財務官僚の出世と人事 (文春新書 765)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166607655

感想・レビュー・書評

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  • 財務省の姿を知るには良い本。
    以下は気になった箇所。

    "・シーリング…概算要求基準

    ・官房三課長(文書、秘書、調査企画課長)のうち秘書課長が最もエリート

    ・大蔵省財政畑…主計局(予算配分)と主税局(徴税)の2つ

    ・大蔵省は政官財癒着構造にある予算編成にメスを入れたいが、公共事業費の配分シェア変更は自民党族議員(建設族を筆頭に道路族、農林族、治山治水族)との闘いであった。特に金丸・竹下などの経世会は公共事業の中枢であった。宮沢喜一は政治と談合をしながら予算を決める主計官僚に強い不満があった。

    ・同期成績上位…文書課、上位の中でも人柄の良い人物が秘書課、その次のクラスが主計局総務課

    ・秘書課長は官房長からOB人事の素案を任されるため有力OBとの接触も多く人事に有利

    ・日本では米の先物取引をシカゴ取引所が創設されるより一世紀前から行っていた。

    ・山一に2,600億を超える簿外債務があったため証券局長の長野は自主廃業を認めた。

    ・主計局だけは他省庁のワンランク上の役職者と交渉をすることが認められている。これこそが財務省が官庁の中の官庁と呼ばれている所以。役人にとって予算の獲得は最重要課題であり、主計局は全省庁の関門となっている。

    ・事務次官の殆どが主計局長経験者。主計局内では昔農林、今公共という言い回しがあったが、現在はその流れが鮮明ではなくなり予算のフレームを決める企画主計官のウェイトが高まっている。

    ・日銀総裁は日銀プロパーと財務次官のたすき掛け人事が多かった。

    ・次官経験者の天下り先序列
    JBIC→DBJ→OECD→国民公庫総裁
    JBIC総裁から日銀総裁or東証理事長に就任するのが慣例

    ・総務審議官…財務省の所管行政に属する特に重要な事項についての調査・企画・立案・総合調整に関する事務を統括する職務。歴代同期トップが座る次官コースの一つ。"

  • 2010/12/08

  • 人事好きの関係者には面白いだろう。
    41年組のストーリー。どういう経緯で武藤事務次官が勝ち残ったのか。
    官僚は人事が全てというが、事務次官以外にも目指すものは多い。最終ポストだけを見て仕事をしているわけではないはず。

  • 新書にありがちだが、情報が古く、単なる覚書な位置づけ。事実的な事と分析、考えが混ざっている。分けて書いてあった方が読んでいてスッキリするかな。

  • 2010年刊行。元新聞記者の手による旧大蔵省の事務次官レースについて、自ら見聞したことについて解説。読みやすい、話し手もざっくばらんな言い回しで事務次官レースや天下りの内幕を語る。結論としては、財務官僚の関心は「人事が全て」ということだ。この点は、官僚もそうだが、新聞社の取材ターゲットもそれ。もちろん、人事の重要性は否定しないが、その背後ないし底流にある政策内容に切り込んで欲しい。ちなみに、本書で榊原英資の印象がずいぶん変わった。

  • 本を読むということは知らない世界を体験することだとよく言われるが、高級官僚に興味があるわけではないし、この世界は感動も感激も与えてくれない世界のように思える。
    それでも実社会が政界と官界を中心に動いている以上、一応知っておくべき知識ではあるのだろうと思った。
    何か週刊誌を特集した様な内容の新書である。読みやすくはあるが楽屋話みたい。

    2016年11月読了。

  • 俺が仕事の忙しさのあまりとびとびで読んだので
    頭にいまいちはいらず。。

    でも官僚ってやはりエリートなんだね。地頭とかいろいろ。

  • 本書は長年、大蔵省担当の新聞記者として接して来た著者が千枚の取材メモをもとに記した本である。

    往々にして官僚のイメージはステレオタイプで語られやすいが、出世と人事を切り口にみてみると生身の部分が透けてみえる気がする。財務官僚といえば日本でもトップクラスの頭脳集団であるが優秀なだけでは事務次官になることは出来ない。出世するためには何が必要か?。本書を読むと官僚の定型イメージから抜け出す事が出来る。

    何より人事競争の話が面白くない訳がない。

  • 興味深い内容ではあるものの、1冊読み通すほどのものでもなし。

  • [ 内容 ]
    試験の成績に関する限り、彼らは幼少の頃から「優秀」「できる子」の折り紙をつけられ、「神童」の評判を取った人物も多かったはずだ。
    それだけ頭のいい人物がいったいどんな出世競争を繰り広げているのか。
    日本一熾烈なエリート戦争、勝者と敗者を分けたものは何か?1000枚の取材メモで再現。
    歴代事務次官の出身高校・大学リスト付。

    [ 目次 ]
    第1章 十年に一人の大物次官・斎藤次郎
    第2章 花の四十一年組
    第3章 大蔵一家のドン・山口組
    第4章 大蔵vs.日銀
    第5章 非主流の国際派とミスター円
    第6章 入省成績と出世の相関関係

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著者プロフィール

岸宣仁
1949年埼玉県生まれ。経済ジャーナリスト。東京外国語大学卒業。読売新聞経済部で大蔵省や日本銀行などを担当。財務省のパワハラ上司を相撲の番付風に並べた内部文書「恐竜番付」を発表したことで知られる。『税の攻防――大蔵官僚 四半世紀の戦争』『財務官僚の出世と人事』『同期の人脈研究』『キャリア官僚 採用・人事のからくり』『財務省の「ワル」』など著書多数。

「2023年 『事務次官という謎 霞が関の出世と人事』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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