ドル暴落後の日本 新・マネー敗戦 (文春新書 736)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166607365

感想・レビュー・書評

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  • 岩本沙弓の名前を知ったのは金融機関のレポートであった。テクニカル分析に関する指摘に目を瞠(みは)った。それもそのはずで彼女は米系銀行の為替ディーラーを務めた人物であった。今私が最も注目する一人だ。タイトルは吉川元忠著『マネー敗戦』に由来。
    http://sessendo.blogspot.jp/2014/06/blog-post_9986.html

  • 2013/10/11:読了
     金融は仕組みの世界であり、
      イギリスからアメリカ中心の仕組みになり、
      金・ドル → 石油・ドル というドルの基軸通貨の仕組みの変更が
      成功した。

      その仕組みの中で、好き放題してきたのがアメリカ。

      石油・ユーロは許さない。
      円高にして米国債の借金の棒引き など

      しかし、今、ドルはどこに向かうのか...

  • 米国は2度の大戦により輸出大国として君臨し貿易の対価として世界中から金を集めた。しかるに、戦後、他の国々の経済が復興してくると米国はモノを作る側から消費する側へと変わる。経済大国ゆえの生産コストの上昇により、後発の新興国による安いコストの製品が流入してくるからである。世の必然あり、かつて大英帝国も同様に米国に世界の工場の座を譲った。大英帝国は第一次大戦後、金本位制に拘り金流出を招き米国に経済覇権を奪われた経緯がある。米国もモノづくり国家としての地位はドイツや日本にその立場を譲ったが、大英帝国の轍は踏まなかった。アメリカは日本やドイツに覇権は譲らなかったのだ。1971年のニクソンショックにより金本位制をあっさりやめてしまうことにより覇権を死守したのである。輸出国の時には金本位制により全世界から金をかき集め、輸入国になった途端、金との裏付けを停止し金の流出を防いだ。現在、金保有のナンバーワンはアメリカである。しかも世界の共通資産の座は金から原油に引き継がれるや、原油をドル決済にすることにより、米国の資金還流システムを確立するとともに基軸通貨としての立場を確固たるものにすることに成功した。基軸通貨は強い。日本と米国の間で考えれば日本人がモノを買うにしても売るにしても値段がドル表示となっているため、通貨のリスクは輸出入いずれの場合も日本サイドがもたなければならないのである。日本から見ればまことに理不尽極まりないが、これが米国にとって基軸通貨国としての最大のメリットであり米国の力の源泉なのである。今、米国は猛烈な勢いでドル紙幣を刷り続けているが、基軸通貨ゆえと言ってよいであろう。FRBの議長がグリーンスパンからバーナンキに代わった。バーナンキは金融危機の際ヘリコプターから紙幣をばらまけばよいと提唱した人である。現在、マネーサプライの発表が停止となった。アメリカがどれだけ紙幣を刷りまくっているのか誰も知らないのである。再びマネー敗戦国とならないための準備と構えが肝要となっている。

  • 衝撃でした。
    歴史、経済の見方が変わりました。

  • 為替の実務家である彼女が、過去の事象に基づいて著述しているため、とても面白く読ませて頂いた。

    米国が、米ドルの信任を維持し、基軸通貨としての地位を保つためにさまざまな政策をいかにもっともらしく施してきたか、というニュースの側面を解説している点が、非常に興味深かった。

    経済面から見た日米関係がわかりやすく解説されていると思う。2009年末時点での著者の予測が盛り込まれているが、一つの見方・考え方として述べられており、押しつけがましくないのが好感的だ。

  • ライオンがどのようにシマウマから搾取して来たかを、著者の専門分野の為替という視点から分析。
    同じ著者の「為替占領」と併せて読むとより解りやすい。

  • ライオン(米国)の餌食となるシマウマ(日本)の構図がよく分かった。

  • 注目している人の1人。

    本書の主張は、ドル基軸体制を米国への資金環流システムとして描いている点。

    ニクソンショックで世界の工場を放棄し、世界の市場へと変わる。借金して、消費しながらも最も現在のシステムで利益を得るアメリカ。各要素として、石油、戦争、グリーンスパンの低金利政策などを解き明かし、アメリカへのドル還流システムを説明。

    例えば、金からドルを切り離した事で、金に変わって信認を確保する手段として石油があり、決済にドルが用いられた。石油が必要とされるにつれ、ドルが買われ、結果として世界に拡散したドル基軸を支える。この石油高→ドル高の現象は2001年以降崩れる過程にはユーロの存在がある。そして、その過程に湾岸戦争、イラク戦争など中東での戦争がある。

  • [ 内容 ]
    金本位制を捨て、ペーパーマネー化することで、米国は未曾有の繁栄を謳歌した。
    バブルを引き起こしては破裂させ、資金を自国に還流させる仕組みを作り上げたのだ。
    今、「百年に一度の危機」に際して、彼らはドルを刷りまくり、究極の借金棒引き策に出ようとしている。
    つねにドルに隷属してきた日本の運命は。

    [ 目次 ]
    第1章 9・11テロ―誰かが知っていた
    第2章 サブプライム―グリーンスパンの役割
    第3章 プラザ合意―借金棒引きのからくり
    第4章 ペーパーマネー―貨幣とは何か
    第5章 基軸通貨国の戦略―ブレトン・ウッズ体制からニクソン・ショックへ
    第6章 ペトロドルVS.ペトロユーロ―原油がドルを保証した
    第7章 ドル帝国への資金還流―グローバル化の罠
    第8章 ドル暴落後の世界―現物資産本位制復活のシナリオ

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • ニクソンショックは、輸入大国となったアメリカが、金流出を恐れて、金の受け渡しを拒否したから起こった。
    今後は、ドルから北米通貨のアメロにシフトする。

    などの新しい知見が得られた。今後のマネーの動きに注目しておく必要があるだろう。

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著者プロフィール

大阪経済大学経営学部客員教授。91年より外資金融機関にて外国為替を中心にトレーディング業務に従事。金融専門誌『ユーロマネー』誌で為替予想部門の優秀ディーラーに選出。為替のプロとして、いま大注目の経済評論家。『新・マネー敗戦』『世界のお金は日本を目指す』など著書多数。

「2013年 『経済は「お金の流れ」でよくわかる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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