田中角栄失脚 (文春新書 294)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166602940

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  • 田中角栄政権の崩壊の内幕と、政権崩壊の引き金となった文藝春秋の「田中角栄研究」の舞台裏が描かれた本。

    『文芸春秋』昭和49年11月号に掲載された立花隆さんの「田中角栄の金脈と人脈」と児玉隆也さんの「淋しき越山会の女王」。田中政権崩壊のきっかけとなった2つの記事が生まれた背景や取材の舞台裏、記事をめぐる政界の動きなどが、関係者の証言をもとに書かれています。

  •  
    ── 塩田 潮《田中角栄失脚 20021213 文春新書》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4166602942
     
    19760727 ロッキード事件 田中 角栄 逮捕(誤=19760725)
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/19760725
     田中家の人々 ~ 敵と味方と家来たち ~
     
    (20151004)
     

  • 政治小説で知られるノンフィクション作家が、角栄周辺人物へのインタビューを通じて失脚の背景に迫ったもの。

    昭和末期生まれの僕にとっては歴史上の人物ですが、金権スキャンダルだけではない角栄の政治スタイルが丁寧に描写されており、前提知識なしでも読める構成になっています。

    民草を導くという使命感に囚われた超然主義の政治スタイルとは真逆で、金権、衆愚、大衆迎合と評価の分かれる人ですが、功利主義という面ではブレない生き様です。


    ◯田中は元気だったころ、「政治とは何か」と真正面から尋ねられたとき、「欲望の調整作業だ」という名台詞を口にした。国民から持ち込まれる多種多様な欲望の交通整理が政治の第一の仕事という位置づけである。もちろん欲望調整をこなす才は他の追随を許さないという自負があった。

    ◯「田中の正義」の中に、自分は民主主義の忠実な実践者という信念があった。田中は国民の望むものを実現するのが政治であるという思想を持ち続けてきた。
    国民が新幹線を望めば新幹線を敷きわ高速道路を欲しがれば高速道路を作った。利益還元政治と批判を浴びても、「それが民意」と胸を張った。この考えを人々は括弧付きで「田中流デモクラシー」と呼んだ。

  • 角栄失脚までを立花隆などの当時の動きを交えて丹念に書いた一冊なのだが、版元の関係か何かあまりにも文春礼讚しすぎな全体感が引っかかってしまった。
    立花隆のウィークポイントが、人が楽しむことを楽しめない性格、と音痴で歌が苦手という箇所がちょっとした収穫。

  • [ 内容 ]
    『文芸春秋』昭和49年11月号に掲載された立花隆と児玉隆也の「田中角栄の金脈と人脈」「淋しき越山会の女王」は、「今太閤」といわれた時の最高権力者を退陣に追い込んだ。
    二人はなぜ田中角栄を取材し、書いたのか。
    田中周辺からはどのような干渉があったのか。
    政界にうごめく魑魅魍魎たちは何をしようとしたのか。
    そして、このレポートは日本の政治と言論をどのように変えたのか。
    多くの関係者の貴重な証言をもとに真相を追求した傑作ノンフィクション。

    [ 目次 ]
    序章 昭和四十七年七月
    第1章 政治家田中角栄
    第2章 日中復交と列島改造
    第3章 落日―石油危機以後
    第4章 立花隆・児玉隆也
    第5章 「事実」の発掘
    第6章 権力と雑誌ジャーナリズム
    第7章 『文芸春秋』昭和四十九年十一月号
    第8章 政権崩壊
    終章 幕が下りて

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 月刊誌「文藝春秋」に掲載された「田中角栄の金脈と人脈」
    「淋しき越前会の女王」の2編のルポルタージュは、時の
    最高権力者であった田中角栄を退陣に追い込んだ。

    私の悪い癖なのだが、本はタイトル買いをすることが多い。
    しかも立ち読みもせずに買う。なので、本書は角さん退陣前後の
    政界の動きを追ったものだと思い込んで購入したのだが、2編の
    ルポルタージュが誕生した背景を追った内幕話であった。

    前半は田中角栄という人が政治家になり、首相になるまでを
    ダイジェストで追う。そして、途中から「文藝春秋」が記事として
    掲載する経緯になっているのだが、どちらも中途半端な感じだ。

    風聞かも知れぬが面白かったのは、事件発覚後、当時妊娠して
    いた角さんの娘・真紀子が目白御殿の2階の欄干に足を掛け
    「辞めないなら飛び降りる」と、父に議員辞職を迫ったところか。

    やりかねないな、真紀子さんなら。

    本書は少々期待外れだった。これなら立花隆の『田中角栄研究
     全記録』を読んだ方がよかったかもしれん。

    田中角栄という人は、金権政治や族議員の生みの親ではあるが
    この人ほどのカリスマ性を備えた政治家はいないのではない
    だろうか。積極的に日本を動かした政治家として、魅力的だ。

  • 無学歴で総理になったというのは言ってみればエスタブリッシュへの侵略。明治維新以来の出来事。総理になって止まっていればよかったのに、その後もキングメーカーとして君臨した。
    人のできないことをするというのは、無理をするということ。緻密で用意周到だけど、無理する。無理がたたって事件に絡んだ。私服を肥やそうと思ったわけではない。ただ自分の正義を維持しようとして無理をしたんだ。
    田中政権には、佐藤政権での田中角栄役がいなかったから自分でやるしかなかった。

  • 前半の田中角栄が失脚したところとか最後の記者の闘病生活の部分がかなしい
    田中角栄の生き方は悲しい生き方だとおもいます

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著者プロフィール

塩田 潮(シオタ ウシオ)
作家、政治評論家
ノンフィクション作家・評論家。1946年生まれ。高知県吾川郡いの町出身。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。雑誌編集者、記者などを経て、1983年、著書『霞が関が震えた日』刊行でデビュー。同年、同作で第5回講談社ノンフィクション賞受賞。著書に『霞が関が震えた日』(講談社文庫)、『東京は燃えたか』(朝日文庫)、『大いなる影法師』(文藝春秋)、『一〇〇〇日の譲歩』(新潮社)、『昭和の教祖 安岡正篤』(文藝春秋)、『日本国憲法をつくった男 宰相幣原喜重郎』(朝日文庫)、『金融崩壊』(日本経済新聞社)、『郵政最終戦争』(東洋経済新報社)、『田中角栄失脚』(朝日文庫)、『新版 民主党の研究』(平凡社新書)、『憲法政戦』(日本経済新聞出版社)、『熱い夜明け でもくらしい事始め』(講談社)、『内閣総理大臣の日本経済』(日本経済新聞出版社)、『密談の戦後史』(角川選書)、『内閣総理大臣の沖縄問題』『解剖 日本維新の会』(ともに平凡社新書)など多数。

「2022年 『大阪政治攻防50年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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