がん放置療法のすすめ―患者150人の証言 (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166608577

作品紹介・あらすじ

ほとんどの人は癌を見つけたらすぐに治療を始めるが、著者は慌てて治療を始める不利益を説く。放置しても癌が転移せず、大きくもならない人が多数いるからだ。放置している患者さんたちの証言は、従来の「たちまち増大し転移する」という癌のイメージを覆す。

感想・レビュー・書評

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  • 症状がなければ、治療は不要。これが、がん放置療法の思想。症状がないうちは、「もどき」である可能性がある。生活を改善すれば癌が消えることも大いにありうることと思う。もし、癌を見つけられてしまったら、この本を読んで、放置を実践しようと思う。


    ・マンモグラフィは絶対に受けては行けない。
    →これほど強く言い切っているとは思わなかった。アメリカで、40歳以下の人は、マンモグラフィを受けないことが推奨されていることは知っていたが、推奨ではなく、禁止とは、びっくりした

    ・がんは原発部分が発見された時点で、すでに転移している。
    →発見できないもっと小さいときに、転移はしている。

    ・もどきが非常に多い。
    ・組織検査でも1%は誤診(癌でないのに、癌と診断している)がある。
    ・医者が癌だと思えば、証拠が見つかるまで、検査を繰り返す。挙げ句の果てに、全摘手術をして、良性で良かったですね。という。患者は全摘で命に関わるけがを負うことになったというのに。

    ・定期検査を受けても、寿命は変わらない。リードタイムバイアスのまやかし。早期発見すれば、発見からの生存期間は長くなるが、後で発見してすぐに亡くなっても、トータルの生存期間は変わらない。

    ・膀胱癌。進行癌なら、転移ありで全摘しても意味読み終わった。もどきなら、なおさら。
    →もっと早くこの本に出会っていれば。

    ・膀胱癌を放射線治療する場合でも、病変を削らないほうが、放射線を精密に当てることができて良い。削ってしまうとうまく放射線を当てられない。膀胱は放射線感受性が高いため。

    ・患者の検査をしないと、病院収入は700円にしかならない。

    f

  • 2014.11―読了

  • ガンを放置してみると様々な経過を辿ることが分かる。たいした変化がないケースもあれば、がん自体が縮小し消失してしまうケースもある。がん放置療法期間中は、がんであることを忘れて何も検査をしないのがベスト。何も検査をしないのがどうしても耐え難いのであればPSAを測ればよい。それにしてもひとたび放置療法を始めたのであれば、症状がでない限り、どこまでPSAが上昇しても静かに様子を見ていればよい。そもそもガンは自分自身の一部。それを叩こうとしたら体の方が参ってしまう。たくさんの証言が、ガンは放置に限ると思わせる。
    そんな中、見逃せないのが血中コレステロールの値が低い人ほどガンを含めて死亡率が高くなっているという事実。一番短命なのは超肥満グループではあることは論をまたないところではあるが、以外にも二番目に短命なのは痩せすぎグループ。実はコレステロールは細胞の壁を作る重要な成分で、これが足りなくなると正常細胞が弱くなりがん細胞の増大と侵入を助ける事になるのだ。コレステロールが減るとがん死亡率が上昇するということである。メタボにならない程度においしいものを食べる。これも立派なガン治療。自然体が一番ということ。

  • がんもどき理論でおなじみの近藤医師の臨床医としてのまとめの本だと思った。2014年に定年退職を迎えるそうで、数々の今までの症例の人のその後を紹介しており、固形がん(血液がんとかは含まない)の部位別に、症例を2~3例ずつその後を含めて紹介している。

    部位別とはいえ、がんもどき理論やがん幹細胞についてのことなども時折ふれている。個人的には入門的な説明の本ではなく、それらの本で近藤理論ある程度知った人がその後の最新医療の知識やこの治療方法による患者のその後を知るための本という位置づけだと思う。

    医学界に賛否両論を巻き起こした本だが、最近の免疫療法の発達などがんへの治療も進んでいる。少しずつ、癌の本質、治療法が進んでいると感じた本だった。

  • 重い内容だ!
    これだと、ガンに対する覚悟がしやすい!

  •  よく、医療や経済とか専門分野で一般人が常識と思っていることと対極のことを主張する諸所の本がある。
     専門家同士が反対のことを主張し、最終的には素人である我々に決定させることがよくある。というか、世の中のほとんどがそういうことになっている。私から見たら”何のための専門家なんだ”と思う。
     本書も”がん”は、早期発見、早期切除、だめなら薬物療法、放射線療法等。という我々(私だけかな?)の常識に対して、”がん”はみつかっていても、基本的には放っておけという内容。 
     著者の主張は、”がん”には本物ともどきがあり、もどきは放っておいてかまわない。本物も見つかるときには、すでに転移しているのだから切除しても意味がない。抗がん剤も毒でしかない(その理由は良くわからなかったけど。)という内容。だから、無理に切除とかの外科的治療をすると、生活の質(QOL)が低下するので、放っておくのがベスト。それで死ぬのであれば、何をやっても死ぬという内容。
     本書だけ読むと、そうかな?とも思うが、実際に自分がもしがんを言われ、治療を勧められたら、どうするだろう。
     それ以前に専門家同士で素人にもわかる指針を出してもらいたい。(ムリか?)

  • 組織検査で癌と確認された後、放置した場合の実像。大学病院で、多種、様々な進行度300人超を診てきた経験から、転移しないタイプのがんがある。

    最初のガン幹細胞が生まれた時点でタイプが決まる。転移タイプなら発見された時には手遅れ、無転移タイプなら治療は要らないと。結局、ガンって、だれでもなっているものなのかも。

  • 近藤先生、すごい。
    このような内容の本を書いていると、周囲からの反発もかなりのものと思われる。でも、近藤先生のような考えをもつ医師を求めている人は多くいる。願わくば、現役を続けてほしいです。

  •  様々な実例を挙げながら、ガンを発見しても放置して経過を見るガン放置療法を紹介する。

     要するに、悪性の転移するようなガンは発見した時には手遅れだし、害を及ぼすようなガンもどきは取る意味はない、よってガンは手術で取り除くことは意味がないというのがこの先生の主張である。素人としては本当か?と思うが、なかなかに説得力がある。
     治療法というのは一度流行ってしまうと治療しない場合との比較が難しく、本当に代償に見合った効果があるのかを判断すること困難になってしまうことは確かにそうだと思う。

     追記
     色々と悪い意味で話題になってる人なのか。。。

  • 現代医学の無力さ、医療界のおかしさを感じた本。
    各癌ごとに、標準医療での生存率と、実際に著者が診た放置療法のケースが対比されていて参考になる。
    著者は研修医時代から教授になるまで強力な抗がん剤を用いた治療を行っていたが、患者の寿命がかえって縮まっていると、目の前の現実を直視して再構築したのが、がん放置療法。これを大学病院が認めたというのが凄い。この方法だと病院収入は1人700円になってしまうから、全国的に広めるのは難しい。この方法が試みられないのは、病気を放っておくというのが日本では倫理的に許されないこと、医者自身も癌は切って治すとしか思っていないこと(養成制度や研修の問題)、診療加点制ゆえに経営がなりたたなくなることなどがあるだろう。著書は淡々と事例ケースを読みあげているが、このような背景が読んでいるうちに頭をかすめてしまう。

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著者プロフィール

1948年、東京都生まれ。医師。「近藤誠がん研究所」所長。
73年、慶應義塾大学医学部卒業後、同医学部放射線科に入局、79~80年、アメリカへ留学。83年から、同放射線科講師を務める。96年に刊行した『患者よ、がんと闘うな』(文藝春秋)で抗がん剤の副作用問題を初めて指摘し、医療の常識を変える。2012年、第60回菊池寛賞を受賞。13年、東京・渋谷に「近藤誠がん研究所・セカンドオピニオン外来」を開設。14年、慶應義塾大学を定年退職。
ミリオンセラーとなった『医者に殺されない47の心得』(アスコム)ほか、『「健康不安」に殺されるな』『「副作用死」ゼロの真実』『コロナのウソとワクチンの真実』(和田秀樹氏との共著)『新型コロナとワクチンのひみつ』(以上ビジネス社)、『最新 やってはいけない! 健診事典』(講談社)、『医者が言わないこと』(毎日新聞出版)、『どうせ死ぬなら自宅がいい』(エクスナレッジ)など著書多数。
2022年8月13日逝去。

「2023年 『医者に殺されるなー僕が最後まで闘い続けた"医療不信"の正体」(仮)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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