原油暴落の謎を解く (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166610808

作品紹介・あらすじ

世界を読み解くには原油価格の知識が必要だ!2016年年明け早々から下がり始めた原油価格は、わずか3週間の間に20ドル台まで暴落し、世界の金融市場が連鎖反応を起こして、株価までもが下落するという大パニックを引き起こしました。世界経済に大きく影響するこの原油価格とは、一体、どのようなメカニズムで動いているのでしょうか。中東の石油王たちが裏で取引をしている?欧米の石油メジャーがそれに横やりを挟んで決定される?それとも投機筋が陰で暗躍しているのでしょうか?『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?』で、エネルギーアナリストとしての信頼を得た著者が、元商社マンの経験と最新データを駆使して、そのからくりと今後の予想に挑みます。第一章 原油大暴落の真相第二章 今回が初めてではない第三章 石油価格は誰が決めているか第四章 石油の時代は終わるのか?第五章 原油価格はどうなる?

感想・レビュー・書評

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  • 【目次】(「BOOK」データベースより)
    第1章 原油大暴落の真相(波瀾万丈の2016年が明けた/「20ドル」の呪文 ほか)/第2章 今回が初めてではない(無一文で死んだドレーク「大佐」/ジェットコースターのように乱高下 ほか)/第3章 石油価格は誰が決めているか(OPECとセブンシスターズが裏取引?/市場を動かす「先物取引」 ほか)/第4章 石油の時代は終わるのか?(石油が枯渇する心配はない/シェール革命の何が「革命」だったのか ほか)/第5章 原油価格はどうなる?(辣腕経営者リー・レイモンドも止めた/人口増が需要を増やす ほか)

  • 世界の将来石油需要は、かなり正確に予測できる。
    シェールなどを含む潜在原油埋蔵量は十分あって、枯渇しないと予測されている。
    しかし、原油価格は長期の需要と潜在供給量以外の要素によって大きく影響を受け、誰も予測ができないというのが過去の教訓である。
    例えば、巨大な原油の在庫を抱えている事業者は、原油が値上がりすると在庫の価値が上がって会計上の利益が出るので、市場の値上げ基調を壊さないために、かえって供給を絞るというような動きをすることがあり、それが市場の動きを撹乱させる要因となる。それ以外にも、様々な市場参加者が様々な思惑で動くので、原油価格は安定しない。
    (いつ値上がりするかはわからないが、いつかは原油が値上がりするのは確実なので)原油価格が低い今こそ日本は原油貯蔵量を大幅に増やすべきだ。

  • 【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • 今後の原油の見通しは興味深い。100年も枯渇しないとは驚きであった。

  • 客観的なデータが豊富。原油価格決定の仕組みが大変詳しく解説されている。原油取引理解のためのテキストと言える。

  • 重油を扱う仕事についたので、勉強のため購入。参考になった

    以下メモ書き。
    ・原油の品質は、比重(重さ)と含有する硫黄分の量で変わる。
     比重の軽い、硫黄分の少ない原油の方が高い。
    ・ドバイ原油、生産枠などOPECの規制を受けない、すべてスポット契約で市場価格を示す。
    ・先物市場における価格。期近と期先の原油値差。将来への価格カーブが上向き(先高、コンタンゴ)か、下向き(先安、バックワーデーション)かに注意する。
    ・シェール革命。在来型と比べ、投資決断から生産開始までの期間が短く、生産期間も短い。外部の資金調達に頼る、金融市場の影響受けやすい。ただ、生産量は400~500万B/D程度で、世界全体の約9,000万B/Dの数%に過ぎない。20~30年は在来型が主流か?
    ・チャプター11は「申請した時点で、会社に有利な契約は継続、不利な契約は不履行にして、事業継続し債権を図る」もの。

  • 岩瀬氏の石油に関する著書の三作目。今回は、原油価格をテーマにして、石油業界の歴史、業界構造の解説書になっている。
    知っているようで知らない石油業界について、前二作と同様に素人にも分かり易く書かれた好著。

  • 2016/08/13:
     途中まで読んだけど、あんまり興味をひかなかった。

  • いろんな経済指標の基ともなる原油価格。
    その先を見通せるようになりたいなと思っていた時に、新刊で並んでいたので手にした新書。
    そもそもどうやって原油価格が決まってきたかの歴史、今回の暴落の振り返り、そして今後の見通し。少しは分かった気になりました。
    とりあえず、じわじわと原油価格は持ち直して上昇するものの、シェールオイルの増産生産コストの60ドルあたりがキャップになると。

  • 前前著「石油の埋蔵量は誰が決めるのか?」で、原油生産の仕組みや埋蔵量決定の仕組みなどを大変分かりやすく解説した著者が、2016年に入って価格が暴落した原油の価格決定の仕組みについて解説した本。書名の「原油価格の暴落の謎を解く」というよりは「原油価格は誰がどのように決定しているのか」、「過去の原油価格の大幅な動きはどのような世界の動きが関与していたのか」の2点に重点を置いた内容です。
    知っているようで知らない世界とはまさにこのことかもしれません。未だにOPEC(石油輸出国機構)首脳が集まって原油価格を決めていると思っている人も多いのでは?ところがそんな価格決定のシステムは30年以上も前の事なのです。現代においての価格決定のシステムについては本書の内容に詳しいので割愛しますが、そういう事実を知るだけでも本書を読む価値大と感じます。
    原油価格の低い今だからこそ、原油の国家備蓄の増量に取り掛かるべきとの提言は非常に説得力があり、資源を持たざる国である日本に住む我々が、知っておくべき重要な情報を分かりやすく紹介した素晴らしい本だと思います。

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著者プロフィール

エネルギーアナリスト。1948年、埼玉県生まれ。埼玉県立浦和高等学校、東京大学法学部卒業。1971年、三井物産に入社後、2002年より三井石油開発に出向、2010年より常務執行役員、2012年より顧問、2014年6月に退任。三井物産に入社以来、香港、台湾、二度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクでの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。現在は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」の代表世話人として後進の育成、講演・執筆活動を続ける。
著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?』『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』『原油暴落の謎を解く』(以上、文春新書)など。

「2022年 『武器としてのエネルギー地政学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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