- Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166605743
作品紹介・あらすじ
女方から男伊達まで、こぼれんばかりの「色気」で江戸の粋を立ちのぼらせる歌舞伎役者、尾上菊五郎。代々が育て上げてきた名跡「菊五郎」の芸を、七代目自身の言葉を交えて解き明かす。
感想・レビュー・書評
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菊五郎という名跡について、当代の芸、父梅幸の思い等、音羽屋の全てが詰まっています。
純子夫人や、寺島しのぶ、菊之助のインタビューも、とても興味深く読めました。
菊五郎の、粋で鯔背で色気のある芸を感じられる一冊です。
観劇前に読み返すと、より舞台を楽しめると思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
女方も立役も自在に演じ分ける菊五郎の魅力を「色気」というキーワードで追いかけた本書は、名跡の歴史をひもとき、七代目尾上菊五郎の代表的な舞台を詳しく解説することで、歌舞伎そのものへの格好の入門書ともなっている。私の菊五郎体験はNHK大河ドラマの義経役(昭和41年)からはじまるけれど、舞台を見たのは数えるほど。それでも読み進めるほどに、七代目の芸を媒介にして、歌舞伎のおもしろさ、奥深さに引き込まれてゆくようなのは、書き手の手柄だろう。
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色気とは、自分を信じること。
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現在TBS系列で歌舞伎の世界を描いた「ぴんとこな」が放映されていますが。。。
“お客さんに見てくださいと、あえて投げかけないような気がします。
やっています、がんばっていますと見えないところが上質なんでしょうね。”
“何もしていないかに見せて(中略)実はやっている。それが技術であり、芸なのだろうと思います。”
上は長女の寺島しのぶさんの下は長男の尾上菊之助さんの的確で素晴らしい父菊五郎評です。
平成二十三年六月、博多座大歌舞伎で菊五郎さんの「魚屋宗五郎」を初めて観た時、すごく自然体というか宗五郎その人にしか見えず、私自身観ていて何かリズムに乗った感じというかす~っと舞台の世界に溶け込んだ気がします。(そんな感覚初めてだったので…。)
その感覚こそしのぶさんや菊之助さんがおっしゃったことなんでしょうね。
この舞台の帰り道、あまり御贔屓ではない菊五郎さんのこの本を手に取ったのはこの舞台を観て菊五郎という人に大変興味を持ったからです。
(本を読み始めるのに諸事情により2年という年月が経ってしまいましたが…。)
もちろんこの本は菊五郎さんの「色気」をいろいろな角度から検証している本ではあるのですが、それだけではなく歌舞伎の本質を知る大変素晴らしい一冊になっています。
当然のように子や孫が名を継いでいくと思っていた世界。
けれどその名を継ぐということは並大抵のことではないことを改めて思いました。
それにしてもまだお二人ともお若いのにしのぶさんと菊之助さんの意見が的確でさすがだなと思いました。
最後に・・・
私が御贔屓だった初代尾上辰之助さん(現松緑さんのパパ)。
40歳という若さで急逝。
もし、辰之助さんがご存命であればあの魚屋宗五郎や髪結新三、め組の辰五郎などの芸は父二代松緑さんから辰之助さんを中心に継承され、菊五郎さんの芸域は狭まり女方寄りになっていただろうという件は何とも複雑でした。