回はそうでもなく、さくさくっと楽しめて安定感もあった。
    ひさびさにサルが出てきたのがうれしい。

    炎上問題が一番身近なだけに入り込めたなぁ。

    2018.1.12

  • 街の風景は変わり、アイテムも、犯罪の傾向も変わるけど、マコトはそのまま~女の連れ子に虐待を繰り返す司法書士は連れ子の父に糾弾される前に宅配ドライバーをネット上で糾弾。女子中学生はデパートの経理として働く母親が男に振り回されて覚醒剤を使っているのを止めさせたい。エフワンからの依頼で調査した本物の霊能を持つ女子大学生がサイキックサイトにスカウトされるのを厭がっている。千の単位で出し子を求めている奴からギャングをどう守るか~いつものペース。恋愛モノなんか止めれば良いのに…ついでにテレビ出演も止めたら良いや

  • 久々に読んだシリーズ第13弾。やっぱり大好きだ。
    滝野川炎上ドライバーは最近やたらよく聞く胸糞悪いクソ男とそれを守る男の話。
    上池袋ドラッグマザーも、変わってゆく母を守ろうとする娘の話。
    東池袋スピリチュアルは、少し毛色が違うけどこれも今風な霊的な話。
    裏切りのホワイトカード、現代の代表的な詐欺ケース。
    表題作にそこまでインパクトがなかった気がしたけれど、相変わらずのスピード感と爽快感と、なんといっても読みやすさ。
    真実は自分で見極めろ。

  • IWGPシリーズ13弾。
    滝野川炎上ドライバー DVをテーマ。
    上池袋ドラッグマザー ドラッグに引っかかったシングルマザー。
    東池袋スピリチュアル 霊能者とゼロワンの話。
    裏切りのホワイトカード カード詐欺の話。
    その時代に合わせて事件を描くのは作者ならでは、さすがです。

  • 目次
    ・滝野川炎上ドライバー
    ・上池袋ドラッグマザー
    ・東池袋スピリチュアル
    ・裏切りのホワイトカード

    4編の短編のうち、子どもが親を守ろうとする話が2編。
    これが現代なのかなあ。

    シングルマザーがDV男に引っかかって、子どもが暴力を振るわれてしまう話と、シングルマザーが覚せい剤の売人を恋人にしてしまい転落していく話。
    社会的弱者という意味でシングルマザーにしているのだろうけれど、両親が揃っていたって崩壊していく家庭はある。

    マコトやタカシの活躍をドラマチックに盛り上げるためにページを費やす分、登場人物は紋切り型になりやすい。
    顔の見えない相手を「親として失格だ!」と糾弾するのはたやすいけれど、実は身近に育児放棄をしている人を知っている。
    顔が見えてしまうと、人それぞれ事情があるのだ。
    軽々に糾弾なんてとてもできない。

    などと考えながら読んでいたので、ちょっと辛い部分もあったけれど、久しぶりにサルが出てきたの!
    一瞬にして妻夫木くんの顔が浮かびましたよ。懐かしい。
    北東京一のハッカー・ゼロワンも久々の登場。

    作者が本気でシリーズを繋げていこうとする姿勢が感じられる。

    あと、マコトが暇つぶしに読んでいたよく知らない作家が書いているエロい小説って、「娼年」だよね。
    笑っちゃった。

  • 8

著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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