飼う人

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著者 : 柳美里
  • 文藝春秋 (2017年12月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163907703

飼う人の感想・レビュー・書評

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  • 登場人物たちには、不在の家族がいたり、信頼していた人を失ったばかりだったりします。その現実を直視しない、もしくは埋めあわせに、幼虫やウーパールーパー、カエル、アロアナなどが各家庭で飼われていったのか。犬猫と違って、短期間で変体したり、寿命が長くない生き物ばかり。お話もスピード感のある登場人物たちの身辺の変化を描いているので、飼われている生き物の様子と並列で見守るような本の読み方になりました。

  •  わたしはわたしでない見ず知らずの他人の風景の中を生きている。渡るつもりのない踏切でもカンカン鳴って遮断機が下りればブレーキをかける。チャイルドシートに朝顔の鉢をのせた真新しい電動自転車が走っていればすれ違う時に自転車の女の顔をみる。両足をアスファルトに下ろして振り返る。子どもというと女の子である。女の子が生まれるまで何人だって産む。

    『裏道には信号がない。自転車を漕ぎ出す時、わたしは子どもじみた験を担ぐことが多い。たとえば今日は、一度もブレーキをかけずにスーパーマーケットの駐輪場に到着できたら、何かいいことが起きる──。』16頁

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飼う人の作品紹介

さまざまな生き物を飼いながら、人間たちはなぜ生きるのか?この世界のリアルを、柳美里が描く。戦慄の連作小説集!夫との生活に疲れた中年女は、家にいた毛虫に「トーマス」という名前をつけて飼うようになった。トーマスへの愛着が深まることで、なじんでいたはずの夫が、いままでとは違って見てくる。夫の本心とは何か。夫の好きなものは何か。夫は何に関心があるのか。夫は何も関心を持っていないのか。わたしは夫の何に関心があるのか。何もないかもしれない。わたしは自分に対しても、関心を持つことができない。どうしてこんなことになってしまったんだろう。何がいけなかったんだろう。疲れた。ほんとうに疲れた……。中年女のリアルな心情を細密に描く――「イボタガ」ウーパールーパーに「アポロ」という名前をつけたコンビニで働く青年の話――「ウーパールーパー」シングルマザーの母親との軋轢にもめげず、健気に生きていこうとする少年の話――「イエアメガエル」「トーマスは羽化しませんでした」という謎のメッセージを残して、妻に去られた中年男の話――「ツマグロヒョウモン」。

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