美しい国へ (文春新書 524)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166605248

作品紹介・あらすじ

自信と誇りのもてる日本へ。「日本」という国のかたちが変わろうとしている。保守の姿、対米外交、アジア諸国との関係、社会保障の将来、教育の再生、真のナショナリズムのあり方…その指針を明示する必読の書。

感想・レビュー・書評

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  • 以前はマスコミを通して安倍さんの考えを聞かされてきたが、今回ご本人の考えを本で読み、いかにマスコミのフィルターで正しく見ていなかったがわかった。
    安倍さんは今の日本の問題点を認識し、改善しようとしっかりご自分の意志を持っておられる。
    ぜひ今回は日本人として誇れる国を築いていけるよう健康に気を付けていただきたい。

  • この本の内容に全面的に同意するわけではないけど、少なくとも安倍さんのように自分の生まれ育った国が好きで、守りたいと思えない人には国家の中枢に居て欲しくないですよね。

  • 購入したことを後悔した一冊だが、
    読んでみると普段あまり触れる機会のないトピックス、
    特に戦後の政治関連の流れを知ることができてよかった。

    靖国問題やA級戦犯について、
    欧州と米国における「リベラル」の違い、
    安保、自民党の歴史、象徴としての天皇、
    このあたりのトピックスがよかった。

    何より、日本人が日本人としての誇りを持つことの重要性を訴える部分、
    戦争のトラウマからくるナショナリズムを極端に否定する国民性に
    疑問を投げかける部分については非常に共感できるものだった。

  • 今さらながら、読みました。『美しい国へ』というタイトルなので、「美しい国」とは何かという話かと思いきや、全然そんなことはなくて、拉致問題、ナショナリズム、日米同盟、対中国政策、年金・少子化問題・教育再生という、現在の政治課題に対するスタンスが書かれた本でした。

    気になった点4つ。

    ひとつめは「「君が代」は世界でも珍しい非戦闘的な国歌」(p82)だというくだり。「あの荘厳なメロディを聞くと、ある種の力強さを感ずるのは、わたしだけではないはずだ」(p83)と言われても、困るというかなんというか。「わたしだけではない」という言葉は「お前もそうだろう」という強制を当然含んでいるわけだが、そこは感覚の問題だから、ほおっておいてちょうだいという感じだ。

    2点め。「天皇は歴史上ずうっと「象徴」だった」(p101)というけれど、とくに根拠が示されていない。「一つの家系が千年以上の長きにわたって続いてきたのは、奇跡的としかいいようがない」(p103)ということがどうやらその根拠みたいだけれど、長く続くことと、国の象徴(そもそもこの「象徴」もどういう意味で使われているのか、明確でない)であることは全然別のことのような気がするのだが。

    みっつめ。PKOへの参加がこれまで9回あったが、それによって「はたして日本は侵略戦争への道をたどっているだろうか。自衛隊が独自に戦線を拡大していくようなことをしただろうか」(p139)というくだり。当たり前の話だが、今までしなかったからといって、これからしないということの証拠にはならないのではないだろうか。同じような論法は年金問題のところでもあって、「二〇〇六年現在、国民年金の保険料は、月に一万三千八百六十円だ。今後二〇一七年まで、毎年数百円単位で値上がりしていくが、その後は一万六千九百円の水準で固定される」(p179〜180)と書いてある。でも今後法改正による負担額の変更がありえない、ということにはならないのではないだろうか。

    最後。歴史や文化を「守る」と最後に表明しているけれど、歴史学をやってる僕らには全然そういう恩恵があるようには感じられないのはなぜだろうか。歴史のどの部分が、守られているのですかねえ。まあ、「その国を守るということは・・・歴史を守ることにつながる」(p96)と表明してるから、国を守ってりゃそれで歴史も守れてるわけで、アカデミズムにおける歴史研究とかはどうでもいい、っていうことなのかもしれませんが。歴史ってそういう、固定的で今ここにあるもの、っていうイメージには違和感を感じてしまうなあ。

  • 安倍晋三元総理が凶弾に倒れた日は、一日中魂が抜けたように過ごしていました。その後、以前読んだ本書を改めて手にとって見ました。強く印象に残ったのが、靖国神社と、いわゆるA級戦犯の問題である。「日本はサンフランシスコ平和条約で極東国際軍事裁判を受諾しているのだから、首相が「A級戦犯」の祀られた靖国神社へ参拝するのは、条約違反だ、という批判がある。ではなぜ、国連の場で、重光外相は糾弾されなかったのか。なぜ、日本政府は勲一等を剥奪しなかったのか。それは国内法で、かれらを犯罪者とは扱わない、と国民の総意で決めたからである。一九五一年、当時の法務総裁は、「国内法の適用において、これを犯罪者と扱うことはいかなる意味でも適当ではない」と答弁している。また、講和条約が発効した五二年には、各国の了解も得たうえで、戦犯の赦免の国会決議もおこなっているのである。」こういった事実すら、昭和の終わりくらいまでは、新聞やテレビで知ることはなかった。一部の偏向大手メディアの非生産的な批判にひるむことなく、まさに闘う政治家として、日本のために、身を粉にして働いてくださった。総理を辞任した後は、吉田学校ならぬ、安倍学校をつくり、多くの保守政治家を育てて欲しかった。国葬も無事に終わり、私自身も区切りをつけられたので、一国民として、頑張っていきたい。安倍さんの政策や政治理念、人柄について知りたい人におすすめです。

  • 改めて考える機会になる本。
    政治家が書いた本のなかではフラット文面な印象。

    安倍さんを好きとか嫌いとか、賛同できるとかできないとか関係なしに、一度読んでみて欲しい。
    賛同する必要もないし、丸飲みにして欲しいわけではなく、読んだ上で、改めて自分で知ろうとして、自分で考えて欲しい。
    その結果がどうあれ、マスメディアや誰かの発したことを鵜呑みにすることよりかは意味があるように思う。
    そのきっかけにちょうど良い本。

  • 2006年の首相就任前、小泉内閣で官房長官をしていた頃の安倍サンによる手記。「政界の黒幕」とも呼ばれた岸信介の孫として生まれ、若くして国づくりを志した「戦う政治家」の政治信条が記されている。天皇や憲法に対する敬愛、拉致被害者や自衛隊への積極支援、日米同盟の支持・対中関係の懸念など、安倍サンの熱い思いが伝わってくる。自民党が政権を奪回して再び首相に返り咲いた直後の2013年には続編となる『新しい国へ』を出版して、その思いを一層強く訴えた。ただ少子化や教育・拉致問題など、一刻も早く解決すべきとしていた課題が今でも進んでいない部分は、野党やマスコミに突っ込まれても仕方が無いかも。7年8ヶ月という歴代最長の首相在任期間を全うした安倍サン、「そんな人たち」に負けずによく頑張りました!

  • 2006年刊。

     無内容(特に少子化とGDP増の対策開示)と建前(特に対中政策は本音隠しているんじゃないでしょうか)に彩られる書。

     色々あるが、ここまで自慢げに叙述する拉致問題はどうなったんでしょうか?と問いかけたくなる。

     そもそも①著者の原体験が、岸内閣における安保反対デモ行進を、それを迎え撃つ側として見ていたこと。この経験談を、恐怖・恐慌という観点で、本書の最初に叙述するあたりで、著者が庶民の側の目線に立って行動することはできないことを語っている。
     ②政策の参考にする人物として登場するのがサッチャーやレーガン、とまあ偏頗。プラグマティスト・ケネディすら出てこないんだから…。
     ③しかも、初等教育のバウチャー制度が格差問題解消に有効な制度と考えているあたり、子育て負担=少子化問題解消手段の見識のないことを露呈。というより、庶民の子育てを実体験・実感として把握したことはないのではないか、そんな印象ばかりが残る。
     何故、子供を産まないか、それは子育てにはエネルギーと費用が掛かるからである。では、何に金が一番掛るのか。大学や専門学校等、高校卒業後の教育費用だ。これを将来にわたり現行の3分の1にするとすれば、劇的な変貌が期待できそうなのだが。

     国家観も疑義もある。が、多様な人物で構成される国家(・歴史像で東京と京都人、北海道人や沖縄人では異質だろう。・自然観で裏日本と瀬戸内、・文化観では大阪・京都とそれ以外では異質ではないか)を一つにまとめ上げられると信じているのは能天気じゃないのか。結局、まとめ上げるために何らかの強制、誤導・誘導を招来するのでは。この疑問だけここで備忘的に残す。

  • 自分を「保守主義」と言う。高校の授業で安保反対を説く先生をうさんくさかったとけなす。日本が本当の意味で独立を取り戻すためには、占領時代に作られた憲法と教育基本法を改正する必要があるとする(実際、愛国心をうたう教育基本法にすでに改定された)。現行の憲法は、日本が二度と列強として台頭することのないよう手足を縛られているのだという。結局は、祖父、岸信介の仇を取りたいのであろう。

  • 現総理・安倍晋三の第一次内閣発足時にあわせて発行された新書。現職の総理大臣がこのような新書を出すのは極めて異例であり、当時はかなりの売れ行きがあった。時の総理が何を思い、現状をどう認識しているのかをしりたくて買った人が多かったと思うのだが…この本で書かれている内容に失望した人は多かっただろう。彼の思考を一言でまとめれば「日本大好き、祖父大好き」。時代はグローバル化が進んでいるのに、今だ「国ありき」という思考回路。経済でも環境でも「一国」だけで解決できない時代を迎えつつあるというのに。それにしても、この本で書かれていることと、国会答弁における対応があまりにも違いすぎる。この本は「俺は世間一般でいうところの『極右』じゃない」とアピールするだけに存在している?だとしたら、ネット上における評価が両極端なのも納得。

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著者プロフィール

安倍晋三(あべ・しんぞう)
1954年、東京生まれ。成蹊大学法学部政治学科卒業後、神戸製鋼所勤務、父・安倍晋太郎外相の秘書官を経て、1993年衆議院議員初当選。2003年自由民主党幹事長、2005年 内閣官房長官などを歴任。2006年第90代内閣総理大臣に就任し、翌年9月に潰瘍性大腸炎を理由に退陣。2012年12月に第96代内閣総理大臣に就任し、再登板を果たした。その後の国政選挙で勝利を重ね、「安倍1強」と呼ばれる長期政権を築いた。20年9月に持病の悪化で首相を退くまでの連続在職2822日と、第1次内閣を含めた通算在職3188日は、いずれも戦前を含めて歴代最長。第2次内閣以降はデフレ脱却を訴え経済政策「アベノミクス」を推進。憲法解釈を変更し、15年9月に限定的な集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法を成立させた。対外関係では、「地球儀 俯瞰外交」や「自由で開かれたインド太平洋」などを掲げ、首脳外交に尽力。日米豪印4か国の枠組みなど、日本の安全保障に欠かせない米欧諸国との連携の礎を築いた。2022年7月8日奈良市で参院選の街頭演説中に銃撃され死去。享年67。

「2023年 『安倍晋三 回顧録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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