昭和の遺書―55人の魂の記録 (文春新書)

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著者 : 梯久美子
  • 文藝春秋 (2009年9月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166607136

昭和の遺書―55人の魂の記録 (文春新書)の感想・レビュー・書評

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  • 人が死ぬということは重い。

    二度と戻らないのに、その人生は確かにあったのだ。
    命が消えたその時。
    ほんの数分前には「いた」人がもう今は「いない」。

    くっきりと違う、その差。

    その違いの大きさは、誰か大切な人を見送った者は
    経験があるだろう。

    昭和の初めは芥川の遺書で幕を開け、最後は昭和天皇が
    幕を閉じておられる。

    遺書を残すほどの思いで死んでいったひとたちは
    当たり前だがその時はまだ生きていた。
    そのことが痛い。胸に刺さる。

    昭和の戦争を知っている世代までは、私の印象として
    実によく物事を考えていた世代だと思う。
    自分も含めて、今は、考えてはいけない時代のように
    なってしまっているのが怖い。

    古い時期の遺書が多いのは、現在に近ければ近いほど
    遺書など残さず亡くなることが多いのかも、と想像した。

    最期に私は誰に向かい、何を語るだろう。
    語るべき言葉を持ちたいなら、今の時間を
    精一杯生きなくては。

    振り向いてみた時に、拙くともいい。
    愛するものに、なんらかの伝えたい言葉を
    持ち得る人生を生きたい。

    私に許された時がどれだけあるかはわからないし
    時折ふと、頭を自分の死が掠めてゆくのが
    寒く、怖くて、いたたまれないことがある。

    それをまた、日々の暮らしの中で宥めすかして
    まだ明日も明後日も生きていられるようなつもりで
    毎日を過ごして。

    無論そういうふうに、死の影を目くらましで忘れながら
    生きることが出来る心というものは、期限の判らぬ
    長い時間を生きるためには必要なことなのだけれど。

    不意に。

    大丈夫だと抱きしめられたくなった。

    読後感は暗くないのに、せつない空気が残る本だった。

  • 時代が進むにつれて、死ぬ理由が自分のことだけになっていくのが印象的。

  • 昭和の遺書を集めた作品。
    『芥川龍之介』の遺書から始まり、『昭和天皇』で終わる。

    高校の頃、ぼんやりとしか見えていなかったバックグラウンドが今になってハッキリと解る。
    この世代を生き抜いた人、凄いな・・・

    勿論、有名な遺書もあり、無名で散っていった特攻の兵士の遺書もある。
    昭和天皇に至っては遺書ではない。

    がしかし。
    時の流れがそうしたのだろうか、世論がそうさせたのか。
    面白かったです。

    遺書を題材にしているので、長くても3頁程で一段落するので、サラッと読めます。

  • 昭和2年の芥川龍之介から昭和天皇まで、昭和年間にこの世を去った
    人々の遺書・絶筆を元に辿る昭和史である。

    先の大戦があった為か、昭和20年代までに亡くなった人々が多くを
    占めているのは致し方ないのか。

    『きけわだつみのこえ』は学徒出陣で犠牲になった人々の手紙を元に
    編まれているが、本書には農村部から徴兵に取られた人の遺書が
    掲載されている。農家の三男は母に向け、出征前に植えた柿の木を
    大切に育てて欲しいと願い、文末に「白木の箱が届いたら何(ど)うか
    泣かずに褒めて下さい。」と記す。

    グンイドノハヤクアゴヲ/ツケテ下サイ、ミンナト一ッシ/
    ョニゴハンヲタベラレル/ヨウニシテ下サイ/グンイドノフネハイツ/
    クルデスカ/ゴハンガタベタイナ/タンヲトッテ下サイ/ダンヲトッテ
    下サイ/クチノナカノチヲフイテ/下サイ/モウネリタクナイ/ヒトリデ
    小便マリマス/デ/ベンキカシテ下サイ/スマナイカ角ザトウ一ツ二ツ
    モラ/ッテクレナイカネ

    従軍した衛生兵が持ち帰った、筆者不明の軍医への訴えである。昼休みに
    読むんじゃなかった。ポロポロと泣けて来た。

    昭和の末期、いじめが原因で自殺した男子中学生が遺書に書き残した
    「生きジゴク」という言葉は、社会的に大きな衝撃を与えた。日航機の
    御巣鷹山墜落事故では、きりもみ状態の機内で家族への言葉を綴った
    人がいた。

    尚、あまりにも有名な、昭和天皇のの弟宮・秩父宮や不出世のマラソン
    ランナー・円谷幸吉の遺書も収録されている。

    「あかげらの叩く音するあさまだき音たえてさびしうつりしならむ」

    昭和天皇最後の御製である。昭和天皇の崩御と共に、激動の時代は幕を
    閉じた。そして、平成を生きている私もまた「昭和の児」である。

  • 時代に翻弄された、あるいは時代に命を奪われてしまった人々の、悲痛な叫びに満ち満ちた本。

  • 芥川龍之介から昭和天皇まで。

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昭和の遺書―55人の魂の記録 (文春新書)の作品紹介

昭和ほど多くの遺書が書かれた時代はない。二・二六事件の磯部浅一は天皇へ呪詛の言葉を投げかけ、死地に赴く山本五十六は愛人に相聞歌を贈った。焼け跡の日本人を勇気づけた美空ひばりが息子に遺した絶筆、そして偉大なる君主・昭和天皇の最後の御製は-。遺書でたどる昭和史、決定版。

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