- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166608416
感想・レビュー・書評
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仕事柄人の話を聞く事が多いのではあるが、相手によっては何を話して良いのか、話し途中で話題が途切れてしまわないだろうか、私の話はつまらないんじゃ無いかと様々な不安が頭の中を過る事がある。大抵その様な時はマシンガンの様に自分からベラベラと話しまくってしまい、後で自己嫌悪に陥る事がある。何故なら相手の話をほとんど覚えておらず、自分が話せた満足感だけで終わっていたり、嫌だったら場の空気感ぐらいしか記憶に残っていなかったりするからだ。人の話を聞くのは意外と難しい。会議でも1on1でも相手の性格や立場に合わせて如何に話や意見、思っている事を引き出すか。毎日毎日ほぼ1人ずつ1on1を繰り返しながらも、全く普段から無口な部下がどう言ったタイミングからかいきなり流暢に喋り出した時などは正直嬉しかったりするが、自分でもそのタイミングは余り覚えていない。毎日周囲の社員からうるさいとクレームの出る部下は、やはり1on1でも一方的に話立てて私はほぼ聞き役。そもそも悩みを相談してくれと言ってるのだから、目的は達成しているのであるが、終わった後の疲労感も半端ない。
会話とは双方が適度な量で、伝えたかった事、知りたかった事、スッキリと晴れ晴れできる状態になれることがベストだとは思う。勿論全て達成できれば完璧な会話であろうが、そんなのほぼ奇跡で、その一つでも達成できれば良い程度だ。飲み会なんかは酒で気分が悪いのを除けば、最後のスッキリ感はほぼあるだろうから、大切な場だというのも理解できるし、ノミニケーションと言われるのも良くできた言葉だと思う。
本書はTVタックルでお馴染みの筆者が長年のインタビュー経験を通して身に付けてきた会話における技術を惜しげもなく教えてくれる。本人があんな感じだから(テレビの中のニコニコ聞いてるイメージ)、相応の聞き上手なんだろうなとは思いつつも、始めからそんなに上手くできる筈もなく、多くの著名人との対談の中から身につけて行ったそうである。
内容としてはそれら著名人との対談シーンが目の前に広がってくるかの様に、相変わらず筆者の優しく語りかけてくる様な文章、何か小さいベンチに2人で並んでるかの様におしゃべりしているかの様なスッと入ってくる文章は疲れない。本人曰く、新書にして良いか悩むほど学術的なものでもなく、ただの経験談ではあるのだが、だからこそ読み易くうんうんと納得しながら一気に読めて良い。その様な中にも普段の会話で悩んでいた事がズバリ出てきたり、名言に近い?言葉も沢山散りばめられている。
特に芸能人やスポーツ選手、作家に政治家夫人などそれこそ我々読者が普段話す様な普通の人達ではなく個性の強い人ばかりだから、凡そ自分の周りのあらゆるタイプを網羅している。どれも参考になる事例ばかりである。早速明日から実践できそうな技術が沢山あるので、難しい会話術的な書籍を読む前に、軽く試してみる感覚で読むのが丁度良いだろう。
因みに父親は頑固で有名な阿川弘之氏であるが、私個人的にはそちらの著書をかなり読んでおり、大好きな作家であるから、まるで父親にでもなった様に筆者の文章を読んでる自分がいる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
“話を聞く。親身になって話を聞く。それは自分の意見を伝えようとか、自分がどうにかしてあげようとか、そういう欲を捨てて、ただひたすら「聞く」ことなのです。“
この言葉が1番グサッと刺さった。20代までは、自分が次にどう発言して存在を知らしめるか、そのステージを抜けた後は、いかに良いことを言ってあげようかばかり意識していた。ここは貪欲になる必要がない、とにかく聞くに集中する。いいことを言ってあげよう病は、相手のためでなく結局自己満足のためだよなと実感。
この本は、阿川さんの等身大の私、という形で表現されていると感じるのは、阿川さんの具体的な体験が口語調に阿川さんの言葉で表現されているから。抽象的でないからこそ、グッとくる。その中から、最短ルートはなく、失敗・経験を積みながら「聞く」を高めていると分かる。継続は力なり。
高学歴かつ知的であると側から感じる中、「私なんか」と卑下している記述が多々あり、そこが★を下げた理由。 -
堅苦しくなく、軽い感じ。インタビューの失敗談や思い出話など具体的な話が多くておもしろかった。
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インタビューにまつわるエピソード、アドバイス
インタビュー時に考えていることや失敗したことの実例が詳しく書かれていて
「きく」ことについて非常に参考になる
内容もさることながら、ここまでさらりと面白く書けるとは相当頭の良い方なんだろうと思う。 -
人間は関わる相手によってそれぞれ違う顔を見せている、性格にもグラデーションといったものがあって、それを見せる角度によって他人からみた自分の見えかたが変わってくる。
聞く力と直接関係しているわけではないが自分は他人と関わる中での根本となる考え方と思った、自分がどの角度を見せているかを自覚していなければ他人からどう見えているかわからない、その結果他人から見えている自分と違和感のある行動を行って不愉快な思いをさせる可能性があるのだ、この本が伝えようとしている趣旨とは違うかもしれないが、自分はコミュニケーションにおける自己認識の大切さを改めて確認した。
他者としゃべるときに相手のテンポを考えずに自分のテンポで質問などをしたりしてはいけないなど聞く力のテクニックも多数紹介されているので聞く力を鍛えたい人は読むべきほんである。 -
阿川さんの赤裸々なインタビューへの意気込みと弱みを見せながら経験談とそこで得た聞く力を記述した本。
なかなか自分の弱みを250ページ程書くとはなかなか難しいところだが、そう言ったところも共感を得られる。
クスッと笑いながら共感する部分、学ぶ部分があり大変楽しめました♪ -
長らく積んでたけど、一気に読んだ。自分の期待していた会話のノウハウはあまり得られなかったけれど、阿川さんの語り口がとてもいい。
事前準備やインタビュー前の心境ー>やり取りの内容ー>相手や構成作家の方々からのフィードバックー>教訓
おおよそこんな流れの、ご自身のインタビューにまつわる小話を通して、阿川さんは「聞く力」の構成要素をいくつも教えてくれる。読み手は、そこから「聞く力」の輪郭をつかんでいく…のだけど、僕が本書で一番印象に残ったのは教訓の部分じゃない。それは、インタビュー相手とのやり取りが、とてもリアルに描かれていたことだ。句読点、接続詞、表情などの描写…ふだん僕がフィクションや専門書しか読まないからかもしれないけど、生身の人が逡巡しながらも楽しそうに会話をする様子がありありと伝わってきて、新鮮だった。
一番の収穫はそれだったけれど、やはり教訓の部分もいくつかは心に残った。とくに「自分の興味の懐へ話題を引き込む」というのは、お互いにとって会話を楽しいものにするためにも重要なことのように感じられた。 -
阿川さんのように、キュートな大人になりたい。
スゴイ人たちのお話をうかがうときにも、臆さず阿川さんらしくありのまま、インタビュアーとゲストじゃなくて、阿川さんとその人として素直な個人の会話ができること。人の話を聞くにも、生き方が現れるのだなぁと思います。
ずっと前にこの本は読んでいたけど、最近カウンセリング理論を学ぶようになってふと思い出し、読み返すことにした。理論を実践に応用したのか、実践から理論を導き出したのか、阿川さんはどちらかというと後者なのではと思っている。
知的で、ちょっぴりユーモアもあって、素直で謙虚。そういう魅力的なヒトになりたいなあ。 -
阿川さんのお人柄にあふれる気持ちの良い本でした。聞く力と言うテーマには物足りない一冊、出版の都合が感じられて残念。阿川ファンの私には◎
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年末年始で少し本が読めるかな?と借りました。インタビューというのと、対話とか、人の悩みを聴くとかは取り組み方というか、姿勢は違うだろうけど、やはり基本は、相手に興味を持つことに尽きるのかなと思いました。阿川さんって、サバサバしてる感じで、ガハハと笑ってるイメージだけど、頭の回転の早い人だと再認識しました。ちょっとした言葉を聞き逃さないことや、自分の勘や、ひっかかりを大切に相手の語ることを聞くことは普段のコミュニケーションでも大切にしたいですね。