- Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166600892
作品紹介・あらすじ
死刑制度を存置しているのに、世界にもまれな量刑の軽さときめの細かさ。事件の真相解明に費やされる膨大なエネルギー。検察官にのみ与えられた起訴権限、起訴猶予権限。そして、試みられるもついに根付かなかった陪審制度。-日本の「超精密司法」は、国際的にはすこぶるユニークなものなのだ。なぜこのような刑事司法制度が機能しているのか。世界の法曹界の人人との交流をふり返るなかで、日本人の「正義」観の特性、国民性を浮き彫りにする。
感想・レビュー・書評
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元検察官で国会議員になった人が書いた刑事司法の本。
刑事司法だけなのに「司法文化」とは…と思うが、刑事司法の問題点を「元検察官」の視点から書き、それを他国と比較している点はなかなか興味深い。
弁護士から刑事司法の問題点について書いた本もかなりあるので、併せて読むと立体的な問題点の把握になって良いかも知れない。
この本に対する一言を書くとすれば…
検察のことほめすぎです。検察、そんなにすごい組織じゃないですから!
検察が頑張っているのは認めます。しかし、問題点があることはおそらく自らが所属した組織なのだから分かっていたはず。そのあたりをきっちり書いておくべきだったと思いますよ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者は作家、検事経験のある参議院議員。日本の刑事法の制度やその運営などについて、英国系と比較してその背景にある思想に違いを求め、真理追求型としてその特質を指摘しています。確かに、英米の人間のビジネススタイルなんかを見ていても、日本人の宗教観云々とい指摘には思い当たる節がありますね。それから、日本で法廷小説が流行らない訳、日本の大学の法学教育(とくに刑事訴訟法など)では検察官性悪説を叩き込まれる云々、というのも頷けますね。まぁ、全面的に意見を支持するわけではないですが。
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「真実を追究する」超精密司法の国日本と「依頼者の公益を第1とする」慣例法的な海外(アメリカやイギリス)の司法のあり方を比較し、その司法精神や、そこからくる制度の違いを通し、今後の日本の司法のあり方を問う一冊。
少々難しめ。しかし世界には「正義=真実」が必ずしも成り立たないところがあるのだという事が新鮮な感じでおもしろい。
文芸春秋刊。