新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方 (文春新書)

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著者 : 池上彰 佐藤優
  • 文藝春秋 (2014年11月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166610006

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新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方 (文春新書)の感想・レビュー・書評

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  • 当代きってのインテリジェンス・プロの、池上彰と佐藤優の対談。面白くないわけがないと、本屋で即買い。期待を裏切らない面白さであった。
    特に佐藤優のロシアとイスラエルとキリスト教という特殊な切り口を持った凄い分析力に魅力を感じる。全然違うタイプのこの二人の波長が何故合うのかも不思議の一つ。

    【中国の民族問題】
    ・国内に56もの民族を抱えている中国は、今の共産党政府に従い、宗族のネットワークさえあれば近代化は可能なのか? いわば中国はプレモダンの国が、近代的な民族形成を迂回してポストモダンに辿り着けるのか、という巨大な実験をやっている。

    【中東】
    ・5月の安倍内閣のイスラエルとの共同声明を日本の中東政策の大きな転換点と見る。
    ・イスラム国の特殊なのは、シリアやイラクといった国家を支配することを目標としていない。
    ・結局「アラブの春」で露呈したのは、不安定で脆弱な中東国家の実体だった。
    ・アラブの春によって、中東における共和制型の政権を倒すことに関心を持った国があった。それがサウジアラビア。アラブの春による混乱に乗じて、中東に覇権を確保することを狙っていたのではないか。
    ・金融政策や財政政策といっても、世界の富は国家を迂回して動いている。アメリカは膨大な情報を集めているが、それがテロの防止に役立った事はない。冷戦後20年も経って、政府が情報とマネーを統制できなくなっている。
    ・世の中には旧来型の戦争観を持っている国がある。ロシアであり、中国であり、イランだ。民主主義国は、極力戦争を回避して外交によって回避しようとする。ところが戦利品を獲れるという発想をもつ国は本気で戦争をやろうとする。短期的には、戦争をやる覚悟を持っている国の方が、実力以上の分配を得る。これが困るところだ。
    ・イスラエルが全力を挙げて、シリアのアサド政権を支持している。これはイスラエルにとってアサド政権は予測可能な敵だが、政権が倒れてシリアが混乱したら何が起こるか予測不可能になる。

    【欧州】
    ・カイザーのドイツ帝国は、軍事力によってウクライナを穀倉地帯として支配しようとした。その後、ナチス・ドイツは人種神話によって、同じ事をやろうとした。そして現在のドイツはユーロの力によって、それに成功した。
    ・永世中立国は大失敗だったというのが、二度の大戦からベルギー人が学んだ教訓です。周りの国が約束を守ってくれて初めて、永世中立国はなりたつ。約束を守らないという国が一つでも出てくれば、成立しなくなる。

    【北朝鮮】
    ・北朝鮮は「帰国希望者が2万人いるから受け入れてくれ」などと恐ろしい事を言ってくるかも知れない。

    【韓国】
    ・朝鮮民族が中国のすぐ傍にいながら同化されずにやってこれたのは、決定的な喧嘩をしなかったから。そう考えると中国といかにうまくやるかということが、韓国の生き残りにとっては死活問題になります。朴槿惠はそう気づいているのでしょう。

    【アメリカ】
    ・ミズーリの問題が軟着陸できるかどうかを含めて、アメリカの内政がかなりの混乱に陥るのでは。もはやオバマは外交ではなく、内政問題に縛られてくる。(早くも9月時点で指摘)
    ・オバマは頭が良く教養も高く、いわば「名誉白人」にすぎない。人種差別に関する悪を教えられていない。
    ・アメリカでは、実質的な権力を持っているのは、数としては少数派のウォールストリートであり、WASPであるという構造は変わらない。これに2050年問題(白人の少数派転落)があり、民主主義というツールは実行力を失っていく。

    【新帝国主義】
    ・フランシス・フクヤマの「歴史の終わり」のような考え方は間違っており、「新帝国主義」の時代になった。ここでは外交面では古典的な力学モデルの「力の均衡」の世界になる。
    ・「自由」というのは恐らく「資本の自由」で、それがとんでもない格差を生み出す。
    ・「平等」とは力が背景にないと実現できない。これが最終的に独裁制に繋がっていく。あるいは皇帝がいて、そのもとでフラットになる。イスラム国は恐らく平等の考え方から出て来ている。
    ・マルクスは言う「ヘーゲルは歴史は繰り返すと言ったが、そのとき一言付け加えるのを忘れていた。一回目は悲劇として、二回目は喜劇として」

    等々と話題がつきない。本当に面白かった。

  • 各国のパワーポリティクスにより国際情勢が変化する。他国が抱える問題を分析し、したたかな外交戦略が必要だ。冷戦後、民族紛争や宗教紛争が表面化し、決して世界から戦争がなくなったわけではない。問題の根本を知る機会となった。

  • 本書は、緊迫する世界情勢について、池上彰と佐藤憂が如何にニュースを読み解いているかを対談形式で語った内容をまとめた一冊。

    世界における「力」というのが、軍事・政治・金融・産業・科学技術・情報といったように分散した形で存在しているのが、今の世界であるという前提に於いて、日本はそのいずれもが弱いというのが両氏の見解。

    特に外務省の矛盾した外交政策を批判している。
    朝鮮半島有事に備えた集団的自衛権を閣議決定する一方、北朝鮮への制裁を一部解除してしまう支離滅裂さ。
    そのなかでも最高裁が朝鮮総連の不服申し立てを受けて売却手続きを止めた、「朝鮮総連本部ビルの競売」については、裁判所の過剰忖度であるとし、三権分立が機能していないとしている。これは政府の拉致問題解決に向けた動きの妨げになるという裁判所お得意の「高度な政治判断」ではないかと。

    こうした支離滅裂さは「集団的自衛権」にも見られ、強行採決までしたこの法案の内実は個別的自衛権と集団的自衛権の重複する事象で従来の政府見解を一歩も踏み越えていないものだとういう。

    冷戦期であれば、アメリカとソ連という大国同士の対立、国家同士の戦いになっていて構図が明快であったが、紛争を利権にした暴力民間企業やテロ組織・破綻国家がプレーヤーになってきているのが今の国際社会を難しくしている原因だという。

    池上氏の見解によれば、北朝鮮のシナリオとしては、経済解除→拉致問題解決→日朝国交正常化交渉だという。
    というのも小泉首相が訪朝した際の平壌宣言で、国交正常化することが決まっており、北朝鮮側からすれば、少しでも多くの金を取ろうという腹づもりらしい。
    1965年に日韓基本条約を結んだ時に日本は官民合わせて11億ドルの金を「独立祝い金」として出している。北朝鮮側からすれば、それと同じくらいの金額を現在の物価水準に合わせて提供されることを期待しているというのだ。

    で、日朝国交正常化における予測に対してここらあたりから暗い影がさしてくる。
    日本側は北朝鮮側に対し1945年前後に北朝鮮で死亡した日本人の遺骨及び墓地・残留日本人・拉致被害者などの調査を開始。
    現在の北朝鮮に在朝日本人が何万人いるかは定かではないものの、2世・3世を含めた日本人を突如北朝鮮が帰還させるとなった場合、どうなるのか?ということ。
    文化も言語も違う、大量の在朝日本人帰還が行われれば経済・地域社会は混乱を起こすことが予想される。

    拉致被害者問題が解決された後に噴出する様々な問題を予測した場合、日朝国交正常化がほんとうに必要かどうかを考えさせられる。

    また、両氏のテーマは尖閣諸島問題にも及ぶ。
    特にこの問題に関する佐藤優のアイディアには非常に心動かされた。

    まず、中国の最大の弱点は台湾省の中に尖閣諸島があると認定していることを踏まえ、当事者である台湾を除外することはできないことを利用するというもの。
    「地方政府同士が交渉するとした場合、台湾省が中国側の当事者となるので、漁船同士の問題に関しては那覇政府と台湾政府の管掌という位置づけにしてローカル政府のレベルで話し合う枠組みをつくってしまえば軟着陸できると思います。我々は台湾と交渉しますと」

    この交渉テクニックが披露できるあたり、さすが外務省のラスプーチン!

    最後は両氏のニュースソースに話が及ぶ。

    スパイの情報源の98%以上が公開情報であるから、複数のニュースソースを閲覧することが大切だという。
    情報源として挙げられたのが、インターナショナルニューヨークタイムス・朝日新聞・東京新聞・沖縄タイムス・イズベスチヤ(ロシア)・赤い星(ロシア)・産経新聞・日経新聞 ・CNNウェブサイト・ウォールストリートジャーナルウェブサイト・北朝鮮のネナラウェブサイト。 

    佐藤氏は最後にこうしめくくる。
    「嫌な時代になってきた。これからの世界を生き抜くためには個人においては嫌な時代を嫌な時代と認識できる耐性を身につける必要がある。そのための通事性においては歴史を知り、共時性においては国際情勢を知る事。知識においては代理経験をして嫌な事がたくさんあるというのをよく知っておくことです」

    両氏のプロレスのような知識の応酬に、ただただうなずくだけであったが、情報に対する真摯な態度が好印象であった。

    本旨とは関係がないのだが、両氏は兵器に関する知識も多分にあり、特にイスラエルの暗殺飛行機に関しては、SF小説を読んでいるような錯覚すら感じたほどだ。

  • 欧州、中東、アジア、アメリカとそれぞれの地域の過去と今、そして未来へと孕んでいる問題を
    それぞれが独自の情報網でもって解説。現地からの情報も多くこちらにも響きやすい。
    ・アメリカの民主党は中国重視のため尖閣問題には及び腰。その中国もウイグルの民族、宗教問題から尖閣には力を入れたくない。中国はバチカンとの間に国交が無い。理由は司教の人事権。
    ・スコットランドは独立の気運が高く。独立の場合は北海油田のほとんどがスコットランドのものぬる。
    ・イスラム教に関して。スンニ派は終末蘇り思想。シーア派とアラウィ派は輪廻転生。シリアのアサド大統領はイギリスに留学経験有。そのため、シリア攻撃にイギリスは消極的。
    ・スンニ派のハンバリー法学派のワッハーブ派がゴリゴリの原理主義でアルカイダやイスラム国になる。〈イスラム国は東はインド、西はスペインまで侵略を計画。つまり旧イスラム王朝の領土〉

  •  ものしりのお二人が世界情勢をいろいろ説明してくれていて、それはそれでそれなりに勉強にはなるのだけれど(ISのことがようやく少し理解できた(恥))、スパイ風味で味付けしているとはいえ単なる歴史的な経緯と文化的な背景の説明しかしていない本がこれほど必要とされてしまうほど、日本語のメディアの状況がひどいという方を心配したほうがよいのかもしれない。それにしてもこれほど不自然な「対談」本は読んだことがない。この二人はほんとうに「対談」しているのか? というぐらい、お互いの知識を披露しあっているだけでおおよそ対話的な議論の深まりが欠けている。編集の妙?

  • これ年に1回位出し続けてほしい。世界の見方がすっきりする本。日本の新聞やテレビじゃダメなんだろう。
    最後の田母神さん言及に吹き出した。

  •  いま、最も旬な話題を、最も旬な池上彰と佐藤優が語り合った。サブタイトルが「僕らのインテリジェンスの磨き方」とあるとおり、彼らの情報収集の方法を紹介しながら、最近の国際情勢を読み解く。

     池上彰は今でもテレビのニュース解説番組で、分かりやすい解説をして人気がある。論調も非常に中立的な印象があって好感度が高い。

     逆に佐藤優といえば元外交官だが、鈴木宗男議員の事件に連座する形で逮捕起訴され、その後実刑判決を受け刑に服している。そういう暗いイメージが付きまとうが、その後外交官時代の経験や知識を基に分筆活動に入り、大変面白い驚くような作品を発表している。

     この繋がりのなさそうな二人だが、情報の扱い方を語り合うには意外にも最適だったのかもしれない。今注目されている朝鮮、中国を始め、ウクライナやイスラム国の話題など、どのように情報収集し分析しているのか知ることができた。特に宗教の話題は初めて知ることが多く「眼から鱗が落ちる」とはこのことだろうと思った。まさにインテリジェンスの磨き方である。

  • 将来の日本と他国との関係を考えるという視点で歴史や文化(宗教)を学ぶ必要があることを再認識。

  • 新、じゃない方の戦争論は読んでないのでよくわからないが、つまり世界の情勢分析の本。ISをはじめ、諸紛争の原因や流れをつかめるようになる。

  • この内容で、戦争論、は無いよなぁ。副題のインテリジェンスの磨き方の方がしっくりくる。

    驚きは少ない本でしたが、北朝鮮が日本に返す人数を2万人とかすると、日本が困るからそれはそれでカードになる、と言うのは斬新で驚いたな。

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新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方 (文春新書)の作品紹介

新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方は池上彰さんと佐藤優さんによって書かれた政治入門の一冊です。池上彰さんと佐藤優さんという最強コンビが語る戦略や情報術。領土問題、資源紛争、金融危機、テロなどこれから確実にやってくるであろうサバイバルの時代を生き抜くためのインテリジェンスを伝授してくれる一冊です。

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