一杯の紅茶の世界史 (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166604562

作品紹介・あらすじ

かつてヨーロッパ人にとって中国の不思議な飲み物は、神秘の薬・王侯貴族のステイタスであった。英国人はやがてその茶に二つの種類があることを知る。一つは緑茶、一つはもっと深い色で、見も知らぬ南国のフルーツの香りがした。この茶を求めて、英国は国家経済を揺るがせ、戦争を起こし、ついには世界をまたぐ帝国を築いてゆく…。紅茶誕生の数奇なドラマと、その影の知られざるアジアの真実を追って各地に取材した、紅茶ファン必読の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • イギリス人がいかにして紅茶と出会い、いまに至るまで紅茶を飲み続けてきたかわかる一冊。
    ラプサンスーチョンをはじめ、それぞれのお茶がどのように飲まれてきたか知ると、どうしてそのような香りや味なのかもわかりやすい。

    嗜好品の歴史は、ヨーロッパによる搾取の歴史。もっとつらい話が多いかと思っていましたが、楽しく読めました。植民地での紅茶の栽培についても、現地の人たちだけでなく、ともに尽力したイギリスの人々(スコットランド出身が多かった印象)のドラマがある。立場は違えど、きっと簡単に支配・被支配の関係とも分けられないのだと感じます。
    紅茶(もちろんそれだけじゃないだろうし、広くとって経済といったほうがいいかもしれないが)によって、アヘン戦争やスリランカでの民族対立も始まっていたとは知らなかった。それだけイギリスにとって、紅茶は重要なものなんだなぁ。

    それにしても、イギリスでのおいしい紅茶の淹れ方として載っている話、「カップはなんでもいい」「マグカップが冷めなくていい」が衝撃的でした。水色と香りのため、ティーカップにこだわるべきだとばかり…

  • 中国の緑茶が神秘の薬としてヨーロッパ人が興味を持ち、どのようにヨーロッパへ伝わったのかが解説してあります。
    -
    何気なく飲んでいる一杯の紅茶から歴史や世界が見えてきます。
    -
    紅茶を通して歴史、食文化、経済を知れるのが面白いです。

  • タイトル通り、紅茶の来歴をたどる読み物。

    先日読んだ『砂糖の世界史』(川北稔)は、砂糖を通して世界史を読み解くスタイルの本だったが、本書は純粋にただひたすら紅茶の生産と受容の歴史を丁寧に辿った本。

    つまり、世界史ファンより純粋な紅茶ファン向けの本。

    茶の原産地の中国南部だけでなく、近代以降の主要生産地のスリランカ、紅茶文化が芽生えたイギリスと、話をひいてくるだけでなく、殆どの地に著者自身が訪問して取材しているところがすごい。
    淡々と記述しているものの、著者自身の紅茶愛と気迫を感じる一冊。

  • タイトルどおり紅茶の歴史が書いてある本。中国福建省あたりから話が始まり、雲南、アッサム(インド)、セイロン(スリランカ)、アフリカへと話は続く。主に産地の歴史と現在の様子。本全体を通して消費地であるイギリスが登場し、世界を掻き回す。紅茶だけが原因ではないだろうが、近現代の社会問題の発端も垣間見ることができる。

    まずは一回通して読んで固有名詞をおさえた上で身の回りの紅茶のパッケージや喫茶店のメニューなどに注目して、その後もう一度読むとより面白く読めると思う。再読したい本。

    前半は少し読みにくかったが後半にかけてスピードアップしていった。読みにくかった原因は漢字。読み仮名はふってあるが中国読み?に慣れてないのでなかなか頭に入らない。

    ともあれ著者が紅茶にかけた時間と労力には頭が下がる思いだった。

  • 紅茶がどのようにして生まれ、どのようにして世界へ広まっていったかが分かる本。
    たかが嗜好品、されど嗜好品。
    紅茶のために、国が動いたり、戦争が起きたり・・・
    紅茶だけでなく、チョコレート、コーヒー、スパイスでも同じようなことが怒ってきたんだろうなと、なんともいえない気持ちになる。

    でも紅茶もコーヒーもチョコレートもカレーも好きなので、そういう歴史を知った上で、ありがたくいただこうと思う。

    個人的には、リプトン氏についてもっと知りたいと思った。

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00121577

  • イギリスからの視点を中心に紅茶の歴史についてまとめている。筆者のフィールドワークに基づく知見もあり、今慣れ親しんでいる紅茶以外にも興味を持たせてくれる。

  • 紅茶の歴史をひとつずつ丁寧に読み解ける。
    紅茶が好きだから、ちょっとした紅茶ネタが増えた。

    ・アールグレイの由来
    ・茶税をめぐる歴史

  • 世界史、特にイギリスを中心とした近代史がわかる。もちろんイギリス近代史を紅茶のみで説明することはできないため、ここに書かれている歴史はあくまで紅茶から見た世界史になる。紅茶以外にもさまざまな思惑があったことは間違いない。けれどそのうえでイギリスやその他の国の人々がいかに紅茶を愛し、一途に向き合ってきたか。そしてそれゆえにと言っていいのか、紅茶をめぐって起きた歴史的(一部現代にもつながる)問題を知ると切なくなる内容だった。
    筆者に、紅茶へ生涯を捧げた人への敬意があることは間違いないだろうと思う。

  • リプトンに関する歴史が面白かった!彼の紅茶に対する工夫が今の歴史に通じているんだなぁと思いました。

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著者プロフィール

1951年愛媛県生まれ。日本の紅茶研究における第一人者。青山学院大学卒業後、大手商社に入社して貿易を覚えるうちに紅茶の魅力に惹かれ退社。28歳で紅茶専門店「ディンブラ」を開業する。スリランカなどの紅茶の輸入販売を手がけ、各地の紅茶の特長を生かした数百種類のオリジナルメニューを開発する。大ヒットした「キリン 午後の紅茶」にはアドバイザーとしてかかわり、30年におよぶロングセラーに導く。また、モスバーガーが運営する「紅茶とワッフルの店・マザーリーフ」のアドバイザーも務める。紅茶にまつわる著書は40冊を超え、講演も大人気で、多くの紅茶ファンを魅了し続けている。

「2017年 『茶楽』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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