ドストエフスキー―謎とちから (文春新書)

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著者 : 亀山郁夫
  • 文藝春秋 (2007年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166606047

ドストエフスキー―謎とちから (文春新書)の感想・レビュー・書評

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  •  ドストエフスキー作品への新たな解釈とその根拠。本書では、五大長編、特に「カラマーゾフの兄弟」での「父親殺し」の真犯人、スメルジャコフの出自について、かなり踏み込んだ。

     一般に言われるスメルジャコフは三兄弟との腹違いの非嫡出子であり、次男イワンの唆しにより父に手をかけた、ということが云われてきた。著者はその説を斥けている。それはロシア正教から分離した「鞭身派」「去勢派」、二つの異端に関わってくる論理構成なのである。

     著者は批判を恐れず、強く主張している。亀山氏の著作の中で最も熱く語っているのではないか。

  • ドストエフスキーの5大小説の説明が非常に分かり易いです。かつておどろおどろしく米川正夫さんなどの解説を読んだことがありましたが、このように平易な言葉で普通に説明をしてくれることが信じがたいように思います。「罪と罰」だけではなく、「悪霊」でも出てくる「殺人」そのものの「罪」を問うより、「生きる資格がある人/ない人」という2分法をもつことの根源的な「罪」を問おうとしている。(P109)という言葉は全く的確な表現です。
    「白痴」「未成年」についてもあらすじとその後の説明が、どちらかというと縁遠い(特に「未成年」は結局良く分からなかったという挫折感が強い!)この2つの小説の意味、特に「未成年」における父との葛藤ということが「カラマーゾフ」を読んだ後にストンと来たように思います。

  • 『ぼくらの頭脳の鍛え方』
    文庫&新書百冊(佐藤優選)178
    文学の力・物語の力

  • 亀山先生のおかげでドストエフスキーが読めるようになった! と言っても過言ではない。
    なので、積ん読の「罪と罰」も読まなければっ…と思ってはいるんだが(汗)

    ともあれ、この本は面白かったです。
    ロシア正教と異端派って切り口は、確かにサリン以後の日本人にはピンときますよね。
    それにしても「カラ兄」の続編、作者急逝につき書かれなかったのがホントに惜しまれますぅ…

  • [ 内容 ]
    『カラマーゾフの兄弟』新訳が話題の著者によるドストエフスキーの勧め。
    人物、時代、作品の謎を通して、現代の猛烈なグローバリゼーションに抗して生きる知恵を見出す。

    [ 目次 ]
    序章 一八六六年―終わりと始まり
    第1章 四つの「罪と罰」
    第2章 性と権力をめぐるトライアングル
    第3章 文化的基層との対話
    第4章 屋根裏のテロル―『罪と罰』
    第5章 反性的人間―『白痴』
    第6章 「豚ども」の革命―『悪霊』
    第7章 父と子の和解―『未成年』
    第8章 大地の謎とちから―『カラマーゾフの兄弟』
    終章 続編、または「第二の小説」をめぐって

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    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 担任に借りて読んだもの。
    ドストエフスキーをあまり読んだことがなくても十分に楽しめた。

  • 思想がブレないってのは大事だと思う。

  • ロシアの異教派とサド・マゾヒズム、性に基づいて大掛かりな推論を挑んでいるこの本。 最初はそれは無理だろと思って、いぶかしんでいたが、 読み勧めるうちにそのスケールの大きさにわくわくしだしました。 『罪と罰』のロジオンことラスコーリニコフは「復活」を果たしたのか。 『白痴』のナスターシャは処女であった?! 『悪霊』の検閲のために削除された部分には何が書かれていたのか? 『未成年』のアルカージーのオディプス・コンプレックス。 『カラマーゾフの兄弟』の重層なる「父殺し」とは? 『第二の小説』書き残されなかったカラ兄を予想する! これらのことを亀山氏が鋭く空想します。 結論を性で纏めている気があるのはちょっと残念だけど、なかなかに楽しめます。 これからドストエフスキーを読む人のための入門書ではなく、 すでに作品を読まれた方がさらに二度目、三度目を味わう前に読む本としてお勧めします。 あらすじはあるけど、それだけじゃちょっと分かりにくいですし。。。

  • 評価4.0
    小説のラスボスに挑むべく準備をする!
    ドストエフスキーを少しでも理解するために。。。。
    オイディプス・コンプレックス、父殺し、兄弟殺し 〆(.. )メモメモ 

  •  これは亀山ドストエフスキー論の当面の結論である。カラマーゾフの解説等では書かれていなかった「スメルジャコフの父親はだれ?」について、独自の見解がなされている。またドストエフスキーの時代には「堕落した父=皇帝」「去勢派=農奴」と考えることが出来ても、グローバリゼーションが進行した現代では、亀山は「堕落した父=アメリカ」「去勢派=イスラム」と捉えている。でもここまではっきり、あからさまに言い切って、少しやばくないか? 
     
     この本は、カラマーゾフに止まらず、「罪と罰」から始まる5大小説の解説本にもなっている。これが実に面白い。願わくは、外大の学長に就いたばかりの多忙な亀山先生には申し訳ないが、できるだけ早く翻訳業に復帰されて、より詳しいドストエフスキー論をもっと書いていただきたいものである

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