ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)

  • 1107人登録
  • 3.44評価
    • (57)
    • (115)
    • (143)
    • (45)
    • (10)
  • 155レビュー
著者 : 今野晴貴
  • 文藝春秋 (2012年11月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166608874

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ウォルター・アイ...
クリス・アンダー...
國分 功一郎
有効な右矢印 無効な右矢印

ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)の感想・レビュー・書評

  • ブラック企業が恐ろしいということは分かった。ブラック企業との対峙の方法も分かった。ブラック企業が生まれた背景も、ブラック企業を支える弁護士・社労士の存在も、彼らが生まれた背景も分かった。だけどそれらの多くを多分本書の読者は既に知っているのではないか。
    以下、読書感想文ではなく、ブラック企業に関する個人的な意見を。
    僕には、ブラック企業に関して、一つだけ分からないことがある。
    ブラック企業が、法的なリスクや世間の批判に晒されることのリスクをとってまで、なぜブラック企業でい続けるのかということだ。
    そこには、本書的な批判が批判として機能しない、つまり、「そこはブラック企業でダメだ!」という指摘が意味をなさない文法が存在するはずであり、それをこそ、我々は掘り下げて分析する必要があるのではないか、と僕は思うのだ。
    つまり、我々が本書の視点から見たときに「リスク」とすることであっても、彼らにとってはリスクでない可能性がある。我々がネガティブに捉える事象が、彼らにとってポジティブな事象である可能性がある。我々の合理性と彼らの合理性が異なる可能性がある。
    レヴィ=ストロースが『悲しき熱帯』で、ブラジルの原住民の生活に寄り添うことで、「白人中心主義」の構造を逆説的に導き出したように、我々も、あえてブラック企業に寄り添い、ブラック企業の中の文法・ブラック企業がブラック企業であることから脱け出せない構造を分析することで、新たに見えてくることがあるのではないか。そして、それこそが今後のよりよい社会のための視点なのではないか、というようなことを、僕は思ったりするのだ。
    まあ、お前がやれよ、って話ですよね。

  • 学生や20代の社会人には、自分には関係ないことだと思っても、一度読んでみてほしい。読むと気持ちのよくなる本ではないが、このままではいけない、という危機感を感じると思う。
    私もブラックな環境で働き、一度心身を壊した身なので、この本を読み、当時を思い出して苦しくて仕方がなかった。今そのような環境にいる人には、自分が悪いのだなどと思ってもらいたくない。潰れてしまう前に、辞めるか戦うかの選択をしてほしいと思う。
    ブラック企業は、入ってしまった個人の問題ではなく、「社会問題」として捉えるべき問題ということ。ブラック企業に必要な人材は、今の就職活動によって作られていること。たくさんの新しい視野を頂いた。
    簡単に解決する問題ではないと思いますが、著者の今野さんを、本当に応援します!

  • 自分の勤めていた会社がやっと倒産手続きに入ったとのことで振り返って感想と愚痴を(笑)
    もう少し早くこの本に出会えていたらもっといい解決ができたのかな。
    読み終えた時点ではあまり役に立たなかったが参考になった。
    私の勤めていた会社は賃金が○年未払いな上に過労死ラインを超えるサービス残業を平気で強制するところだった。
    労基の是正勧告も悉く無視。
    今冷静になって考えると心筋梗塞などを発症するリスクがぐんと上がるし怖いことしていたと思う。
    私は見なし倒産の申請が通り立替制度を使うことができたけど、退職のタイミングで適用されなかった人もいる。
    社長が頑なに倒産を拒むし、残った社員も従順に仕事をこなしていたようで、長引いてしまった。
    半年という期間は短すぎるのでもう少し長くするか何か対策が欲しいなと思う。
    早い段階で協力者を募り、労働組合に加入するなり弁護士に相談するなりしていれば情況は変わっていたのかなと激しく後悔。
    今後はこんなことがないように何かあれば早めに考え、動けるようにしたい。

  • ブラック起業出現の原因、成長までの過程、対策とブラック企業が日本の市場にもたらす損失などについて分かりやすく書かれていた。
    特に、損失の面については若者の労働人口の減少、治療による医療費の増加、出産率の低下などは個人として特に懸念する内容だった。

    作者のあとがきにも書かれていたが、これは他人事ではなく日本国全体にも関係のある内容であると受け止めることが重要である。

  • 大佛次郎論壇賞を獲ったことで本書を見直した。湯浅誠が2008年「反貧困」で同賞を獲った時と、2013年に同賞を獲った今日ではギアが数段上がっていると著者は考えているのかもしれない。もはや徐々に社会から排除される「すべり台社会」ではない、一度ブラック企業に入ってしまったらその時点でアウト「落とし穴社会」になってしまったと著者は云う。

    いろんなブラック企業が出てくる。ワタミやSHOP99、ウェザーニュース。しかしもっとも印象的なのは、訴訟に持ち込まれていないためにX社という言い方でしか紹介されていない(私はあえて言う)ユニクロの実態である。

    私は小さな建設会社でブラック企業的な扱いを受けたことがある。そこでは労基法違反が十数例平気で罷り通っている最低の職場だった。これは親方的な感覚の社長が、自らの小さな財産を守るために行う無知我儘な振舞いだった。よく考えると、売り手市場の労働環境を背景に、入ってからも選抜を繰り返すやり方は、まさに現代のブラック企業の小型版とでも言うべきものだった。私はさっさと辞めたけど、数社を渡り歩いてここを辞めたら将来が無いと悲観していた青年はどうなったのだろうか。鬱を発症したら、それこそ落とし穴に嵌ってしまうだろうに。

    ユニクロはなかなかずる賢く対処している。本人が心の病気で優しくも(訴えらるのではなく)退職しようとすると、いったん休職させて治ってから辞めさせているのである。これで「労働災害」としてのリスクはなくなる。その他よほど優秀な社労士がいるのか、ユニクロは未だ裁判に持ち込まれていない。

    この本には様々な対抗方法が記されているが、最も大切なのは、ブラック企業がいかに国益を害するのかを指摘している処だろうと思う。「ブラック企業の成長それ自体が、日本の医療費等の直接的な、あるいは労使関係の信頼という間接的な財産を食いつぶして成立しており、実質的な意味では「一時的な成長」だということも出来ない。」(177p)

    著者は根本的な社会的対策を提言する。労働時間規制、過労死防止基本法、非正規雇用規制、失業対策。しかし実情は反対方向に向かっているのは、ご存じの通り。残業ゼロ法案、非正規雇用拡大、職業訓練の縮小等々である。対策としては、労組やNPOに相談、加入して労使関係の再生に取り組もうと呼びかけている。また、中学・高校での労働法教育の充実をあげている。大賛成である。というか、「ブラック企業」という言葉のみが一人歩きするのだはなく、多くの労働者がそこに気がついて欲しいと思う。
    2014年6月19日読了

  • 終身雇用制に伴い,良好な労使関係を築いてきた日本型雇用だが,グローバル化の流れの中で,その形態も崩れつつある。日本型雇用の副産物である「家族型経営・サービス残業」といった言葉も,その実質的な形を変えつつある。企業側も生き残りに必死であり,ブラック企業=悪と一方的に決め付けることは難しい側面もあるのだが,教育現場においては,もしもの時の自分の身の守り方,ワークライフバランスの概念は,しっかりと身につけさせておきたい。「仕事に打ち込める社会人」を育てることと同時に,「たかが仕事,と良い意味で割り切れる社会人」としての良識も育てていくことが必要だ。キャリア教育の真価が問われる時代でもある。

  • 日本人のイヤな部分満載。
    子どものイジメも、根はブラック企業と同じ

  • マスコミは、業績を伸ばしている新興企業の経営者をカリスマ視して持ち上げ、経営も効率的だと好意的に取り上げることが多い。そのような企業の中には、労働者を労働者として存在させ続けるコストも払わず、使い捨てし、精神的に潰している企業もあることもしっかりとりあげるべきだ。。
    こうした企業がある事実がわかれば、いくら業績が良くても効率のみを追求し、人材を大切にしない企業は支持されないはずだ。多数の人々が不幸になっていくことを望んでいるわけではないから・・・。
    このままこうしたブラック企業を放置すると、素直で道徳心が高く協調性があるという日本人の美徳(悪く言えばお人好し)を食い物にし続けて、他者に対して猜疑心ばかり(多くの他国と同様)の荒んだ社会となってしまう。もう徐々にそうなりつつあるのが怖いのだが・・・。
    まずは、こうしたブラック企業の求人に全く応募者が集まらなくなるようにするべきだ。
    著者は単にブラック企業をモグラ叩きするだけでなく、日本社会の未来を変えるべく活動している応援したい。

  •  いわゆる「ブラック企業」の実態と、それに対する対策を記した本。裁判沙汰になっている企業は実名で、そうでない企業もなんとなくわかるように紹介されているので、ああ、あの会社ってそんななんだー、と思う。


     もちろんこの本に紹介されているようなブラック企業ってまったくもってダメなんだけども、それでもちょいちょい「いや、それは企業としてドライでストイックなだけであって、それが無理ならその企業と合わないんだから会社辞めるしかやいやろ」というのもある。毎日嫌がらせを受けてノイローゼになるまで精神的苦痛を受けることと、毎日4時間残業が前提になっていることは並列に並べると議論がぶれるような気がするんだよね。毎日4時間くらい残業してた時期があるものからすると。(最近はゆるいけど)


     筆者は会社に毅然として労働条件の改善を求めることが必要だというけれど、たぶん労働者が求める条件を受け入れるとその企業は企業活動を続けていけないのであろうし、そもそもその違法な労働環境を続ける企業があってよいものではない。で、あればそんな企業に入らないで起業するか、労働市場できちんと選別されるべき。でもそれって労働者が企業を選別する能力と環境が前提なのであって、そう考えると「ブラック企業」問題とは、個人の資質にその解決を求めるしかないじゃないかなあ、と解決にならないことを思った。

     
     

  • 就活生にぜひ読んでほしい。
    読み方としては、1章⇒7章⇒8章⇒もう少し読みたければ他の章も。
    って感じ。
    1章ではブラック企業の「パワハラ」「使い捨て」「選別」などの実態を知ることができるし、
    7章では自分たちがしている就活とは何か、を客観的に見ることができる。

    ただ、ブラック企業を無くす、若者がこの労働環境を変えていく具体的な解決方法は、著者自身まだ模索中のようだ。

    就職する前にこの本を読めてよかった。労働法教育に興味を持ったので、POSSEさんのホームページを拝見しようと思う。

  • ブラック企業の登場の背景についての分析はなるほどと思った。確かに指揮命令権の対価として安定雇用の保証を意図的に欠落させていることが、大きな特徴だと思う。提案は少し説得力が弱く感じる。高福祉社会の確立は書くのは簡単だが、実現はなかなか難しいのではないか。

  • 豊富な具体例に基づき、よく分析されている。
    「日本のあらゆる企業がブラック企業になりうる」、「普通の人が生きていけるモデルの策定」など、まさにその通り。
    就職前の若い人だけでなく、全国民が本書を読んで、個企業や個人の問題ではなく、日本社会全体の問題であることを認識すべき。

  • 必要なのは、ユニオンの「戦略的思考(なにそれ?)」の前に、自分の勤め先とそこでの自分の相対位置を客観視できる冷静さ、過去の自分と環境に対する冷たさじゃないかな。社会問題としてとらえるのなら、業界固有の収益構造、雇用構造とか、企業の成長段階のサイクルとか、金を貸してる銀行とか分析しないのかな。法定労働時間って業界で違うよね?なんで違うのかな?(週4時間だけど)という疑問。
    大企業と中小企業、事業所規模、新卒正社員とパートと有期契約社員と派遣と、それぞれが生活に求めるものが違うので、「ブラック企業」から引き出すべき、あるいは国の法律で解決すべき問題も違うと思うんですよね。

    まー、私は、結婚前提で教育投資や雇用条件が抑えられがちの女子の問題にしか興味ありませんけど。

  • 久々に、仕事に関係ない全くの趣味でこの種の本を読んだ。様々な実際の事例を読みながら、「果たしてこれはブラックなのか?このくらいならまだいいのでは…」などと思ってしまった私は立派な社畜なのだろう。

    確かに、日本企業が総ブラック化し、社員を使い捨て、従順で扱いやすくそれでいて成果も残せる者だけが生き残れる体質になるのは問題だ。また、企業サイドからは非正規雇用を増やさねばならない状況なのに、働く側からすれば何としても正規雇用を掴み取らねば将来的に食うに困るというのも、明らかな矛盾である。

    ただ一つ思ったのは、こうした企業のブラック化が最近のことなのか、昔からあることなのかが微妙なところ。おそらく同程度のパワハラは昔でもあったのかもしれないと思う。でも、昔は「頑張ればその先に昇進、昇給がある」という希望を懐けた。会社が大きくなり、経済が成長するという確信もあっただろう。それがなくなった今、会社で働くことに何の希望も見出せないのは当然のことだ。

  • NPO代表ということで、明らかに社員視点、社員を支援する視点で綴られていた。
    実名こそないものの、あの有名なアパレル系メーカーも登場しており、急成長することとは、様々なところで歪みが生じるのだなと感じ入りました。
    これは、企業側だけの問題というよりも、きっと社会問題なのでしょう。
    急成長したい企業側の考えと、労働と余暇のワークライフバランスを重視したい社員側の利害のコンフリクト。
    もっと言い換えると、世代間対立か…。
    でもIT系企業の経営者は若い方かもしれないので、モチベーション間のコンフリクトか。
    今の時代は、企業情報はそれなりにとれると思うので、選んだ責任というもあるのかなと感じました。

  • 本書に書かれていることは誇張でもなんでもない。つまり、そこにある事実として、就活中、転職活動中やその希望者は読んでおいた方がいい。特に、本当は高卒ないし専門学校卒の就活者が読むべきだろうが…。また、安いことを標榜する、売りにする外食産業、アパレル、運輸業者その他の業者を利用するユーザーは、間接的にこのブラック企業のやりように加功している認識を持った方がいいように思う。

  • 今の日本では「これ以上は働けない」 と自分からいえる人だけが 生き残れるみたいだ。 社員を使い潰す以外に 能のない企業などさっさと 退場させなきゃね……。(ツイッターより)

  • ブラック企業勤務者の体験談が痛ましい。

  • 労働者をコストとみるか投資と考えるか、「コストと考え経費削減はまず人件費」という発想が前面に出すぎている。結局若者に皺寄せ。ブラックとわかっていても働かざるを得ない現実。胸が痛む!

  • 再読

    いろいろなタイプのブラック企業がある

    大切なことは自分の能力を高め精神を鍛え立ち向かうこと

  • 02.10.2016 読了
    働き方とか自分の身の振り方とかを再度振り返った。
    理不尽さとか非効率さとかが企業として、社会としての成長を阻んでいるのかな。
    自分の職場を振り返っても、悪しき習慣とか前年踏襲はザラにあるし、価値観を変えなきゃね。

  • 果てしなく残念な一冊。文春新書でまともな本にあたったことは今だかつて一度もないな…。

    本の中で紹介されている「ブラック企業」の実態は現実であるし、それが社会問題になっているのも事実だが、企業あるいは社会人としてあまりにも当たり前のこと(たとえば「非稼働はコスト」だったり、「話している人の方に椅子を向ける」だったり)を、鬼の首でも取ったかのように「ブラック」扱いしていて、議論全体のレベルが低い。事実誤認(たとえば「IT業界で35歳が定年と言われているのは、単純なマニュアル仕事を体力の続く限りやらせるから」とか、「中小企業は労働条件が悪い」など)も目立つし、著者が「対策」として推奨する「戦略的思考」とやらはあまりにも幼稚で現実的でないばかりか、鬱病発症の可能性を増大させる危険な方策だ。入社後に競争があることを取らまえて「ブラック」だと言われると、「この著者、ゆとり世代?」としか思えない。たぶん、就労経験も無いんだろうな、この略歴から察っするに。

    使えない社員に対して退職を強要する手段が横行するのは、企業の問題というよりも会社都合解雇を容易にみとめない日本の法制度の問題だし、新卒採用で(に限らず、40代、50代でも)退職に追い込まれると再就職が難しく、どんなに労働条件が過酷でも今の会社にすがり付かなければならないのも、新卒偏向採用という社会的習慣の問題だ。本来ならば流動性が求められるはずの労働市場と、従来の日本的な長期雇用の狭間に生まれたのが「ブラック企業」という妖怪であり、これを退治するためには、日本社会として様々な側面から同時多発的に労働力の流動性を高める政策を取る他はない。著者は何だかんだ言って「楽して長期雇用」の道を模索しているので、いろいろな箇所で議論が破綻している。

  • ブラック企業。。。昨年から凄く流行っている言葉ですが、この本を読むと、企業側の仕組みが凄く理解できます。。こんなことをしていては、日本という国の若い世代が全部、病んでいってしまうと感じます。。  しかしその根幹の原因は長きにわたって続いたデフレに問題があるとも感じますね。

全155件中 1 - 25件を表示

ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)を本棚に「積読」で登録しているひと

ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)の作品紹介

違法な労働条件で若者を働かせ、人格が崩壊するまで使いつぶす「ブラック企業」。もはや正社員めざしてシューカツを勝ち抜いても油断はできない。若者の鬱病、医療費や生活保護の増大、少子化、消費者の安全崩壊、教育・介護サービスの低下-。「日本劣化」の原因はここにある。

ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)のKindle版

ツイートする