日露戦争 ―勝利のあとの誤算 文春新書

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166604739

感想・レビュー・書評

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  • 池辺三山がこの惨憺たる令和大ジャップを見たらどんな気持ちになるんだろうか…
    池辺、夏目漱石、二葉亭は早逝すぎますよ。皆さんあと15年くらい長生きしてたらジャップも変わってただろうなぁ〜
    一方で長期政権は碌なことにつながらない。桂、安倍…

  • 日本史上、初めてナショナリズムが「発露」されたのが日比谷焼き討ち事件だろう。その事件を中心として政府とマスコミのある種の「共犯関係」により民衆が扇動されていく社会情勢を描いており、これまでにあまりなかったノンフィクションライターらしい作品で、中々読み応えがある。この歴史的事件が現代に示唆するものは多岐にわたることをあらためて思い知らされる。

  • 2005年の発行の本とは思えない。

    日記や、手記からの史料引用は私にとっては真新しいものだった。

    日露戦争を考え、伝える1つの参考図書になった。

  • 2005年刊。勝利とは程遠い日露戦争(露領は戦場にならず、ようやく五分にした感じ)。しかし、その痛い現実は国民に知らされることはなく、ジャーナリズムは仮想の勝利を煽り、講和条約反対の騒擾にまで至ったが、しかしその後、国民は醒めていった。具体的には、講和条約→日比谷焼打ち事件→全国展開→戒厳令→騒擾収束と陸軍ら凱旋に対する国民的大歓迎へと展開するが、それはわずか数か月期間内の変遷。その具体的模様を、当時の新聞・日記等から、かなり詳細に引用。事実経過が細かく具体的、特に日比谷焼打ち事件が、というのが第一印象。
    ①桂が、右翼団体を利用し、国民へのガス抜きのために騒擾化させたが、思いがけず広範かつ兇徒化した点(桂首謀者説)と、②新聞社への国家権力による圧力の実情(戦前期の報道の不自由の実相)が目を引く情報。

  • 新書文庫

  • 太平洋戦争の破滅に繋がる道は、既に日露戦争から始まっていたことがわかる。日露戦争当時の政治家、軍の指導者達は、大局を見て、判断・実行していたわけで、世論に動じず日露戦争の講和まで持っていたところが典型的な例かと。
    日比谷焼打事件を見ると、大衆の行動はあてにならないという面はあるが、政府が意識的に都合の良い戦局しか伝えて無かったという面も大きいかと。

  • 日露戦争後から日比谷焼討事件までを新聞報道をベースにまとめた本です。日露戦争の講和破棄、戦争継続と訴えるマスメディア、知識人の論説は、今の感覚から見ると滑稽そのものです。政府と報道に惑わされず、判断していくことのむずかしさを感じさせる一冊でした。

    余談ですが、この本を読んで桂太郎のイメージがだいぶ変わりました。ニコニコしているだけの人だと思ったら、結構な策士でびっくり。
    よくよく考えると、首相在職日数2886日という記録は人柄だけでは無理なので、当然なのかもしれないけど。

  • 日露戦争後の騒乱とその収束を、日比谷焼討事件と新聞に焦点をあてて描いた本。
    お上品な「坂の上の雲」の日露戦争と違い、ここに出て来る日本人は猥雑でアグレッシブ。
    政府を批判する新聞は、首相である桂太郎が戦争中に芸者を妾にしたことを二人の写真入りで徹底的に罵倒し、一方講和賛成の国民新聞は暴徒の襲撃に、新聞社員が日本刀を振り回して対抗!
    官邸も暴徒に放火され、対抗して壮士が刀を持って反撃!
    イマイチ見ていて面白くない昨今の反原発デモとは大違いである。
    今の日本人はずいぶんとお行儀が良いけど、それは昔の日本人とはずいぶん違うやりかたなんじゃないかな。

  • [ 内容 ]
    ちょうど百年前、東京は初の戒厳令下にあった。
    ポーツマス講和に反対し、日露戦争続行を叫ぶ新聞はなぜ転向したか?
    権力とメディアの抗争から読み解く、この国百年の過ち。

    [ 目次 ]
    第1章 薄氷の勝利(小村寿太郎VS.ウィッテ。ポーツマスの攻防;講和条件をめぐる駆け引き ほか)
    第2章 「帝都大騒擾」の二日間(日比谷公園の一触即発;三万人が気勢を上げた国民大会 ほか)
    第3章 戒厳令下、政府VS.新聞(帝都初の戒厳令発動;白熱した枢密院会議 ほか)
    第4章 凱旋と歓迎(英国艦隊来日、大歓迎の様相;小村寿太郎の帰国 ほか)
    第5章 エピローグ―その後の池辺三山(池辺三山と二人の文豪;二葉亭の死、漱石の大患 ほか)

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著者プロフィール

1958年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒。ノンフィクション・ライター。図書館へ通い、古書店で発掘した資料から、明治の人物、世相にあらたな光をあてつづけた。
『「食道楽」の人 村井弦斎』でサントリー学芸賞、『編集者 国木田独歩のj時代』で角川財団学芸賞、『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』で読売文学賞を受賞。
他の著書に『音のない記憶』『忘れえぬ声を聴く』『明治のお嬢さま』など。10年間で10冊の著書を刊行した。惜しまれつつ、2010年没。

「2018年 『歴史のかげに美食あり 日本饗宴外交史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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