- Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166605439
作品紹介・あらすじ
対日政策を"手"中に収める米国の知日派「ジャパン・ハンド」とは何者か。ワシントンでの濃密な人脈と豊富な取材を通して、日本外交の命運を握る彼らの正体を明らかにする。
感想・レビュー・書評
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対日政策を引き受けている、米国の「知日派」のことを「ジャパン・ハンド」とよぶのだそーな。米国で対日関係をリードしてきた彼らにスポットを当て、日米外交のこれまでと今後を見通してみようというのが本書。
著者は日本経済新聞の国際部に所属しているが、新聞記者というよりも「民間の研究者」といっていいだろう。で、この本のなにがスゴイのかというと、米政府関係者への「調査」をもとに書かれていること。1995年と2006年の2回にわたって著者が行った「意識調査」、回答者にはアーミテージ元国防次官補(のちにブッシュ政権で国務副長官)だとか、スコウクロフト元大統領補佐官、ジョセフ・ナイ、ウルフォイッツといった国務省・国防総省の大物政府高官も含まれている。
中国の台頭により、アジアの情勢は変化を余儀なくされている。「予見しうる将来にわたって日米同盟は続く」というアーミテージ元国務長官は、「日米中の三角関係の将来をどう見るのか」という質問について、「中国にとって、最も重要な関係は米国との関係だが、米国にとってもっとも重要な関係は中国とではなく、日本との間に存在している」と答えている。中国が経済大国、軍事大国になるにつれ、日米がますます接近するという力学が働いているというのが、現実味のあるシナリオのようだ。
アーミテージというと、イラク戦争において「ショウ・ザ・フラッグ」「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」と、日本の貢献を迫ったという印象が強い。その背景には、この戦争をてこにして、日米同盟をより強力なものにしようという意図があったことを、この本であらためて感じた。共和党はアーミテージをはじめ知日派の人材が大勢いるが、民主党は慢性的な知日派不足に悩んでいるとされる。今後、ヒラリーが大統領になるなんて展開があると、日米同盟にもまた変化があるかもしれない。
ばくぜーんとした印象しか持っていなかった日米の外交史について、キャラがわかってきてがぜん興味が深まった。詳細をみるコメント0件をすべて表示