ラブホテル進化論 (文春新書 620)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 72
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166606207

作品紹介・あらすじ

ラブホテルの外観はなぜ派手なのか?回転ベッドはなぜ回るか?日本人の性意識と日本の住宅事情に密着しながら目まぐるしい進化を遂げたラブホテル。現役女子大学院生による本格研究。

感想・レビュー・書評

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  • 大学の卒業論文作成から、発見して、本になった、という ことだが、よく調べてあると感じた。
    発生!から初期から発展の歴史的な過程が説明されているし、まる良く分かる。ホテルの写真に関して他に(過去に)よくできた写真集がある。
    雑誌記事については、よく調べていた。また。 関係者への直接聞き込みも行っているようだ。 主に流行した時期は、高度成長期と重なる のではないか?その後のバブル時期について. ラブホテルに、泊まる、利用するという価値感が なくなってきたと思っている。
    時代が変わって現在での利用価値は 様々あるのだと感心した。女性1人の利用は、 可能であるが、同性2人での利用はむずかしいようだ レディスディの設定で、利用客が増えることが あるようだ。夫婦での利用、ゲームやテレビ・ビデオ などの休息ースペースとしての利用も良いようである。
    他の業種との差別化、チェーン展開、割引券 などの特展サービスの利用については可否がある

  • 逢根あまみ「回転ベッドは恋人たちの夢を見るか?」を読んで、そういえば、そもそもなぜ回転ベッドは回転するのだろう、と思い、手に取った一冊。部屋の両サイドにプロジェクターとテレビがあって、見る時にベッドを回転させて調節した、とか、ストリップ劇場の影響でライトや鏡と組み合わせることであらゆる角度からお互いを見られるようにするため、とかの理由だったそうな。回転ベッドに限らず、ラブホテルの発祥、変遷、技術革新、多店舗展開など、そこにこめられた熱意と創意工夫、上に法あれば下に対策ありを地でいくしたたかさ、男性側のみからの視点での快楽から、女性が主導で楽しめる空間への転換など、読みどころ多くて面白かった。/以下、気になったところの抜粋、要約/ラブホテルの資料を見るのが大好き。そこに本気で「カップルの空間」を試行錯誤する愛すべき真面目な日本人の姿があるからだ。/1985年新風営法。回転ベッド、鏡張り、浴室の透明ガラスなど扇情的な仕掛けや装置が禁止。/作り手のこだわり。ケガしない。他の人にあわないよう出口にこだわる。バックヤードの従業員の動きやすさ。掃除のしやすさ。などなど人によりさまざま/昭和47年の法律規制でワンルーム・ワンガレージのモーテル営業は姿を消す。が、抜け道もあり/回転、上下動だけじゃなく、縦揺れ、横揺れ、ベッドそのものの空中つり上げ、ベッドの小刻みバイブレーションなどのさまざまな組み合わせ/お互いに離れたベッドがスイッチひとつでツーっと接近してドッキングするドッキングベッド/寝心地が悪い、回転時にキーキー音がする、メンテナンスがたいへん、服が巻き込まれる事故、など否定的な意見も/ラブホテルがシンプルで清潔な空間になったのも”女性が喜ぶもの”を重視するようになったから/ホテル側も犯罪にかかわりたくない。できれば広くていい部屋をたくさん作って、ホテルの質も客単価も上げたい。しかし、条例があるのでできない。皮肉な循環/自動精算機の導入で、従業の不正防止が図れ、多店舗展開がすすむ/足でつかんだ情報が重視されるゼミで、女性一人でラブホに乗り込むも門前払いされ、ゼミ発表に準備なしでのぞむことになったが、叱られ、しどろもどろに説明したあと、教授はニコッと笑って「ラブホテルは、女性一人だと入れてもらえないことがわかったということですね。君の足で掴んだ成果じゃないか」/カップルにとってラブホテルをより身近な存在にしたのは情報誌であった

  • ラブホテルを研究する研究者の卵の博士論文研究を一般用に描き下ろしたもの。

    経済状況・住宅事情の変遷がラブホテルのあり方に強く影響していることを見ると、ラブホテルは時代を移す鏡の一つとも言える。

    その一つに、当初アメニティなど含め男性しかみていなかったラブホテル(連れ込み宿)が、女性向けをどんどん意識するようになっていったことは女性の社会における立場の変遷やジェンダー意識の変化を反映するものかもしれないと感じた。

    また、先日宿泊した元?ラブホテルの設備が非常によかったため、障害者(大きなバス)や、旅行者、個人が使いたがるのもの理解できる。なぜ設備投資が進んだのか、についての歴史も興味深かった。

  • 著者みずからも「女子学生が、ラブホテルを研究しているというところに話題性があり、そこに人はピンク色の妄想をするのであろう」と述べていますが、「現役女子大学院生によるラブホテルの研究」という看板で、しかもカヴァー見返しの著者の写真を見る限りではかなりの美人とあっては、そうした需要があるのもしかたがありません。とはいえ、中身はラブホテルの歴史についてのきちんとしたレポートです。

    本書の視点は、近代以降の「性」や「愛」といったテーマにまで射程がおよぶものだと思いますが、「ラブホテル」をめぐる現代の文学作品などの言説についてもとりあげてほしかったように思います。

  • ラブホテルの歴史、広告戦略

  • 正直あんまり価値ないよな〜、
    こういう本って。
    各章扉絵の下手さが鬱陶しい。
    素人の下手な絵を何故入れるのか…
    写真の方がマシ。
    よく見たら同い年なのに、絵に溢れる
    ありあまらんばかりの昭和臭…
    若い女が書くってだけの本。
    オッさん書いてたら多分みんな気持ち悪がるな。

  • 2008年刊。ラブホテルをキーワードとして、日本の風俗(「文化」とまでいくと堅すぎるかも)戦後史、性の空間(部屋・建築)、男女関係の考察(選択権が女性へ)、経営戦略(女性向けラブホの隆盛、情報誌の活用)等、戦後の日本の変容を解説したエッセイ。将来像にも触れている。思ったよりも真面目な考察であり、キワモノとされがちなテーマをうまくまとめている印象がある。

  • 新書文庫

  • ラブホは流行の最先端を追いかけ、世相を追いかけている。
    ビジネスとしての経営は、業界全体的に下降傾向にあり、
    厳しそう。

    きっと、今はもっと厳しくなっているのかな?

  • ラブホテルの真面目な考察。
    連れ込み宿と言われた時代から、最近のブーム?まで。
    住宅事情が連れ込み宿やラブホの発展に関わってたというのは、ちょっと意外。
    もっと前の時代だと、長屋暮らしだと隣の声とか丸聞こえだったという話だけど、その頃よりは庶民が豊かになったということ?

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著者プロフィール

神戸学院大学講師

「2013年 『無印都市の社会学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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