あえて英語公用語論 (文春新書 122)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166601226

作品紹介・あらすじ

英語の専門家でもない私が、英語の本を書くことにしたのにはそれなりの訳があります。それは、英語を単に英語教育や英語行政の問題としてのみ捉えてはならない。それを、日本の世界との関係、少し大げさに言えば、日本の戦略の問題として考える必要がある、と思ったからです。しかし、その議論はまだまだ不十分です。なぜなら、英語論、英語公用語論は、なぜ提起されなければならないのか、またそれはどのような現状認識に基づき、どのような問題意識を踏まえたものなのか、を明確にしないまま議論が先行しているからだと思います。この本は、そうした議論の一助にしたいと考え、書いたものです。

感想・レビュー・書評

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  • 日本語は文化的にIdentityとして額縁に飾っておいて、金庫に入れるのではなく、みんなにその額縁をみてもらって、英語で日本語の魅力、しいては日本の良さを発信する。そして外国人だけでなく、国民の英語力を高め、日本語人に西洋語人の考え、Backbornを理解するために”あえて英語を第二公用語化”して、第一公用語は日本語にする。なかなか鋭い視点だとして読了後の余韻も心地よかった。

  • 90円購入2012-01-09

  • 英語第二公用語化を賛成の立場から論じる。

  • アメリカに占領されたときが、英語を公用語最大の機会だったかもしれない。
    占領時から順に独立的になっていこうとしているときに、 これから英語を公用語にするのは無理かもしれない。
    コンピュータ業界では英語を業界用語にすることは意味がある。
    あるいは、 官庁では、第二言語を義務付けることは必要だと思う。
      英語
      中国語
      韓国語
      スペイン語
      ポルトガル語
    が需要が多いだろうか。
    これらの言語を習得した公務員がそれぞれ10%以上を超えることを前提に、
     フランス語
     イタリア語
     ドイツ語
     ロシア語
    を選択することを可能にするのではどうだろう。

    次の参考文献があり、そちらは大変参考になった。
    アジアをつなぐ英語
    言語戦争
    所有から利用へ
    英語の未来
    地球語としての英語

    屋良朝苗回顧録
    英語教育
    英語物語
    ことばと国家
    小田誠の英語50歩100歩
    なぜ家以後やるの
    日本語よどこへ行く
    国益を損なう英会話力不足
    英語帝国主義論
    日本語は国際語になりうるか
    外国人とわかりあう英語
    バイリンガルの子供たち
    日本人の英語

  • 英語をえこひいきするから日本語ダメになるのだ……と、それは違うだろう。外国語を学ぶことで、日本語の良さを再認識することだってあるはずだ(それに、日本語だけさえもまともに話せない人だっているじゃないか)。
    確かに、英語を学ぶとすれば、その背景にある米・英の文化も吸収せざるを得ないだろう。だが、それらとどう自分の中で折り合いをつけていくのかは自由であって、ことさらそれらをデメリットとして毛嫌いする必要もないと思う(と、いうか使えたら便利だ)。
    そう思わせてくれる、オススメの一冊である。

  • ・確か水村美苗の「日本語が亡びる時」で引用されてたので、間をあけずに読んだ。千代田区立図書館にて借りる。
    ・タイトルは結構刺激だけど、内容はかなり同意できるものだった。言語の非対称性など日本語が〜にかなり通じる部分があり、説得力もある。
    ・特に手を叩きたくなるほどだったのは、オネスト・ミステークのあたり。「間違ってはいけない、粗相があってはいけないと正解を強いられる強迫観念〜」は正に実感。二重言語者の末席から常に思い周りに伝えていた事だけに、意を得たりといった気分で読んだ。10年前の本だけど古臭くは無かった。
    ・この本の正しいところは、英語をコミュニケーションの手段だとしてぶれないところ。他言語の習得はゼロサムではなく、母国語が必ずしもおろそかにならないと説くところ。別言語の習得により、自分の表現を客観視するようになる、というあたりや、言葉の意味を深く考えるようになる、というあたりは実感。
    ・さて、ならば自分の子らに早期英語教育を施すか?うーん、微妙。やはり目的(コミニュケーションの必要性)あっての言語だと思うし。でもイマージョン教育にはかなり興味を持った。

  • これなんかいつ読んだのだろう。第2公用語を英語にしようって本です。日本語と併用すると、それなりに併用のコストもかかることは認識せねばならない。
    国際的な英語の占める地位を考えれば、英語を母語としない国はそれだけでハンディを負う。
    日本人が英語をがんばって使いこなせるようになるのと同時に、日本語を習わないと得られない、日本にすまないと得られない「魅力」(社会的・経済的・文化的)を高める努力もしていかないと。
    だいたい、言語が複数混在している国は本当によりよい状態なのかなと疑問も持っている。言語は戦争の引き金にも理由にも使われたし。フランスも英語教育に踏み出したらしいからねえ。いろんな日本企業が英語公用語化に動いてるし、公用語にするって半端な覚悟や単に経済競争のためとかで決めていいものなのかどうか。

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著者プロフィール

一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長。1944年北京生まれ。法学博士。東京大学教養学部卒業後、朝日新聞社入社。同社北京特派員、ワシントン特派員、アメリカ総局長等を経て、2007年から2010年12月まで朝日新聞社主筆。2011年9月に独立系シンクタンク「日本再建イニシアティブ」(RJIF)設立。福島第一原発事故を独自に検証する「福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)」を設立。『カウントダウン・メルトダウン』(文藝春秋)では大宅壮一ノンフィクション賞受賞。

「2021年 『こども地政学 なぜ地政学が必要なのかがわかる本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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