憲法改正の論点 (文春新書 929)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166609291

作品紹介・あらすじ

7月の参院選における大きな争点となった「憲法改正」問題。これまで戦後60余年、自衛隊の存在をめぐる、いわゆる「9条問題」を中心に、国論を二分する大論争を巻き起こしてきたのは、ご存知のとおりです。しかし、自民党の圧勝を受けて、憲法改正に向けた動きが加速するのは間違いありません。 では、改めるべき条項は、第9条と、改正手続きを定めた第96条だけでよいのでしょうか。 現在の日本国憲法が制定されたのは戦後間もない1940年代後半のこと。そこに盛り込まれているのは、当時の社会通念に照らした権利です。「知る権利」や「環境権」「プライバシー権」など、現代生活において守られるべき諸権利は、当然ながら日本国憲法には明示されていません。 憲法学者で、安倍首相の諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)のメンバーでもある駒澤大学名誉教授の西修さんが、1990年以降に制定された世界の「新憲法」の動向を精査した上で、21世紀の日本にふさわしい憲法の姿を明示したのが本書。天皇の位置づけや安全保障のあり方、非常事態への対処など、憲法改正議論の問題点を鋭く突きます。【目次より】第1章 憲法学者が日本を亡ぼす?第2章 世界の憲法比較から見える日本国憲法第3章 日本国憲法誕生の内幕第4章 刷り込まれた護憲意識第5章 安全保障法制の再構築に向けて第6章 「この国のかたち」としての憲法第7章 ここだけは改めたい ――『改正要綱』の作成を通じて

感想・レビュー・書評

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  • 考え方はかなり違うが、割に面白い書。◆ただ、戦後を超克すべきものとだけみるのは、納得いかない。ここで得られたもの、この時代に得られたものは多い。特に検閲なく自由に発言できる社会。社会的弱者・老齢者や障害者の保護、女性参政権等は無視できないだろう。また、新憲法が長期間支持を受けてきたことも、日本の歴史ではないのかなぁ、という感想もある。根本的に、旧憲法下で実現できていなかった社会、つまり戦前の短所の指摘が皆無、新憲法が権力暴走の歯止めとなっていた視座が皆無なので、物足りない。◆なお著者の国家観は楽天的すぎ。
    なぜ、立憲主義が生まれたのか。猛獣は手綱を上手く引いておかないと暴れだし、飼い主をかみ殺す。18世紀だけでなく、現代でも妥当しようなものを…。

  • 【9条、96条だけが争点ではない!】国内外の情勢変化に適応できない憲法は国民の安全を脅かしかねない。戦後六十余年タブー視されてきた改正議論に終止符を打つ決定版。

  • 憲法の成立過程や他国の憲法との比較など、改憲派にとってはバイブルになるような一冊です。

  • 筆者(西修)の日本国憲法改正案が書いてある本。
    憲法を学ぶ初心者にいきなり改憲を解かれてもピンとこない。よってこの本は多少なりとも憲法に精通した人間でないと得るものはないだろう。

    ただ6章「この国の形としての憲法」に語られる憲法成立の歴史はためになった。

  • なんとなくこれまで習ってきた憲法論の気持ち悪いところを解決するヒントがありそうで読みました。
    現行憲法の制定経過や各国比較が参考になると思います。

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著者プロフィール

西 修(にし おさむ)
1940年、富山県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学大学院政治学研究科修士課程(憲法専修)、同博士課程修了。政治学博士、法学博士。駒澤大学法学部教授をへて、現在、駒澤大学名誉教授。専攻は憲法学、比較憲法学。メリーランド大学、プリンストン大学、エラスムス大学などで在外研究。第一次・第二次安倍内閣安保法制懇メンバー。第34回「正論大賞」受賞。主な著書に、『現代世界の憲法動向』、『日本国憲法成立過程の研究』(以上、成文堂)、『日本国憲法を考える』、『憲法改正の論点』(以上、文春新書)、『図説日本国憲法の誕生』(河出書房新社)、『国防軍とは何か』(森本敏・石破茂氏との共著、幻冬舎ルネッサンス新書)、『憲法の正論』(産経新聞出版)、『いちばんよくわかる! 憲法第9条』、『世界の憲法を知ろう』『証言でつづる日本国憲法の成立経緯』、『憲法9条を正しく知ろう』(以上、海竜社)ほか多数。趣味は落語で、芸名は「またも家楽大」。

「2021年 『知って楽しい世界の憲法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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