民族の世界地図 (文春新書 102)

制作 : 21世紀研究会 
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166601028

作品紹介・あらすじ

チェチェン人は、なぜロシアに抵抗するのか。その原因は、ビザンチン帝国を復興させようとしたエカテリーナ女帝の「ギリシア計画」にあった。また、エジプトのサダト大統領は、なぜ1981年に暗殺されたのか。その謎を解く鍵は、イスラム暦に隠されていた。世界の民族の成立、行動様式を民族地図の中でとらえ直してみると、これまでとはまったく違う世界の姿が浮かびあがってきた。

感想・レビュー・書評

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  • さまざまな分野の専門家の粋を集めた一冊。網羅的でありながら、それぞれの章の内容も深い。20年以上経った今でも楽しめる。

  • ユダヤがアメリカで始めた仕事で注目されるのが映画。それまで映画は書籍と違って貧しい人、無学な人のための次元の低い娯楽と見なされていた。だが多くの予想に反して映画産業は反映した。無声映画だった19世紀には他民族が集まるアメリカでは言葉に関わらず楽しめた。ユダヤによる映画館は全米に広がっていった。ユダヤ人は聖書が読めないことは罪にあたると考えていたので識字率が高く語学にもたけていた。また迫害、差別されていたので裕福さを表に出さないで質素な暮らしをしていいた。キリスト教徒や支配者などとの交流もなかった。

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/0000182926

  •  いやぁ〜この本は勉強になりました。世界史を理解するのも、民族問題や紛争を理解するのも地理は不可欠ですね。
     ずーと積んであった本をなんとなく手に取って読みはじめたら、とても良かった。新書といえば新しい本ばかり漁りがちですが、名著は名著です。21隻研究会の第一回の成果というのもあって、力が入っている作品です♪
     因みにこの本は2000年に発行されましたが、2006年に「新・民族の世界地図」に改訂されているようです。

  • 人種とは、わざわざ「社会的人種」とことわるまでもなく、元々が生物学的特徴と文化的特徴によって、人類を分け隔てる概念だったのである。生物学的には、ヒトは一属一種だが、人間の世界で二人以上が存在する限り、様々な事が、その時々に差別化、区別化する材料になってしまう。

  • 本書を読み終わっても民族ってよくわからない。
    同じ人種でも、言葉が、文化が、宗教が違えば民族は別になるらしい。
    時には職業で別れることもあるという。
    きわめて人為的なのだな、民族というものは。
    違いがあればどんどん細分化していくのだろう。

    反対に今はもういなくなってしまった民族もある。
    紛争の果てに淘汰されたり排除されたり、または民族同化政策や雑婚によって取り込まれてしまったり。

    だとすると、学術的な意味を除いて民族にレッテルを貼る意味があるのかな。
    日本は単一民族の国ということになっているけれど、アイヌ人と和人は異なる民族であろうことは周知の事実だ。
    単一民族とされている大和民族にだって「縄文系」と「弥生系」の違いがある。
    見た目の違いだけではなく、耳垢の湿度なんて違いもあるのに、同じ民族らしい。

    違っているから紛争が起こるとばかりは言えないだろう。
    違うことによって損得や有利不利ができるからもめるのだ。
    何とかその損得や有利不利を取り除くことができないかと思うが、既得権を手放すのは何につけても難しい。
    こんな小さな地球のどこかで、いつもどこかで争いが起きている。
    ああ、宇宙のかなたからオーヴァーロードが地球人を支配しに来てくれないかしら。
    そうしたらきっと地球上の人たちは一致団結できるはずなんだけど。

  • 2010/05/26

  • 「~の世界地図」のシリーズは、これが第一作であるようだ。
    私はこれまで「食の世界地図」や「新・民族の世界地図」を読んできた。読む順番が逆になっていたようだ。

    たしかに、刊行が二〇〇〇年だから、データとしては古いかもしれない。
    でも、この本は、なぜそこに民族紛争があるのかということを歴史をさかのぼって解き明かしていくので、それほど古い感じがしなかった。

    アイヌやロマなど、これまでにもおおよそは知っていたことも、違う内容があって、新しい発見があった。
    また、ツチ族とフツ族の話は、ほとんど知らなかったので、勉強になった。

    中国の少数民族についても、驚いたことがあった。
    少数民族は、あちらこちらに散在しているので、「自治区」となった場所でさえ、その民族は少数派であるとのこと。
    歴代の為政者の政策の結果、こうなったんだろうなあ、と思わされるとともに、民族問題の根深さが見えた気がした。

  •  「人種・言語・宗教等の違いから生まれる軋轢」だけでは語り切れない、民族紛争のワケのわからなさを解く手がかりを、ちょっとだけくれる本。
     当事国以外も介入しての利権争い。植民地支配を経て意図的に仕組まれた部族分断。土地に根付いた社会国家の確立に伴い手酷い差別と迫害を受ける流浪民族。移民ネットワークから生まれる富とそれに対する嫉妬、恐怖。同化政策に対する少数民族の抵抗、同化したらしたで生まれる嫌悪感情。…それらの果てに現状がある。
     民族を理解するとは、自分を守ること。確かに、関係ないなんて思っていると痛い目を見るのは、他ならない自分たちなんだ。

  • 海外ドラマや映画を観ていて、『?』って思うことありませんか?
    日本人には理解できない部分も含めて、この本でその謎がとけたり、物語を深く読むことができます。

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