フレンチの王道 シェ・イノの流儀 (文春新書)

著者 :
制作 : 神山 典士 
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 48
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166610822

作品紹介・あらすじ

栄枯盛衰の激しい飲食業界。その中で、50年間、半世紀にわたり頑固に味を守り続け、各界の大物に愛されてきた一人のシェフがいる。井上旭。京橋のフレンチの名店、「シェ・イノ」のオーナーシェフである。まだ日本人がフランス料理を知らなかったころ、井上は単身フランスに渡り、72年に現金5000円を握りしめて帰国。そこから物語は始まった。この移り気な時代に、なぜ、「シェ・イノ」だけが特別なのか? 舌の肥えた客を惹きつけ続ける「超一流」の秘密を、巨匠が初めて明かす──。時代の流れが加速し、一年前の流行ですら時代遅れだと見向きもされず、効率化ばかりが優先される社会。本場フランスでもそれは例外ではなく、時に業者からの取り寄せのフォンで間に合わせるということも多々ある。そんな中、ソースの神様、ジャン・トロワグロから伝授された味を井上は今日も守り続ける。ルセット(レシピ)は文字では覚えられない。映像で記憶するのだ。そして、絶対音感があるように「絶対味覚」があると井上は語る。パリではチャップリンやオナシス、サンローランが愛した「マキシム」で腕をふるった。一流の客との出会いが「味」につながっていると語る井上の秘密に、佐村河内報道で知られる神山典士が挑んだ意欲作。経営者や飲食業者だけでなく、すべての働く者や、一つの道を志すものへのヒントが詰まった珠玉の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 「料理は文化であり、レストランはそれを表現する舞台である」ージャン・トロワグロの薫陶を受ける料理人、井上旭氏の言葉。欧州での修業や日本での活躍についての文章の端々にフランス料理の奥深さと料理人の凄まじい矜持が溢れている。フランス料理の何たるかは決して一言で表せるほど単純ではないが、本書を通じてそれが確固たる文化としてどのように存立しているか、その世界観を少し知ることができた。

  • 2016.10.08読了
    1度はシェ・イノに行って、お店の全て(料理、ワイン、サービス、空気)を味わってみたいと思える一冊。まさしく一流のプロを感じた。

    なるほどと思ったところ
    ・「気品」「風格」そして真に問われるのは、技術のさらに奥にある「人間性」
    ・和食の味覚の組み立ては「引き算の美学」。それに対してフランス料理は「足し算の美学」。和食は食材が持っている味を引き出すため出汁をベースにして味覚をあまり加えない。フランス料理は食材、調味料、アルコール等を正しく濁らずに加えていけるかどうかが料理人の腕の見せ所。

    2016.10.02読書中
    なるほどと思ったところ
    ・味覚には時間軸があり、最初の一口とその皿を食べ終える頃の一口では感覚が違う。そのことも十分に計算に入れてソースの味付けを変えていくことも大切。
    ・ワインを使う時のタイミングと分量、そして熟成感にソーシエのセンスが光る

  • 20160810 フランス料理の巨匠でもプロとしての取り組み方は日本そのもの。日本として世界に通じて行く事ができる事の証明。グローバルが叫ばれている今、感慨深い。

  • 【変わらないことが、新しい──何が客を惹きつけるのか?】栄枯盛衰の激しい飲食業界で、四十年間トップを独走し続けてきた井上旭、初の著書。一流の客を魅了してきた「超一流」の秘密とは?

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