イスラーム世界の女性たち (文春新書 340)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166603404

作品紹介・あらすじ

「妻は四人まで」の男社会、ブルカのような民族衣装を強制され虐げられる女たち-。イスラームの世界を「別世界」と考えてはいないだろうか。シバの女王から現代サウジのプリンセスまで、彼女たちはいかに苦しみ、楽しみ、権力をも握り、暮らしてきたのか。中東を中心に、アッラーの教えを守りながら生きる女性たちの真の姿を描いて、誤解と偏見に満ちたイスラーム観に一石を投ずる。

感想・レビュー・書評

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  • 宗教は生活のすべてにかかわり。規律を決めている。
    イスラムの世界では今でも変わらない、男尊女卑は、なぜなのだろう?
    4人までの妻帯、法廷での証言は男の半分の価値しかないなど。
    新しい活動を始める女性は、社会に受け入れらないらしい。
    そして、女の権利を主張するために、割礼を選ぶ女性も少ないとか。

  • 読み物としてとてもおもしろかった

  • 二十年ぶりに再読。思った以上に通俗的読み物だった。参考文献のタージ・アッサルタネ「ペルシア王宮物語 ハレムに育った王女」(東洋文庫)、ケニーゼ・ムラト「皇女セルマの遺言」(清流出版)、Jean SassonのDaughters of Arabiaあたりは気になるところ。シーア派のムトアについては、この本が出たあとに、青柳かほる「一時婚(ムトア)に関するシーア派とスンナ派の論争」という論文が出ていて、論点がよくまとまっていた。チャドルの下に何を着ていてもわからない女性、貧富の差も美醜も隠すのに都合良い、逆にそれぞれ違う身なりをしている男性の方が女性から観察されているようだ、という論点および、以下のフレーズは印象に。◆ヴェールは上からの強制であれば圧政のシンボルになるが、自発的な着用であれば、時の権力者の行動に疑義をさしはさみ、必要ならば権力者に反旗を翻すときの鎧にもなるわけだ。p.131◆「宗教というのは、自分の帰属を示す一種の身分証明のようなものですが、正真正銘のムスリムを自称することは、理不尽なことは認めないということです」(ケニーゼ・ムラト)(p.177)

  • 【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】

  • シバの女王の系譜を引くイスラム世界の女性たち、パルミラの女王からチャドルの女性まで様々な女性を描くことを通じて著者の女性観を述べている。

  • 2007年刊。イスラム関連の訳書を多く担当している著者が、「女性」という観点からイスラムの特徴を解説。男女の平等という側面で叙述しようとしていたのだろうが、むしろ、高貴な女性の波瀾万丈な人生史が興味深い。8、9、10章がそれである。平等という観点では、イスラムだから不平等、というわけでもないし、逆に、イスラムだから清廉というような単純な構図ではなく、多面的。時代次第(現代だから不平等でも、10世紀ならば女性優遇ということもある)、テーマ次第(トルコの女性国会議員は日本のそれより多い)。

  • 日本は身を守るベールすらもない。

  • 『現代のイスラーム国(イスラーム教徒が70パーセントを超えているような国)のなかには、女性差別問題などとっくに卒業してしまい、トルコのように女性の首相や国会議員を出したり、専門職に女性の占める割合が日本より高い国も多い。もちろん、服装の制限などまったくない国も少なくないのだが、そういう国でも、保守的な人たちのあいだに、まだ、女性蔑視の習慣や考え方が残っている地方がある。』

    これを読んで気付いたのは、日本の遅れと、日本人の当事者意識・権利意識の弱さかな。

  • ムスリムファッションは儲かるビジネス。見られているのは男性の方。
    バルフォア宣言後に、ナリスドイツに強力してユダヤ人迫害を行っていたアラブ人は女性に変装して逃げてまわって、ヒトラーよりも30年以上長く生きていた。
    女装されてしまったら、もうわからないのは確か。

  • 宮田律氏の「中東情勢丸わかり」でも書いてあったが、私たちがイスラムと思っているものは実はふるくからの民間信仰が由来しているものであったり、そのうえにイスラムをかぶせて、さもアッラーの教えかのように解釈していたりする。むしろ、イスラムによって女性の地位は改善され、いまでは日本よりも女性の進出がさかんな国もあったりで(トルコ)、必ずしもイスラム=女性を虐げているというわけではない。旧来の社会システムや保守派からすれば、女性の進出が望ましくない(非効率である)ことをイスラムに押し込んで解釈していたが、いまは多様なイスラムを受け入れるところにきている。

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著者プロフィール

白須 英子(しらす・ひでこ)
翻訳家。日本女子大学英文科卒業。1993〜95年「エコノミスト」誌の翻訳員。主な訳書に『ナポレオン1812年』(中央公論新社)、『ソヴィエトの悲劇』『エルサレムの20世紀』(以上、草思社)、『変わるイスラーム』(藤原書店)、『アラブ500年史』『オスマン帝国の崩壊』(以上、白水社)、『イエス・キリストは実在したのか?』『人類はなぜ〈神〉を生み出したのか?』(以上、文藝春秋)、著書に『イスラーム世界の女性たち』(文春新書)がある。

「2021年 『文庫 図書館の興亡』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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