告発 児童相談所が子供を殺す (文春新書 1090)

著者 :
  • 文藝春秋
3.12
  • (7)
  • (6)
  • (8)
  • (8)
  • (4)
本棚登録 : 186
感想 : 23
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166610907

作品紹介・あらすじ

【最後のセーフティーネットは穴だらけ――元職員が覚悟の告発!】 全国207カ所の児童相談所(児相)が2014年度に対応した児童虐待の件数は、前年度比1万5129件(20.4%)増の8万8931件に上ります。1990年度の調査開始以来24年連続で過去最多を更新。死亡したのは36例39人。心中が33人、それ以外が36人となります。 虐待された子どもの「最後のとりで」となるのが児童相談所です。必要があれば親と引き離したり、一時保護所で預かったり、訪問やカウンセリングをして安全を確保する役所―ーのはずなのに、「児童相談所に何度も通報していたのに虐待死してしまった」という例が後を絶ちません。なぜ、〝最後のセーフティーネット〟は虐待を見過ごしてしまうのでしょうか? 児童相談所の多忙、人手不足、専門家の不足、ハード面の限界は各メディアでも言われていますが、それは本質的な問題ではありません。本書で取り上げる問題の一例は――。 ・心理的虐待、ネグレクトなどの相談終了の判断基準は「死ぬことはないから」 ・虐待は手間と時間がかり責任を負いたくないので、学校、保育園などに押し付ける ・役所の中で児相は超不人気部署。“お役所体質”の問題が凝縮 ・相模原市の児相談所が女子9人を全裸にして身体検査した事件は他でも起こり得るなぜ虐待が起きるのか、見過ごされるのか、どうしたらいいのか? 著者は19年にわたり心理司として児相に勤め、2000人以上の家族と接してきたプロフェッショナル。15万部のベストセラー『教室の悪魔』を記したカウンセラーが、子どもたちの悲痛なか細い声を交えながら、満を持して問題のすべてを論じます。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • センセーショナルなタイトルの割に、内容が主観的で説得力があまりない。

    エピソードをもう少し掘り下げて、それを踏まえた提言とすると、より分かりやすくなったのではないかと思う。
    児童相談所の実態や業務を知ろうと思って読んだとしても、紋切り型というか、著者の感想や思いの表明として扱われるくらいで体系的ではなく、あまりよく分からなかった。もともとそれを狙いとしていないにしても、著者の思いを伝えるには効果的な方法ではないと思われる。

  • 近年、虐待の相談件数は増加の一途をたどっているという。
    報道されるのは、実の親から受けた酷い仕打ちの末の悲しい結末ばかり。
    それに加えて、児童相談所の不手際も大きく報道される。
    本書は、児童相談所で働いていた筆者の、児童相談所が持つ問題点を明らかにしたものである。

    しかし、読み進めるうちに疑問点が次々に湧いてくる。
    何に一番違和感を覚えるかというと、客観的資料が足りないことだ。
    あくまで筆者自身の経験が元になっており、提言などは納得できるもの、同意するものがあるにせよ、基本的には児童相談所及び児童福祉司の、言ってみれば「悪口」に終始しているのだ。

    著者は現場で働いた上で、改善点、問題点を多く見出したのであろう。
    職員の側の意識、制度、その他急を要すると思われるものもあった。
    縦割り行政がもたらす害、それが結果として一番弱いものーー子供ーーに集約されてしまうのも残酷な現実であろう。

    しかし全ての児童相談所がそうなのか。
    基本的に行政のシステムは同じものとはいえ、出会った人々だけを見て、全ての児童相談所が難ありとするのは横暴ではないか。

    そしてここではあまり語られていない問題点として親自身の問題の取り上げ方が気になった。
    いけないと思っていても、余裕のなさから虐待に至るケースの場合、その親をさらに追い詰めるような表現が見られる。
    もちろんどんな理由であれ、虐待はあってはならない。
    しかし、親を追い詰めるだけでは虐待はより見えにくく、また未遂の親をも虐待へと走らせてしまうのではないか。

    本書の告発は児童相談所という組織改革に一石を投じたものだとは思う。
    しかし本当に組織を変えたいのであれば、感情先行ではなく、今一歩踏み込み、取材を行うべきである。

  • 風俗で働いたり、AVに出演している女性の多くが虐待を受けている。家にいたくない、居場所がない、ご飯もろくに食べられない。風俗で働けば寝る場所も与えられるし、ご飯も食べられるしお金も稼げる。虐待によって性的問題を起こす女性の多くは孤独に苦しんでいる。誰でもいいから愛して欲しいと望んでいる。抱きしめてもらえるだけで嬉しい。家にいるのが嫌で風俗業界に入る女性が着実に増えている。全く機能していない児童相談所。その実態と見えざる闇を元児童相談所職員がとことん爬羅剔抉する。本書のタイトルは嘘でも誇張でもない紛れもない現実。何とも遣る瀬無い。

  • 2016年とやや古い本であること、人口が多い分扱う件数も多くなる東京ならではかもしれない、という二点は気になるが、児童相談所の実態とその要因について分かりやすくまとめられていた。
    ・児童福祉司は資格をもつ児童心理司と異なり地方公務員が異動してきたに過ぎない。
    ・専門知識がなくても児童福祉司になれるうえ、「児童を保護する必要がない」と判断すれば管理職に報告する必要もなく、保護にあたる手続きより圧倒的に楽になる。
    ・子どもや親の支援という融和的な仕事と、時には「職権保護」として親から引き離す強権的な(当然親と決定的に対立してしまう)仕事を同時に行わなければならない。
    ・そもそも一時保護所が(地域によるだろうが)常に定員ギリギリで、言葉だけでも親が「もう虐待はしない」と言っていればさっさと親元に子どもを帰してしまう(すぐに出そうとする)
    ・こういった背景により真に被害者である子どもより強い言動をする親におもねってしまう
    声をあげることが難しい子どもの立場に立ち続けることの難しさと、児童相談所の実態をもっと知る必要性をとても実感できた。

  • 東2法経図・6F開架:369.4A/Y47k//K

  • 告発 児童相談所が子供を殺す。山脇由貴子先生の著書。児童相談所の元職員である山脇由貴子先生が児童相談所や児童福祉司、児童相談所の職員、そして保護者の問題点を厳しく指摘しています。児童相談所の闇や児童相談所の問題点について山脇由貴子先生の厳しいご指摘には納得するところがたくさんあるけれど、それでも児童相談所がないよりも児童相談所があったほうが救われる子供たちは多いと思う。児童相談所が子供を殺すというのは言い過ぎかも。

  • 児童相談所が虐待を見逃し子供を救えていない。知識も経験もなく、配属された公務員である児童福祉司は、報告義務がなく大きな権限を持つにもかかわらず、感情で判断し、子どもを見ず親のいいなりになり、吟味せずさっさと相談を終わらせる。

    機能しないのもあたりまえな構造になっていることを知りました。プロ意識を持った人が育成されるしくみが必要だと思いました。

  • う~んこれは賛否両論だろうな...。内部から変革できなかったのでしょうか...。

  • 児童相談所に勤務していた筆者からの厳しすぎる告発。親と子のいびつな関係、専門職とみられている児童福祉司という無責任な仕事ぶり、それに追従する心理司など、これでもかとあげつらっていますが、何とも今回の貴乃花親方から批判されている気がします。
    ただし、私は貴乃花親方を断固支持する人間ですので、山脇さんにも児相をやめずにいてほしかったと思いました。

  • システムや構造の問題は確かにあると思うけど。
    児童福祉司からの反論を聞きたい。

全23件中 1 - 10件を表示

山脇由貴子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×