空気と戦争 (文春新書)

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著者 : 猪瀬直樹
  • 文藝春秋 (2007年7月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166605835

空気と戦争 (文春新書)の感想・レビュー・書評

  • 古書店での拾い物。

  • 本書はぜひ著者の「昭和16年夏の敗戦」と合わせて読みたい本

    昭和後半生まれの者には知ることができないが、当時の様子をしることができる良書であった。

  • 「昭和16年夏の敗戦」をベースとした講義をまとめたものなので、原書を読んだ方が良いが、日本の組織における「空気」とはどういったもので、それが国家の決断にどうかかわるのか。。
    戦前と戦後をくっきり分けて考えるのは間違いで、基本的には何も変わっていない。
    とても80年前の話とは思えず、現在の事柄に入れ替えてもそのまま通じてしまう。。

  • 国が大きな過ちを犯さないために何ができるか
    太平洋戦争開戦をめぐってなされた、知られざる意思決定過程を追うことで、あの戦争に突き進んでいった、時代の「空気」を探究する

  • 戦前に、戦力総合研究所なるものがあり、模擬内閣をつくり、石油を軸に開戦をシミュレーション。開戦した場合を見事に予想するが、実際、開戦→敗戦にいたる。当時、このような機関があり、先を見通していたと知り驚く。いろいろと学ぶところがあるはず。

  • 太平洋戦争開戦時の状況は、「時代の空気」によって戦争に突入したという分析。国の方針などは、空気に左右されてはならないという主張。
    それぞれに納得がいく。

  • 本書は
    『日本人はなぜ戦争をしたか 昭和16年夏の敗戦』をテキストにした
    東京工業大学での講義をまとめたものです。

    「空気」に流されず,「リアル」に考えること
    (データを重視した論理的思考)の
    大切さが記述されている。

  • 著者が東京工業大学で行った講義をまとめたものです。なぜ日米戦争に突き進んでいったのかが分析されています。戦前、総力研究所という機関が、若手エリートを集め、模擬内閣をつくり、対米戦争のシミュレーションをしています。結果は、必要な石油の量を確保することができないため、この戦争に勝ち目はないというものでした。これを上層部に報告しますが、数字がゆがめられ、対米戦に持ちこたえるだけの石油は確保できるとの、超楽観的な見通しが立てられ、模擬内閣の意見は通りませんでした。この模擬内閣だけでなく、上層部も、この戦争に勝ち目はないという予想をしていましたが、日米戦に突き進み、結果として予想通り敗北を喫することになりました。結論のひとつとして猪瀬氏は、意思決定権を持つ者の「最終判断にあたっての自己責任の放棄」を上げていました。
    組織の末端にいると、案外、冷静な判断ができるものです。だからといって、それに関わったときに、合理的な意思決定ができるかといえば、それは不可能でしょう。おそらく、現在、渦中にいる人と同様のバイアスにより、その場の空気に左右されることになるのでしょう。

  •  読んだのは2回目。
     「南進、南進と騒いではいても、実際にそれでは石油を取りにいくにはどうするか、という調査なり計画なりは昭和15年まではなにひとつなかった。実際に私たちがそれに取り組み始めたのは買い付け騒ぎが一段落した昭和16年2月か3月だった。」というのは、作中に引用された高橋中尉(当時)の回顧である。
     電力に関して騒いでる今とほとんど同じではないか。歴史は繰り返すと言うがまさにその通りである。

     危機に対する立ち向かい方は、戦争直前の時期と驚くほど共通点がある。こうした性質をもはや変えられないものと考え、どうにか補正するような制度設計ができないものか(制度を作る側がこれだから、かなり難しいことだとは思う)。

     とても読みやすい本である。震災後、特に原発問題に関する雰囲気がなんだかおかしいと思う人にとっては、おそらく腑に落ちる内容だと思う。

  • ABCD包囲網のDはオランダ領インドネシア、インドとマレー半島はBのイギリス領。昭和16年8月1日にアメリカは対日石油禁輸措置を発令したが、実質的には6月21日に石油製品輸出許可制が完全実施されて以来一滴の石油も入手できなくなっていた。
    筆者の前書『日本人はなぜ戦争をしたのか 昭和16年夏の敗戦』の内容。昭和16年4月近衛内閣が総力戦研究所を作った。官僚、学者、軍人、マスコミのエリート36名が集められ、もし日米が戦えばどのような結果となるかを研究させた。8月には結果がでた。初戦は勝つであろうが、やがて国力、物量の差が明らかになって、最終的にはソビエトの参戦という形でこの戦争は必ず負けると、近衛内閣閣僚の前で発表した。東條陸軍大臣は、机上の空論であるとしてこの研究の成果は決して口外しないようにと命ずる。
    東條内閣の企画院総裁として、開戦直前の御前会議で燃料の供給消費予想を報告した鈴木貞一は、「僕は腹の中ではアメリカと戦争をやって勝てるとは想っていなかった」述懐するが、問題があるとわかっていながら、そのデータを出さざるを得いムードがあったという。空気である。
    山本七平の『空気の研究』も紹介されている。また戦前と現在は様々な点でつながっているということも筆者は繰り返し主張している。

  • 重いテーマだけど、ビックリするくらい読みやすい。太平洋戦争前後の歴史を学ぶ入り口として最適かも。

  • 結論ありきで数値を作る。複雑な状況下で判断下す必要があり、その作業が困難を伴うことは理解する。しかるに、

  • 東工大での講義「日本の近代」が書籍化されたもの。内容は「昭和16年夏の敗戦」とかぶるところが大きいのでお買い得感がないのだがw、現代の学生向きに時代背景が補足されている。さらに重要なのは『本書のテーマは、戦前と戦後はむしろ連続してますよ、という視点で、これからの日本のあり方を考える』(P.10)点で価値がある。『実質的に日本を動かしていたのは官僚機構であり、天皇主権でも主権在民でもない官僚主権がつづいているという意味では戦前も戦後も連続しているといえる。』(P.11)

    その連続性を考える上でのキーワードが「空気」となっている。空気に流されると、数字が一人歩きを始める。
    『数字を誤魔化すと国が滅びる、と僕は信じて疑わない。官僚機構は、虚実を巧みに使い分ける、と知っている。局所的な「実」に拘泥しながらついに全体を見ない、全体が「虚」であっても責任を取らないのである。』(P.170)
    いろいろ身につまされる言葉である。

    山本七平の『「空気」の研究』もあわせて読みたい。

  • 空気よめ!っていうのに時々底知れぬ危険を感じます

    空気=エアーじゃなくて、この場合はムードかな。
    空間の質、と言ってもわかりやすいかもしれない。

    あの東條英機だって、昭和天皇の意思を通そうとしたけど、結局空気に飲み込まれてしまった。

    最後のほうに書いてあったけど、
    無謀な戦争開始のデータの食い違いも、官僚のデータごまかしも、同じ空間の質ですよ、と。

  • 著者の東工大での講義録。
    第二次世界大戦の原因の一つは石油禁輸網であるが、その石油をめぐって当時の若手エンジニアなどの精鋭があつめられ総力戦研究所で開戦シミュレーションを提出、必敗という結果が。しかし数字が独り歩きして、戦争ができる、という方向にまがってしまいあの悲惨な結果になったという話があるらしい。
    その話をもとに、技術者は空気社会日本の中でどう処していくか?という内容。

    組織には猛烈な同調圧力がある。「同調圧力に屈しないためには自分探しなどというヤワなものにとらわれずに、技術者という自分の役割のなかで自分にできることは何かという事実にもとづいて、論理とデータでかんがえていくことだ(188)

    組織の中の個人が組織の空気、システムに妨害されて力を発揮できないでいるとしたら、僕の役割は明らかだ。官僚的な日常性と逆の立場から、組織や時代の空気に流されずに生きろ!と励ますことだろ。(192)

  • 『昭和16年夏の敗戦』をベースにした東京工業大学の講義テキストを書籍化したもの。
    空気=周囲の雰囲気、時代の流れに流されずに生きることの大切さを太平洋戦争に向かう日本をテーマに論じている。
    私自身も太平洋戦争について知らないので、実際にどういう経緯で戦争へ向かって行ったのか、非常に参考になった。
    若手で作る擬似内閣や石油の話、どれも学校では教えてもらえない貴重な記録。
    『昭和16年夏の敗戦』も是非読みたいと思う。

  • 他著書とのダブりも多い点を除けば満足の一冊。東工大での講義記録という性質上いた仕方なし。
    東条英機に関する記載は、知らない人が多いだろうと思われる。

  • 太平洋戦争開戦をめぐってなされた、知られざる意思決定過程を追うことで、あの戦争に突き進んでいった、時代の「空気」を探究する。

  • [ 内容 ]
    太平洋戦争という日本の針路決定の陰に、二十代、三十代の若者達の戦いがあった!
    東京工業大学の学生に向けた、目からウロコの名講義を再現。
    「時代に流されずに生きるとは」を熱く説く。

    [ 目次 ]
    はじめに(戦前も「アメリカ」は流行だった;「右の左翼」の謀略史観)
    第1章 東條英機に怒鳴られた二十六歳の高橋中尉(人造石油とバイオマス;少佐と中尉はどちらが偉いのか ほか)
    第2章 三十代の模擬内閣のシミュレーション(『昭和16年夏の敗戦』;にわかづくりの総力戦研究所 ほか)
    第3章 数字が勝手に歩きだす(口外してはならぬ;「虎穴に入らずんば虎児を得ずだね」 ほか)
    第4章 霞が関との戦い(戦前と戦後をつらぬく官僚主権;歴史は繰り返す ほか)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 技術者という自分の役割の中で自分にできることは何かを「事実」にもとづいて、論理とデータで考えて行くことだ。そうやって社会で働いていれば自然と「空気」とは無縁の「オンリーワン」になれる。

  • 満州での利権に拘るあまりに、アメリカより石油の禁輸制裁を食らったために、インドネシアへの南進を諮ることとなった日本。完了より石油備蓄の試算の説明を受けた後に決断を請われて、東条は「泥棒せというのか」と怒鳴ったという。<br /><br />東条英機は当初は開戦論者であったが、昭和天皇より開戦の回避を指示される。天皇の忠臣であった東条は、なんとかこれを模索するが自らが作った流れは変える事が出来ず開戦と至った。正直以外な事実であった。<br /><br />いったん作られた流れが止められずに破壊的な結末に至るのは、もう日本人の民族的な特性といっても仕方がないであろう。しかし、あの時代から学ぶことなく同じ事を繰り返すのであれば、太平洋戦争で死んでいった先人はうかばれない。経済が疲弊していくなか、自らを変えられない日本人。結局、市場による暴力的な調整によって再度の敗戦を迎えなかれば変わる事はできないのであろうか?

  • 近衛首相も東條陸相も、「大政治家というものは、正しいと自分で判断した場合、国民などを黙らせてもその方向へ引っ張っていく」という強いリーダシップは発揮しなかった。

    数字をごまかすと国は滅びると、僕は信じて疑わない。官僚機構は、虚実を匠に使い分けると、知っている。局所的な実に拘泥しながらついに全体を見ない、全体が虚であっても責任を取らないのである。

  • 太平洋戦争開戦前の昭和16年、軍部が「総力戦研究所」を立ち上げ、戦争の成否についてシミュレーションし、戦争は持ち堪えられないとの結論を得ていたのに、当時の空気と捏造した数字と神頼みで戦争に突き進んでいく哀れな日本の姿が、現在の日本とも重なって見えます。

  • 東京工業大学で行われた講義を再現したもの。いまも起きていることと同じような日常性が日米戦を呼び込んだのではないか、という猪瀬氏の主張に頷く。陸軍省燃料課で石油需給を試算した高橋中尉の回想と、総力戦研究所のシミュレーションをめぐるエピソードが秀逸。戦前は軍国主義で、戦後は平和主義という、モノクロ戦争史観をお持ちの方にぜひ読んでいただきたい。

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