くちなし

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著者 : 彩瀬まる
  • 文藝春秋 (2017年10月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163907390

くちなしの感想・レビュー・書評

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  • 初読み作家。短編集。全7編。
    第158回(2017年下半期)直木賞候補作品。
    不思議な世界観を織り交ぜ、愛を描く。ファンタジーとかSF的な要素も含め、幻想的な感じに仕上がっている。美しいことだけではなく、醜くもある感情を繊細に綴っていて、心の奥に問いかけてくる。現実的な設定ではないが、読み易かった。

  • 大好きな彩瀬まるさんの新刊ということで購入。
    帯を見て本作が今回の直木賞候補になっていることを知りました。

    初っ端から別れることになった不倫相手の腕を外して貰う、という場面があって面食らったのが正直な感想。
    ファンタジー系があまり好きではなかったから、読みきれるか不安になった。

    「愛のスカート」「茄子とゴーヤ」の二作が良かった。
    人生まだまだいろんなことがある。これからだ、と勇気づけられるような。
    そして共通してるのはこの二作は現実志向であるということ。
    独特の世界観にハマればきっとすごく評価できると思うけれど、私には少しズレていた。

    一番最後の「山の同窓会」は一生結婚もせず、子供も産まないと決めた自分のような人は異端、と言われているような…何とも言えない歯がゆさがあった。

  • 今まで読んだ彩瀬さんの本の中でも群を抜いて美しい。今年出会った作品の中でも一番好きだと言える、妖しさと美しさを兼ね備えている短編集。どれも幻想的で、一見感情移入できないようなありえない設定ばかりのようにも思えるけれど、読み進めていくうちに主人公の女性たちの感情が自分に流れ込んでくるような心地。人間の汚い塊をこの人はなんて綺麗に書き上げるんだろう、と何度ため息が出たことか。愛は美しいだけじゃない。おどろおどろしくもあり、醜くもあり、ときには人を怪物にしてしまうこともある。それでもそんな恐ろしい感情を繊細に綴っているのが『くちなし』のすごいところだと思う。
    『くちなし』や『薄布』は読んでいて、設定がどこか川端康成の『片腕』や『眠れる美女』に似ているなぁと思った。文章に現れる危うさを孕んだ冷たい愛情も、どこか似ていて好きだ。けれど七篇の中でもっともお気に入りなのは『愛のスカート』だった。七篇の中でももっともリアルで現実世界に近い。それぞれの登場人物の実ることのない、一方通行の愛情なのに、最後は読者の心すらも救ってくれるトキワのセリフが心にいつまでも残っている。

  • 10年間の愛人関係にピリオドを打った時、彼が最後の贈り物に選んだのは自身の左腕だった―――。

    こんな衝撃的な展開で始まる本作は、奇想の色合いが濃いファンタジックな短編集です。
    自身の体の一部をパーツのごとく外すことができる表題作「くちなし」を始め、カマキリのように女が夫を食べてしまう「けだものたち」、ウミガメをモチーフにしたと思われる海獣変身譚の「山の同窓会」など、多くの作品でちょっと不思議な世界を体験することができます。
    個人的に一番好きなのは、体内に侵入した虫が人間の恋愛感情を操る世界を描いた「花虫」ですね。

    私自身、こういう作品はこれまであまり読んでこなかったのですが、結構楽しめました。
    例えば川上弘美さんもかつて蛇が変身する話を書いていましたが、あれよりはエンタメ寄りで分かりやすいです。
    最近であれば三崎亜紀さんあたりが描きそうな世界ですかね。

    このようなファンタジックな話で纏めた一冊なのかと思いきや、「愛のスカート」「茄子とゴーヤ」は普通のリアリズム小説でした。
    これは本作があくまで「愛」について描いた作品集であり、ファンタジー的な設定は手段であって目的ではないのだという作者の意思表示と読み取りましたが、私にはバランスが悪いように思えました。
    この2本の出来が悪いということではないのですが、やっぱり全部奇想小説で揃えたほうが良かったのではないかと。

    とはいえ、予想以上に面白かったので、彩瀬さんの他の作品も読んでみたいと思います。

  • 短編集。
    どのお話も独特の世界観で、なかには分かりにくいものもあったけど、どれも人の奥深くにあるざらりとしたものと、その裏側にあるかのような官能的なものが、ひしひしと伝わってくる。

  • 18/01/07 (1)
    今年一冊目!表紙が不穏なかんじで落ち着かない。どの話も静かで不安で不思議な感覚。いきなり腕をぴりぴりとちぎるって描写にひえーと思いつつ読む読む。

    P7
     もうだめなんだ、とアツタさんに言われた。いつかはくるだろうな、そうだろうな、とは思っていた。だけど実際に言われたら想像よりずっと悲しくて、アツタさんのいない生活がいやで、両目からだらしなく涙があふれた。(くちなし)

  • 愛情と憎しみは表裏一体であるとよく言われる
    そのどちらもを失ったら人間はただの抜け殻となり
    価値のないものになるのかもしれない

  • 独特の世界観が漂う、愛にまつわる短編集。不思議で少しグロテスク。暗い感じの川上弘美だと感想を書いている人がいたけれど、そう!それ!!と思わず激しく頷いた。

  • やんわりとSF、ほのかにエロティック、静かに狂気をはらむ短編集。
    表題作「くちなし」、川端康成を挙げる人も多いけれど、村上龍を思い出した。好きだった人の左腕の物語。それだけならロマンティックなんだけど不倫相手の妻の腕を愛玩するあたりで怖ろしさの質が変わる。

  • 第158回直木賞候補作

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