幼児教育と脳 (文春新書 54)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166600540

作品紹介・あらすじ

人の親なら誰でも、自分の子どもが明るく元気に、そして愛情深く聡明で個性的な人間に育ってほしいと願っているだろう。そういう子どもたちが増えることこそが、日本の、いや、世界の未来にとって、とても大切なことだ。しかし、現状は逆のように見える。なぜか?そして、どうしたらよいのか?その答えは「幼児脳教育」にある。

感想・レビュー・書評

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  • もうすぐ4歳になる長男が落ち着きがないため、子育てのヒントを得るために購入。
    ホンマでっかTVの澤口先生。

    内容はかなりアカデミック。
    4章辺りが実生活に役立ちそうです。

    流し読みしたので再読予定。

  • 幼児脳教育の基本的なことを、人類の脳の進化の過程から説明した本である。やや専門的な用語もあるが、全体的に平易な文章と例示による説明によって、専門外の人にとっても大変分かりやすい。
    著者も本書で言っているように、巷には親の欲目や見栄のためとしか思えないIQに偏った英才教育が氾濫している。著者はIQだけを伸ばすようなIQ重視の英才教育を否定し、PQフレームを発達させることが重要だと説く。自我と社会的・感情的知性を伸ばし、社会の中で一人の人間としてきちんと生きることを目指しているからだ。そのために、PQフレームを司る前頭前野が重要であるとする。
    人間がいかに脳を進化させてきたかということから、脳教育について語っているので、説得力があり、流行や時流に流された表層的な育児や教育本に振り回されて迷走している人にはおすすめの教育本である。

    時間がない人や、専門用語がとっつきにくく読みにくいと感じる人は、第四章の冒頭に簡易的にまとめがのっているので、そこから読み進めてもよいだろう。

  • かなり古い本だが、子育て中のパパママは読んでおいて損はないと思う。
    類人猿研究、脳科学研究から、目の前の子供をどう育てるべきかまでを、京大の先生が繋げて書いた本。
    子育て本というのは、どうしても著者の生まれ育ちや自分の子育て観(思い入れと思い込み)に論調が振れてしまうものだが、著者は一応科学者で研究者なので、出来るだけ客観的かつ科学的な立場で話を進めていく。(とはいえ研究もその時点で分かっていることに縛られてはいる。)
    後半で、著者のセルフオピニオンが炸裂。野に放ってやりたい放題させろ的な。それと研究や学びを愛する理知的なご両親に寛大に育てられたことに関しての感謝。
    塾や習い事に追い立てられてストレスを与え続ける教育ママゴンなんて、眼中なし。
    テレビでも有名な人になっているとは知らなかった。

  • 読み終わってから気付いたけど、もう10年以上前の本なのか。著者の研究は現在はどうなっているのかが気になる。

    内容はちょっとエキセントリックな感じのところもあるけど、本質的に言いたいことは概ね分かる。

  • 1999年刊。著者は北海道大学医学部脳科学専攻教授。所々、薄弱な根拠を根拠と断言(多妻型家族論)、あるいは多様な実態を一義的に見すぎ(例:自閉症や広汎性発達障害が先天的な要因から多様な症例に行き着くのを否定的に見る点。なお、後天的要因から生じる類似の症状を否定しないが、自閉性障害とラベリングするのは、少なくとも医学部教授として不穏当)な問題はある。が、総じて内容は合理的説明に依拠し、一読の価値あり。ただ、もって回った説明の結論が「豊かな社会的関係」の存する環境が大切、と実に身も蓋もないのは著者らしいかも。
    なお、脳、知性の説明は本書でもよいかもしれないが、著者の他の書でも代替可能。

  • 知性の形成においては、そのフレームに応じ適切な感受性期があり、幼少期における英才教育の意義や人格そのものについて、論理的に説明してくれている。今までの教育論は、経験則や論拠の欠落した表層的なものに過ぎないと著者自身も言っているが、その通り、しかし本著は確たる根拠を示してくれる。知性は過半は遺伝するし、環境による部分も、本来あるべき人間関係により、前頭前知性を育てなければ人間の要件を満たせない。

    実は、前半の脳のメカニズムに関する専門的な部分が難しく、私はこの本を2回読んだ。それで少し理解はできたか不明だが、少なくとも、この本は非常に重要な事を書いている。

    何となく最近ではテレビ向け学者の感もある澤口先生だが、凄い人である。

  • 著者の別の作品を読んで、良かったので、古い作品も読んでみたが、こちらは微妙。脳科学の部分は専門の話になり、幼児教育とか子どもの教育を考えて読んだ読者には専門的すぎて不要の話しであり、他方、教育の実践的な話のところは、あまり書いていないか、感情が爆発してしまい、支離滅裂だったりと、ちょっと残念な本である。

  • 前半部分は、脳の構造編。後半部分は、発達と教育編といった感じかな。脳の構造などは専門的ではあったけれどとても分かり易かった。何が大事で、その為こういう教育が良いというのも納得感もあった。あったけど、その結論がその当時も、さらに時間が経った今は更に用意するのが難しい環境なのはなぁ…

  • 幼児教育と脳 / 澤口 俊之 / 2012.8.23(38/117)
     人類の知性。多重であり、複数の知性が並列。
    ①言語的知性:言葉を見たり聞いたりして、それを理解し、記憶する。
    ②絵画的知性:視覚対象の形態やパターンを理解し、記憶する。海外や図形を描く知性。絵を描かせるのは好ましいこと。精神状態も分かる。
    ③空間的知性:ものがどのような位置にどのような速度や関係で存在しているかという知覚とその記憶。それに基づいて行動を組み立てる知性。積み木やサイコロが良い。
    ④論理数学的知性:数学的記号の理解とそれを論理的に操作する知性。
    ⑤音楽的知性:音楽を聴いて知覚し、理解し、記憶する。それらに基づいて歌ったり、演奏したりする知性。これを育てるには良質な音楽を絶えず聞かせるのが必要。モーツアルト、バッハがよい(IQが10ポイント上昇するデータもあり)
    ⑥身体運動的知性:からだの姿勢や運動の様子を知覚し、記憶する。それらに基づいて運動をうまくコントロールする知性。裸に近い状態で運動をさせること。
    ⑦社会的知性:人間関係に代表される社会的関係の知覚、理解、記憶。それに基づいて適切に社会的行動を行う知性。
    ⑧感情的知性:他者の感情や自分の感情を理解・記憶し、自分の感情を適切にコントロールする知性。
     上記8つの知性をコントロールする知性として、「自我」がある。多重知性フレーム。
     知能指数は60%は遺伝要因。残りは環境の影響。
     多重知性フレームの形成は、環境はその人の経験、学習によって十分に変容し得る。
     言語的知性の変容は8歳くらいまでがピークで、15歳以降減少。
     多重知性フレームの基礎をつくる上で最重要な時期としての感受性期も幼少期に集中。
     幼少期こそ徹底的かつ体系的な教育を行うべきであり、そのほうが教育効果は大きい。
     得意とする知性を見つけることが大切。それを英才教育する。どの知性が得意かは両親が何が得意なのかと関連あり。
     人の本質は遊ぶこと。好奇心を削ぐような言動・教育を極力抑える。子供の好奇心を発揮し育てる環境を積極的に用意してあげること。
     多様な環境が重要:良質の音楽、絵画、楽器、遊び道具、絵本。+野外(森林、川、海)に積極的に触れること。
     自発性:第一段階=好奇心、第二段階=目的志向性。幼児の夢を聞くクセをつけ、またいつも未来のために努力するよう導くこと。最初は小さなものでよい。こうしよう、ああしたい、という短期的な目的・夢を持たせ、そのために努力させるクセを身につけさせること。それが達成できたら、大げさがなくら褒めること。
     両親が子供の夢を聞き、伸ばす努力を怠らない。
     PQ(8つの知性をスーパーバイザーし、自分の能力を把握して、将来に向けた計画を縦、社会関係と自他の感情に理解・コントロールしつつ社会の中で前向きに生きるための知性):①将来に向けた計画・展望、夢、②自主性・主体性、独創性、集中力、③幸福感、達成感。
     子供は最低3人もつ。二人より3人の関係のほうが複雑であり、その環境の方が、PQ的にはベター。

  • 10年以上前の内容であるため、この時から脳科学研究は変わってきていると考えられるが、それでも十二分に刺激的な内容であると感じた。

    しかし、新書に求められている内容としては難しすぎる記載や、研究内容公開の省略もあり少し残念に感じられた。

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著者プロフィール

北大教授 著書に『わがままな脳』『平然と車内で化粧する脳』『モテたい脳,モテない脳』など

「2005年 『HQ論:人間性の脳科学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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