- Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166600601
作品紹介・あらすじ
研究のかたわら、手当たり次第に本を読んできた"文系"天文学者が、古今東西の文学作品をひもときながら、ユーモアあふれた語り口で身近な科学の話題を紹介する。漱石の「猫」と慣性の法則、天文好きのシェークスピアが作品に込めた皮肉、予知夢と月の万有引力の関係、定家「明月記」の天変事象の記録、「木枯し紋次郎」と「もんじゅ」の事故との関連…などなど、楽しく役に立つ科学エッセイ。
感想・レビュー・書評
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寺田寅彦のエッセイも愉しいが、あれとは少し違う味わいのあるもの。サブタイトルは<文学と科学のあいだ>
内容は次の通り。
1・マグデブルグの半球よ
2・眠れる猫、力学の法則を学ぶ
3・俺は北極星のように不動だ
4・篠懸を黄ばませる秋風と共に
5・ゆく河の流れは絶えずして
6・ほとけは常にいませども
7・お月さまいくつ 一三七つ
8・もろともに宇宙の微塵となりて
9・丑時客星出觜三度
10・地球の上に朝がくる
11・「木枯し」「もんじゅ」ろう
12・虹の女神イリスの嘆き
13・てふてふが一匹
天文学者が、もし虫眼鏡で世界を描いたらというタイトルも好いネーミング。電車の中や床の中で一章ずつ読むのが嬉しくなる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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(CELL)1階 新書・文庫
新書||404||イケ -
文学作品に表現された自然科学の描写をモチーフにした科学エッセイ集。「文学と科学のあいだに」というサブタイトルは、寺田寅彦の随筆を連想させるが、実際に寺田も本書の2話目に登場している。ユーモア(親父ギャグ?)を交えた、肩のこらない内容で、ネタのジャンルも無節操に広い(中原中也、漱石、シェイクスピア、芥川隆之介、方丈記、星の王子様、漢詩、万葉集、ローマ神話、青少年、等々)のが良い。
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『さて、虹の女神イリスは、このような地上の姿を、どのような目で見つめていることだろうか。』
天文学者が文学的切り口から事象を紐解く。これは中々面白かった。やっぱ天文学のバイアスってのは本当に魅力的だ。個人的に純文学に関しては造詣が深いわけではないのだが、本書の取り上げ方は、存外ツボにはまっていた気がする。扱われている種々のテーマもいい感じに琴線に触れそうで触れていない。こういう視点を大事にしたい。 -
この本を読むきっかけはNHK FMで毎週日曜日のお昼過ぎに放送している「日曜喫茶室」に著者の池内さんが出演されたことでした。暦に関する私の疑問で,月の構成は31日と30日で済むはずなのに,何故2月は28日と他の月よりも短くなっているのか。また年の初めは,何故今の1月1日に定まったのか がありました。この本はこれを解決してくれると同番組の他の出演者が偶然話したのです。
早速買い込んで読んでみました。その結果この本は私の第一の疑問には極めて明確に答えています。しかし第二の疑問にはカエサルは1月を「冬至に近いヤヌアリウスに移した」とあるだけで根拠が示されていません。池内さんにもう一寸突っ込んで欲しかった。