勝負心 (文春新書 950)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166609505

作品紹介・あらすじ

羽生善治が最も恐れる男ゲンは担がない、将棋に運や調子は関係ない、すべて実力…現役で唯一羽生善治と互角に渡り合うトップ棋士が勝負を制する極意を語る。

感想・レビュー・書評

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  • 現在の将棋界で、羽生さんに並び立つ存在であり、やがては羽生さんに取って代わる可能性もある渡辺竜王による勝負論。

    昔は盤外での駆け引きも将棋の一つという考え方がありましたが、渡辺さんはこれを全面否定し、将棋の実力が全てと言い切ります。実力をつけるために、全力で普段からの研究を怠らないこと。現代の将棋では特に、序盤の研究を怠れば、まったく勝負にならずに負けてしまうそうです。現実的な考え方が、ビジネスなど一般社会人にも参考になります。

    渡辺さんは今、30代。既に次の世代が台頭してくる年齢になってきましたが、これからも羽生さんのように長くトップ棋士であり続けて頂きたい。これまでは天賦の才で勝ち続けてきた印象もなきにしもあらずで、これからが羽生さんのようになれるのかの正念場。応援しています。

  • 渡辺竜王(当時)による本。
    2013年初版発行。

    羽生九段をとても意識してること、競馬が好きらしく、羽生と福永騎手の話がよく出てきて面白かった。

  • 羽生さん以外の棋士の本を読むと羽生さんの凄さが分かる。渡辺さんは羽生世代以上と比べると(いい意味でも悪い意味でもなく)ドライな感じがする。ふと本の袖を見たら同じことが書いてあった。趣味:競馬というところは、(変な言い方だけれど)人間味を感じる。上の世代を考えると、そこまで将棋以外のことで打ち込むことがあるという人はなかったような印象。

  • マンガの「将棋の渡辺くん」と同一人物には思えない!

  • 勝負心
    渡辺明
    2013年11月20日第1刷発行
    2017年6月8日読了

    永世竜王有資格者、渡辺明の勝負に対する姿勢、将棋に対する考え方などをまとめた一冊。
    渡辺竜王は完全な「実力至上主義社会」勝負に調子も不調もない。という思考のもと徹底した事前研究をベースに対局に臨む姿勢が書かれていました。

    ・「不調も3年続けば実力」という言葉がある。渡辺竜王からして見れば調子の良し悪しなどない。すべて実力だ。
    ・佐藤康光九段とは読み筋がことごとく合わない。というのは中々面白い。
    ・プロ棋士の「読み」について、将棋には五手が1組で、また次の手も五手で1組でということがあり、それも含めて読んだら、すぐに20〜30手くらいになる。
    ・熱意こそ才能
    などなど気に入ったフレーズ、お話。サクッと読めます。

  • 羽生善治に挑戦する若きチャレンジャー。渡辺明。
    その本を読んでみたいと思って、読んだ。

    実に言葉の選び方が 平易で 平凡である。
    煌めく言葉が あまりないから、
    結構 手慣れた 芯の強い人なんでしょうね。
    羽生善治への あこがれ みたいなものが
    強く押し出されていて、
    あらためて 羽生善治と言う天才のすごさを感じる。
    それでもって、偉ぶらない。
    「羽生善治は生きた教材」という渡辺明の表現が合っている。

    「熱意こそ才能である」
    「最後にミスした方が負けるゲーム」
    しかし
    「後悔は時間の無駄」と言いきる。

    切り換える能力が高く、情熱が持続するというのが
    渡辺明の 強さかもしれない。
    しかし、この本には、それをうまく言い表せていない。
    闘い続けていて、良く見えない状態かもしれない。

  • さて、竜王失冠がかかった第5戦を目の前に、渡辺明の最新書を購入。渡辺明の魅力は、あんなにぶおとこなのに(失礼)、堂々とし、言動がきわめて率直なところだと思う。本書でも、毒舌・自慢部分もありつつ、最大の読みどころは、羽生礼賛。ライバルとしてここまで心酔部分を明らかにしてしまってよいのかとたまげるほどである。はてさて、明日の竜王戦はどうなるのだろう???

    (追記)おお、失冠か。このタイミングでこの本。本人的にきついと思うが、これからこそ本当の意味の強さが試される勝負。がんばって欲しい。

  • 羽生さんへの敬意あふれる内容でした。全体的には広く浅い感じですね。

  • 羽生の「決断力」が面白かったのでこちらも読む。
    PC将棋について書かれた部分に新味がある
    序盤の重要性を指摘するのは羽生の本と同じ。

    タイトル戦は7つ
    旅館の鴨の鳴き声、集中していると気にならない
    30 誰でも指せる手を互いに見過ごす

    32 一分将棋の「指運」
    34 開き直るのと諦める、紙一重の差
    41 羽生の将棋、弱点が無い。これといった特徴もない
    42 羽生相手、一手もミスしてないのに負けている

    46 強い人ほど負け将棋の内容がいい。苦しくても僅差に持ち込み、簡単に土俵を割らない
    52 勝負事は、最後の一歩が近そうで遠いもの
    59 敗因、細かいところで精度が低かった

    61 玉を固めての無理攻めが流行
    62 事前研究がすごく大事
    71 昔の序盤戦は牧歌的

    83 大山の盤外戦
    90 定跡の大事さ
    94 勝負強い。プロ同士の対局には「本番」しかない
    96 調子と言う概念はない。すべて実力

    99 強いものが勝つ。それが勝負というものだ
    99 10秒であってもプロは「読む」
    101 日ごろから突き詰めて考える努力があってこそ、
    最善手を指す正解率が高まる
    104 ゲンは担がない。事前準備、体調管理、対局場に無事着く
    107 プロ棋士は研究が仕事、対局は集金by森下卓
    116 ざっと千手くらい読む
    121 3手目で相手の実力が分かる
    122 最後にミスした方が負けるゲーム
    125 後悔は時間の無駄
    127 仕掛けの是非や中盤の分岐点は調べる。次の対局につながる。敗着を放った局面は、正解手を知れば十分

    129 真剣勝負の対局には、精神的な余裕重要
    139 PCは交通手段でいうと、一本乗り遅れると次の電車まで30分時間ロスするような手を打ってくる。
    142 PC、どんな手順を考えているかも表示できるので勉強になる
    155 熱意こそ才能である
    159 二十歳くらいで将来が見えてしまう世界
    166 谷川「光速の寄せ」。疾風の如く最小手数で勝ちを目指す

  • 悪手を一つも指していないのに気が付いたら負けていることがあるっていう話が印象に残った。

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著者プロフィール

1984年東京生まれ。将棋棋士。1994年、奨励会入会。2000年、史上四人目の中学生棋士となる。2004年、棋界最高位の「竜王」を獲得。2008年、五連覇を果たし初代「永世竜王」の有資格者となる。以降、九連覇を達成。2013年、「王将」「棋王」を獲得し、三冠王となる。さらに2017年、棋王戦で五連覇を果たし史上二人目の「永世棋王」となる。趣味は競馬とフットサル。著書に『四間飛車破り』(全二巻、浅川書房)、『勝負心』(文春新書)、『渡辺明の思考:盤上盤外問答』(河出書房新社)等がある。

「2018年 『増補 頭脳勝負 将棋の世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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