- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166606795
作品紹介・あらすじ
幕府が瓦解-。家族のためなら何でもやるぞ。畑仕事、内職、就活、のちに脱サラ。重なる失業にも屈せず、一字の虚偽もない自分史を書き残した将軍の影武者。あっぱれな生涯。
感想・レビュー・書評
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幕末から明治期に生きた旧幕臣の生涯。
記録熱心な方のため面白い記録が残っている。
想像ではなく、事実の記録。
読了45分詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
内容は簡単な解説だけで十分だと感じた。
文章が読みにくい。この手のタイプに慣れていないためか? -
御徒組の御家人である山本政恒氏の自伝をもとに、明治維新の際の幕臣が難渋した状況が分かる。政恒は御徒として、本丸御殿の遠侍の番や将軍の外出時の護衛など、お目見え以下とはいえ、将軍の間近で警護するという誇り高き役についていた。明治維新でその誇りは踏みにじられる。明治維新時、元幕臣には、今後の暮らしとして3つの選択肢があったという。1つ目は新政府に出仕すること、2つ目は農業・商業に転職すること、3つ目は静岡藩士になることである。政恒は3つ目の静岡藩士を選ぶ。2つは武士の商法と言われ、上手くいく人は一握りだったようだ。静岡藩士も生活は厳しい。800万石を有した徳川家が70万石と10分の1以下に。しかし、旗本御家人が10分の1になったわけではなく、俸禄の急減で、農家の牛小屋を借りて住むほどの暮らしであったという。政恒は偶々一軒家を借り受けることができ、まだましな生活を送れたが、藩士としての仕事と内職をしながら、家の修繕などは自分で行ったという。器用で何でも自分でやろうとするDIYの精神を持っていたようだ。自分も同じ境遇ならできるだけ自分でやろうと思うだろう。その後、人の紹介で政府や県の職員をしたり、東京国立博物館の職員をしたりと暮らしたようだ。家族を養うため、しなやかに適応していった姿に感銘を受ける。
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本書は、天保12年(1841年)に生まれ、大正5年(1916年)に死去した「山本政恒」という幕臣の「自分史」の研究書である。
「山本政恒」の生涯は、幕臣の子として生まれ、幕末・明治維新という激動期を生き、幕府崩壊後に静岡藩士、そしてその後に政府官吏となるなど、まさに激動と流転の人生を生きている。
「山本政恒」は、還暦後に「政恒一代記」という自分史を残しており、その研究が本書の内容である。
本書は、彼の生き方や人生観等がよくわかるものとなっており、また幕末・明治期の日本社会のあり方も見えるのだが、本書を読んで見えてくる当時の日本の社会には、新たな発見の驚きはないように思える。
これは、当時の日本の社会が現在から見ても違和感を感じないような社会だったのか、それとも本書の研究が浅いのかのどちらかなのだろうが、どうも後者なのではないだろうか。
やはり、歴史の研究というものは、社会と人間に対する深い洞察を要求されるものだと思う。その点で、幕末・明治の激動の時代を生きた幕臣の生き様を「幕末下級武士のリストラ戦記」という視点で総括することは、ちょっと歴史を軽く見すぎているのではないかと思った。
本書の内容が平易過ぎると思ったのは、その視点のゆえではないかと思う。本書はせっかくの貴重な資料を生かしきれなかったようにも思え、残念な書であると感じた。 -
本書は幕府御家人 山本政恒が幕末維新をふりかえった自分史を解説した本である。
山本は将軍警護をつとめる御徒であったが、幕府の職務は勿論、フランス式への軍制改革、京都への上洛、鳥羽伏見敗戦など敗者のみた歴史は貴重なものである。また自筆のイラストも良い。 -
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時代の激動期にたまたま生まれ、生き抜いたひとりの人間の記録をかいつまんで収録。ダイジェスト版ではあるけれども、彼の人生がリアルに感じられた。