政官攻防史 (文春新書)

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著者 : 金子仁洋
  • 文藝春秋 (1999年2月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166600274

政官攻防史 (文春新書)の感想・レビュー・書評

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  • 『小説 吉田学校』の中で、河野一郎が吉田茂の文句を言うときに次のようなセリフを吐く。「だから官僚に政治を任せちゃいかんのだよ」党人派と官僚派の抜きがたい反目である。           

    本書は、戦前の「政vs官」の熾烈な争いを軸にして、「なぜ官僚組織が出来上がったのか」「なにゆえに官は力を持ちえたのか」といったテーマを論じている。

    明治期において、「官」とは山県有朋率いる藩閥官僚だった。この「官」が立ち向かった「政」とは自由民権運動である。そして帝国憲法が発布され政党政治が始まった後に、官僚たちは政治家たちに失望する。「奴らにこの日本を任せてはおけない」

    その逆風の中で、政党政治は着々と力をつけ、それに比例して「官」も様々な分野へ力を伸ばしていった。特に、軍官僚の力は強大になるのだが、その力は自家中毒として大戦へと突き進む。
                   
    《読後感》
    書庫の整理をしていたら出てきたので、久しぶりに読んでみたが、やはり面白い。Amazonでは既に絶版となっているが、これはお勧めの書。

  • 戦前における政と官の攻防をまとめている。政といっても、戦前で純粋に衆議院議員から首相となったのは三名しかおらず、残りは全て藩閥元勲、華族、軍人。内閣も政側とは言えなかった。元勲達は平民を維新当初から政治に参加させるべきとは考えていなかった為、議会側が力をつけて政権をとるまでには長大なドラマがあったのだ。検察という司法官僚の台頭や、官の利益を損なおうとしたものは殺された等、多少陰謀史観的ではあるが、歴史を扱っているので今尚興味深く読むことができる。星亨や原敬の人物評価も教科書では知り得ない有意義なものと思えた。

  • 明治以来の日本の統治は政と官の攻防の歴史である。
    本書は、「日本の官僚主義はいかに形成されたのか」、「それは将来どうなっていくのか」を明治以降の歴史を辿りつつ考えるのが目的であるという。

    藩閥政治から始まる政と官の攻防史は圧巻である。当初の官とは維新の元老である山縣有朋を中心とする藩閥官僚でり、自由民権を求める政との間で攻防を繰り返した。やがて軍官僚が台頭し、政党と攻防を繰り広げることとなる。
    戦後、政党政治家の公職追放の影響もあり、官出身の政治家により政官複合体となる五五体制が成立し、官がやりたい放題できる舞台が整えられたという。

    感想としては「日本の官僚主義はいかに形成されたのか」については戦後の記述が乱暴な気がする。著者によると官の巧妙な手口により、官の有利な体制となったというが、官の定義が曖昧である事もあり、考え方が飛躍しているように思われる。また「それは将来どうなっていくのか」という点については明らかに記述が不足しており弱い。

  • [ 内容 ]
    明治以来の日本の統治は、「政」と「官」の攻防の歴史である。
    「藩閥官僚」に始まる「官」のエトスは、今に到るも明治以来の超然主義、「政」不信である。
    これに対して「政」は絶えず挑戦し、絶えず敗れて来た。
    そして軍・検察官僚がついにこの国を征圧した後、「官」は自家中毒を起こし、敗戦を迎える。
    そして戦後、五五年体制によって「政」を征圧した「官」は、再び静かな崩壊、自家中毒を起しはじめた。

    [ 目次 ]
    序章 「政」と「官」
    第1章 前史―超然主義の誕生
    第2章 星亨の挫折
    第3章 猟官―隈板内閣の夢
    第4章 山県有朋vs.星亨
    第5章 暗殺―追いつめられた「官」
    第6章 原敬の時代
    第7章 逆転―新官僚の時代
    第8章 五五年体制への道
    終章 「無党派」は「官」党である

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