カルトか宗教か (文春新書 73)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166600731

感想・レビュー・書評

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  • カルトの見分け方、がとても分かりやすい。

  • カルトの定義やその対策を公正な視点からバランスよく書いている。
    偏っていて抜け出しにくいのがカルトの特徴と筆者は言う。
    その視点も宗教学のみならず、組織論や心理学なども踏まえて書いているので、宗教のカルトのみならず、カルト的組織への傾向と対策もつかめる良書だと思います。

  • 宗教とカルトの違いを、「かゆいところまで手が届く」感じでくまなく説明してくれて、
    今まで自分の頭の中だけで「ここがおかしいんでないか」と考えて整理してきたことが、はっきりと指摘されていてスッキリしました。
    ピンときたところに線をひいていたら、ページが真っ赤になりました。
    出会えて本当によかったです。

    何がカルトで、何がカルトでないかがイメージだけで語られているこの頃。
    カルトについてはっきりと理解を示したいなら、本書を是非読むべき!!


    ・・・・・・・・・・・・・
    ・信仰においては個人的選択がなされ、質問や疑義が容認され、個人が信仰の危機に陥ったときに援助がなされる。社会的行動は普遍的モラルの規範を越えることなく、他への信仰への寛容があり、信仰を他のいろいろな活動に応用するよう勧められ、特定の生きた人間が神のように崇拝されることはない。

    これに対してカルト的狂信では、グループが絶対的真理を擁していると見なされ、質問や疑義は拒絶される。メンバーの信仰心が衰退すると罰せられ、グループ内の法によってのみ行動を取らされ、それが社会規範に反するものでも顧慮しない。

    ・カルト内部での共同体意識は力も与えてくれる。
    それは「新しい時代を担う究極の宗教」であったり、「いつしか全世界を制覇する最強の宗教」だったりするからだ。

    ・カルトが自分を正当化するときのうたい文句
     新しさ:伝統宗教は誤りを露呈した。我々のグループは新しいものを与える。
     差異性:グループのメンバーは選ばれたものである。
     終わりのない進歩:グループ内の向上には終わりがない。どこまでも進歩する可能性がある
     イニシエーション:師にしたがって強く学べば、他の人間には隠されている秘密の智慧を伝授してもらえる。

    ・メンバーは最初誘惑されるが、結局は自分の意志でカルトを選択する。カルトが無理やり人を回心させる訳ではない。
    メンバー候補はカルトに出会ったとき、幸福感を覚え、充実して昂揚する。それまで持っていたすべての疑問に解決が与えられたからだ。

    ・メディアに取り上げられたとか、社会的地位のあるメンバーがいることなどを正当性の保証にする。


    ・伝統宗教の名を冠しているからと言ってすべて安心だというわけではない。
    カルトは宗教全体の動きではなくて、そのメンバーの一人ひとりの人間の心に生まれるからだ。

  • 105 早稲田

  • 宗教=カルトではないというのは、多少宗教を勉強した人間としては当たり前のことではあるのだけど(そしてカルトの中に非宗教が含まれているということも承知の上なのだけど)、それはそれとして、本書はややキリスト教ベースの神学目線がきつすぎて、別にキリスト教でもなんでもない自分としてはなかなか読むのが辛かった。最初の一冊としても薦めにくいけども、読みやすいさはさすが新書というところ。

  • 私達が生きていくということは、超能力がなくともこつこつ工夫して困難をその都度克服したり、病気や障害があってもとりあえず自分の周りの環境を改善したり、前世や来世のヴィジョンがなくても今の生を毎日丁寧にこなしていったり、宇宙や歴史のすべてを説明できる統一理論がなくても個々の問題を対症的に解決して行ったりするということなのだ。

    たとえ明日世界が終わりになろうとも、 私は今日リンゴの木を植える。
    マル ティン・ルター

  • [ 内容 ]
    人はなぜカルトに魅かれるのか。
    家族がカルトに入ったときどうするべきか。
    現代の病理「カルト」に立ち向かうための必読マニュアル!

    [ 目次 ]


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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 妻が、とある団体の会員と友達になった。
    一つはキリスト教系、一つは仏教系、一つは自然食品系であった。
    興味がないので放っておいたら、かの人々のホームパーティーにお呼ばれしていたらしい。
    それぞれの団体はどこかで聞いたことのある様な無い様な。。。
    こちらの本に、お誘いを受けていたキリスト教系、仏教系の団体が所謂カルトに属するものだと書いてありました。
    まだ勧誘の段階にあるらしく、皆さん至って親切だそうだ。
    身内としては妻の行動にハラハラさせられるが、この先、どの様なことが起こるのか、予め知識があるのと無いのでは大違いだと思います。
    結局、妻を伝統的な教会に誘導する事ができました。
    キリスト教がどんなものか、よく分からなかった私ですが、今では大まかながら理解出来たと思います。
    キリスト教系の充実度に比べて、仏教系は触れられる程度でしたので、少し残念。

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著者プロフィール

比較文化史家・バロック音楽奏者。東京大学大学院比較文学比較文化修士課程修了。同博士課程、パリ大学比較文学博士課程を経て、高等研究所でカトリック史、エゾテリズム史を修める。フランス在住。著書に『ヨーロッパの死者の書』『キリスト教の真実』『女のキリスト教史』(以上、ちくま新書)、『ジャンヌ・ダルク』(講談社学術文庫)、『ローマ法王』(角川ソフィア文庫)他多数。著者のホームページhttp://www.setukotakeshita.com/

「2021年 『疫病の精神史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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