ウィーン・フィル 音と響きの秘密 (文春新書 279)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166602797

感想・レビュー・書評

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  • クラシックの知識がなくても、面白く読めた。

  • 古き良き時代のウィーンフィル。あっさりと軽やかな演奏よりも濃厚でエモーショナルで濃厚な曲を求める向きに。

  •  フルベンが一番、ということで。
     だいぶ昔にマゼール指揮で、オーチャードに来たことがあり、偶然にも行けたことがあった。そのとき非常に感動した記憶がある。本書で、その関係性について記述があり、あんましそりが合わなかったとの話を知り、驚く。想像以上に強烈な集団。何人かのソリストは聴いたことがあったが、多くは初耳。色々知識が得られた。巻末のおすすめ盤はぜひとも聞きたい。結構図書館にある模様。

  • ウィーンフィル大好き!な著者が思いの丈を書きまくった本書。冷静な文章でも何度も何度も繰り返されるのは「一つひとつの音、一つひとつの響きにこめられた音楽的情報の量と質でなければならない筈だ」。ウィーンフィルの団員との交流や長年の鑑賞経験から響きの秘密を考察してる。その人脈や経験は素晴らしいけど、懐古主義的に感じてしまうのはどうしようもない。どこまでいっても「昔はよかった」の一点に落ち着いてしまう。なんだかなー。ティーレマンとかはいかがなんですか?て聞いてみたくなる。

  • 面白い!

    ウィーン・フィルに係るさまざまな事柄を紹介しています。

    フルトヴェングラーの指揮棒では、右手がプルプルと震えながら上がっていくのを見て、開始の音をオーケストラが感じるということが書かれていました。ベートーヴェンの交響曲第5「運命」の最初もこの「プルプル・・」でバシッとスタートしたそうです。

    先日地元の管弦楽団の定期コンサートでまさに同じベートーヴェンの交響曲第5「運命」が演奏されました。指揮者は東京でバレエ団の指揮者もつとめる有名な指揮者さん。とても綺麗な指揮をします。リズムに合わせて体全体で音楽を表現されます。その指揮者にして「ジャジャジャジャーン」を大失敗されました。オーケストラがタイミングを読むことができなかったのですね。

    田舎の管弦楽団とウィーンフィルを比較してはいけませんが、なるほど、さすが一流は違いますね。

    そのほか、指揮者のリハーサルの仕方が十人十色ということが書かれていました。さんざん批判されているカラヤンが実は素晴らしい音楽伝達能力と協調性があること。一切リハをしなくても本番で素晴らしい演奏を引き出した指揮者など、感銘を受けました。

    その他もろもろ、大変勉強になる本でした。

  • ウィーンフィルにとってのいい指揮者とは自分達の音楽に合わせてくれる指揮者らしい。

    この本で紹介されている指揮者はほとんど知らない人で、勉強不足だなと思った。

  • ウィーンフィルというと、ニューイヤーコンサートをテレビで見るのが、
    毎年の正月の行事になっています。

    シュトラウスの曲は、ウィーンフィルに限ると思います。
    出てくる人で、知っているのはベームくらいです。

    来年の信念は、この本を読みながら、局を聴きたいと思います。

  • レコード業界のプロデューサーとしてウィーンフィルの人たちとの交流のネタを書き連ねたもの。
    うわさとして信憑性の疑わしいもの、人柄がステレオタイプに描かれているなど気になるところもある。
    面白かったのは、カール・ベームがカリスマ的な人気があるのに、その影響力は現役の時のみと冷めた評価をされていること、
    帝王カラヤンと呼ばれた人だが、独裁者ではなかったらしい。やはり天才ファシリテータだったと思わせるエピソードがちらほら。「本人に気づかせる」やり方だったようだ。
    ウィーンフィルと巨匠指揮者とのエピソード。リハーサルなんてやったら手の内が全部見えてつまらないというクナッパーツブッシュ、ナチスに追われたフルトヴェングラー、
    ウィーンフィルはその地域閉鎖性がカラーを産んでいる。つまり、ウィーンの民謡うたいが揃っている。ムジークフェラインというホールもその音を作っている。奏者は他のホールでやってもムジークフェラインの音を再現しようとしてしまう。
    ピッチ445Hz を基準としているが、絶対音感を持つロリン・マゼールに気持ち悪がられたとか。
    ウィーンフィルのコンサートマスターの歴史も。
    ロゼーがクライスラーのオーディションを落とした話、
    シュナイダーハンはナチスに追われた。
    ボスコフスキーとバリリがその後。バリリは異様な練習好きだったとか。
    ワルター・ヴェラーは才能に恵まれるも、指揮者転向。惜しまれる。
    ゲアハルト・ヘッツェルの後、ライナー・キュッヒルが現在に引き継ぐ。
    「ウィーンフィルにはいくつの室内楽団対があるのですか」という質問に、楽団長時代のヒューブナーが「ひとつ。ウィーンフィル自体が室内アンサンブルが大きくなったような団体なんだ」と答えたとか。
    オーケストラに組合が発足してから、オーケストラの音は変わってしまったという。難しい問題だな。
    ヨーロッパで音色の統一のためあえて G線のみで弾いていたメロディーがアメリカの合理主義では、効率的なフィンガリングが採用されているとか。
    ショルティがウィーンフィルに音の出だしを会わせようと猛特訓して、反感を買った話。
    シャイーが振るようになってからコンセルトヘボウの音が変わってしまったのは、コントラバスの運弓がフランス式に変わったからだ?

  • [ 内容 ]
    一六〇年にわたる時代の試練を乗り越えて造り上げられたウィーン・フィルの黄金の響き―マーラー、フルトヴェングラーなど、幾多の指揮者たちとの“音の戦い”によって鍛えられたこの音色は、小沢征爾のウィーン国立歌劇場音楽監督就任によって、その歴史に新たな一頁が付け加えられようとしている。
    東と西の音楽の出会いは、どのような音と響きを生み出すのか。
    いまクラシック音楽の故郷の一つウィーンで、新たなドラマが始まろうとしている。

    [ 目次 ]
    第1章 書かれた楽譜の裏にあるもの
    第2章 フルトヴェングラーの指揮棒
    第3章 カール・ベームその光と翳
    第4章 カラヤン神話
    第5章 小沢征爾登場の意味するもの
    第6章 ウィーン・フィルの誕生
    第7章 動乱の時代を生き抜く
    第8章 黄金の響きを追って
    第9章 室内楽は音の対話
    第10章 ウィーン・フィル最後の秘密

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    [ 参考となる書評 ]

  • 全く知らない分野の本を読む。クラシックのコンサートは中学の課外授業以来縁なし。ただ、自分の知らないこうした世界観があることがわかりおもしろい。特に、近年の演奏技術の画一化の流れなどは他の分野にも同様のことが言えるのでは。

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