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- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166610730
感想・レビュー・書評
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新撰組といえば、武士よりも武士らしく生きた集団。滅びの美学に殉じたことでも有名。しかし、組織としての新撰組は内部粛清を繰り返した。芹沢鴨、山南敬助、伊東甲子太郎などの幹部クラスを含めて約40人もの組織員が死罪や暗殺などに処されている。その数は戦闘で命を落とした者よりも多い。
オウム真理教やあさま山荘事件のように過激な無法組織が信賞必罰と規律維持を極めると、「死」をもって償うという結論に達するのは必然だろう。しかも、新撰組隊士にとって担保となるのは自らの身体だけ。守るべき財産も家も名誉もない彼らに罰を与えるには「死」という選択肢しか残らない。その結果、新撰組が規律を守るためには粛清しかなかった。
とはいえ、そんなことを繰り返していたら貴重な人材は殺されるか、逃亡するか。そして、凡人だけが残った新撰組は自然淘汰されただろう。現在のシャープや東芝で優秀な社員ほど先に辞めていくことと同じ。しかし、新撰組は人材難で崩壊する前に親会社の幕府が崩壊し、トップの近藤勇も斬首して、やむを得ずに解散。
幸か不幸か、新撰組は「粛清好きな過激集団」という悪名を残す前に滅びることができた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
粛清された側からみる新選組論。個人的には山南と芹沢が面白かったな。新選組の本格的な研究はまだ始まったばかり、だからこそ面白かった。