美術の核心 (文春新書 614)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (169ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166606146

作品紹介・あらすじ

芸術に関心がある人はごく一部。大多数は美術オンチといわれる日本人。その汚名をこの一冊で返上。芸術は本当は面白い!もの。学校では教えてくれない美術の本質がここにある。

感想・レビュー・書評

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  • 美術館には行ってみたいが、どう見ていいのか自信がないという人にと、日本画の著者による、美術への特別講義。
    日本画からルネッサンス、印象派、さらにコンテンポラリーアートへと、懇切丁寧に説明してくれる。
    「そもそも芸術とは、ここではない『どこか』につれていってくれるかどうかで真価が決まります」と、述べる著者は、
    「美しいとは五感に訴えかけてくるような包み込まれる空気管です・・・」と、作品を紹介する。

  • 芸術は科学と異なり、再現性がなく数値化もきわめて困難なものだと思います。当然表現者ごとに美は異なっており、それゆえに鑑賞する側にとっては作品を美しいとは感動することはできても、その理由を説明することが難しいのではないかと感じます。本書も筆者の視点からの名作の解説であり、やさしい言葉で各作品のポイントを解説してくれています。このような解説書の視点に乗っかることで、ある程度自分なりの作品の見え方(言語化?)が目指せるのではないかと思います。個人的に興味深いと思ったのは、尾形光琳の紅白梅図屏風の章です。両端の梅、真ん中の川?の配置の解説はなるほどと感じました。主要な時代、地域、ジャンルが程よく網羅されており、展覧会に行く前のとっかかりとして一読するのも良いかもしれません。

  • コンテンポラリーアートの章で、クリスト・アンド・ジャンヌ=クロード夫妻の梱包する芸術についての話の中での言葉が印象的。

    『芸術とは煎じ詰めれば、意見の違う人々が「私たちは同じ人間」と感じ、仲良くやるために存在しているものです。』

  • 千住氏の考えはわかるが、同じ話の繰り返しが多いのにやたら話が飛躍するので非常に読みづらかった。作家さんではないので、編集の問題だとは思いますが。

  • 洋の東西・時代と流派を浅く広くカバーして、平易な鑑賞のツボを解説してくれる本。日本画家が書いた一般向けの美術鑑賞入門という位置づけだが、扱う範囲は日本美術に限定されないし、日本人に身近な「印象派」が、なぜ日本人受けするのかの考察すらある。また、尾形光琳の有名な紅白梅の屏風をして、「美しく(五感に訴える混沌とした空気感)、かつ、きれい(きちんと整理されている)」との評は、言い得て妙だ。この人の書いた文は、分かり易くて具体的、落ち着いた文体で好きだ。

  • 080324

  • 美術史に沿って、彼なりの解説が並んでいる。22個も。ひとつひとつが短いので読みやすい。彼なりの解説なので、彼が言っていることがすべてではないことを抑えつつ読むといいのかもしれない。やっぱり美術やってる人だよね、凡人じゃぁ、目が届かないところまで解説して意見を述べていてなるほどなと思った。

  • 浅く広く、って感じかな。“核心”ではない。日本画の定義についてはなるほど!と思ったんだけどなんて書いてあったか忘れてしまった(から後で読み直す)絵の善し悪しは好きか嫌いかで判断すべし、とのお言葉には大賛成。ちなみに私は千住先生の絵はあまり好きではない。

  • だれも見たことのないものを表現する
    というのとも違って
    もうその作品を観ただけで、
    ここではないどこかへ連れて行かれてしまうような気持ち

    今までうまく言い表せなかった
    批評や分析ではない美術との関わり方を
    丁寧に教えてくれる素晴らしい本です

  • ボッティチェリ「ヴィーナスの誕生」の構図が少し上につまっていると感じることがある。
    かつての所有者が家に入らないからという理由で上部を切ってしまったからという説があるらしい。

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著者プロフィール

1958年東京都生まれ。82年東京藝術大学美術学部卒業。87年東京藝術大学大学院博士課程修了。ヴェネツィア・ビエンナーレで東洋人初の名誉賞受賞。大徳寺聚光院の襖絵、羽田空港第二ターミナルの壁画、APEC JAPAN2010の会場構成など。革新的な日本画が国際的な評価を得ている。

「2015年 『千住博全版画カタログレゾネ1988-2015』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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