サイコパス (文春新書)

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著者 : 中野信子
  • 文藝春秋 (2016年11月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166610945

サイコパス (文春新書)の感想・レビュー・書評

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  • 中野信子さんの最新作を頂戴したので読んでみる。往年のBOOWYのアルバムで親しい名称だが、深く理解をしてみると実に興味深い。サイコパスとは先天性が強いかなり特殊な脳の状態のことを指していると理解するが、特徴は自己中心的、怜悧、無慈悲、共感心や恐怖心の欠如といったところであろうか。サイコパスを代表する人物たちは残念ながら大量殺人鬼に多く、かつ確信犯でやるので再犯率も高い。これらの人間を社会的に管理するコストは莫大でアメリカでは全人口の4%がサイコパス的傾向を持っていると推定されているらしい。

    ヒッチコックの「サイコ」でイメージが決定的となってしまったサイコパスな方々だが、著者のユニークな分類によると「勝ち組サイコパス」と「負け組サイコパス」がいるらしく、勝ち組サイコパスは魅力的で社交的で機知に富み、口もうまく、周りでカリスマ的人気になる人も多いそうである。そう思うと、確かに、そんな感じで人気の芸能人や商売人もちらほら散見されるように思える。さらに言えば、このように機知に富み、恐怖心のない人間こそがフロンティアを切り開く冒険家(起業家)となって人類社会の発展を生み出している可能性すら言及している。その証拠として、これだけ社会的害悪が強いサイコパス的傾向をもった人間が淘汰されず今日にも一定%存在していることを作者は挙げている。なるほどそうなのかもしれない。

    脳科学者である作者はサイコパスの生理学的なメカニズムを大量の論文から挙げて解説をおこない、その研究成果の一つとして、歴史的人物のサイコパスの可能性に言及している。曰く、毛沢東、スティーブ・ジョブス、ピョートル大帝、ジョン・F・ケネディ、ビル・クリントン、織田信長、そしてなんとマザー・テレサもサイコパス的傾向の強かった人物としての論考がなされているそうである。そうしてみると、上記の"サイコパスによる社会進化説"もうなずけるような気がしてくる。

    さて、勝ち組、負け組サイコパスの分水嶺は「逮捕歴」にあるそうで、逮捕されないでいたり、逮捕されるまでには至らないレベルで"ルールハック"を繰り返し周りを巻き込み続けるサイコパスの研究はなかなか進みずらいらしい(「あんたサイコパスかもしれないから、研究させてください」と言うのはなかなか難しい)。それでも、「道徳のジレンマ実験」(「殺人鬼が村に侵入してきて、みんなで隠れている。その時に赤子が泣き出した時にあなたならどうする?」と問う思考実験)や「アイオワ・ギャンブリング課題」(ハイ、ローそれぞれのリスクとリターンを学習しながら行う賭けゲーム実験)、「ケビン・ダットソンのセフルチェックリスト」などの心理実験を通じてその傾向の強弱は取れるらしく、これらによって、最終章では自分や自分の身の回りにいるかもしれないサイコパスの見分け方やそれらの付き合い方や抑制方法などについて言及をしている。さらに前向きなことにはサイコパスに向ている職業を提示してその希少な能力を有効活用をお勧めをしている。この考え方はなかなか斬新で、確かにADHD等も最近は天才のふ卵器として見直されてる中では、サイコパス的傾向やそのルールハック力やKY力は、硬直化した社会に風穴を開けるように作用させられるかもしれない。大事なことは周りの十分な理解と良い方向に才能を結び付けられる社会的柔軟さなのではないかと思えた。

  • サイコパスというのは病的概念ではない。中野氏は、サイコパスという概念にまったく疑念を抱かずに、憶測につぐ憶測で非科学的な記述を次々に重ねていく。一般書として、サイコパスとは何かという概念を知るには面白いが、内容は科学的観点が著しく欠ける。著者が科学者であるというのには、大きな疑問を抱かざるを得ない。

  • 冒頭の列記されたサイコパスの特徴を読んでるうちにアメリカの新大統領になったあの人もそうに違いないと思えるようになった。息を吐くように嘘を言うし、人からどんなに非難されても蛙の面に小便。人との共感性もない。とりあえず注視するしかない。

  • 脳科学者の著書ということで、もう少し深掘りした内容を期待したが、参考文献などからの引用を整理し、僅かに個人的な見解を付け加えただけの残念な内容だった。

    100人に1人の割合でサイコパスがいるということが冒頭に記述されており、サイコパスの定義や特徴、分類などと併せて考えれば、あの人物はサイコパスに違いないと思ったりもする。

    しかし、参考文献として紹介されているマーサ・スタウトの『良心をもたない人たち』、ロバート・D・ヘアの『診断名サイコパス』に比べると見劣りがする。黙って、参考文献を読んだ方がずっと良いのかも知れない。

    また、サイコパス=犯罪者ではないこと、サイコパスの特徴についての脳科学的なアプローチは理解出来たが、サイコパスと我々はどう付き合うべきなのかについては殆ど触れられていないのが残念。

    どうして、この程度の作品がベストセラーになるのか摩訶不思議。

  • 織田信長やスティーブ・ジョブスがサイコパスってのはわかるが、マザー・テレサもサイコパスだったというのは知らなかった。(調べると色々出てくるが)
    自分もサイコパスかな?と思っていたが、セルフチェックでは平均を大幅に下回る結果で、全く該当しない事がわかり、少々イガイだった。
    サイコパスには良心がなく合理的な判断をするとの事だが、恐怖や不安を感じにくくリスク管理が甘い(よく言えば冒険心がある)ようで、その点が自分とは異なるのかなと感じた。だから対サイコパスとしては、徹底的に合理的な恐怖(生命・財産・権利を奪う)を与え、行為を起こさせないように萎縮・抑制させるのが有効なのではないかと感じた。マクロ的にはその辺の法整備や制度設計が今後の課題だろう。
    身近にそういう人間がいて危害がある場合には正義は通用しないので、損得で追い詰めていく必要がある。また予防策としては目立つ人間を信じない事、常に疑う事かな。
    収穫だったのは「愛情・友情・助け合い」は美しいものではなく脳が勝手にそう判断しているだけであり、種として生き延びるのに便利だから重んじられてるだけという事。サイコパスは脳異常により、遺伝的に良心や倫理を重んじる事ができないそうだ。それでも淘汰されずに1%の割合で生き残っているというのが興味深い。人類にとって必要悪という事になるのだろうか。自分に直接の害がなければ存在は構わないが、もうちょっと遺伝子的に淘汰されてもいいような気はするが。
    中野信子はTVのコメントでは冴えてるのに書籍はイマイチという印象があったが、出版重ねて除々によくなっている気がする。

  • サイコパス興味深い。共感する働きが弱くて、自分にとっての最善だけを迷わず選べる脳。そんな”異常な”存在でも遺伝子が生き延びてきたのは、サイコパスたちが偉大な業績ものこしてきたから。新書ってどうしてもキャッチーでこじつけになっちゃう部分があるから、そのへんは目をつむるとして、とにかく興味深い。

  • 脳科学の立場からサイコパスについてあれこれ
    多くのトピックを浅く扱っているので軽くてすぐ読み終わります。
    暇つぶしにどうぞ。

  • サイコパス(精神病質)について書かれたものではあるが、サイコパスとは何なのかが宙ぶらりんのまま終わる残念すぎる新書。

    サイコパスはテストの各項目によって診断され、各人のスペクトラム(まちまちの程度差)が出る、サイコパス≠凶悪犯罪者である、ということは理解できるものの、
    「あの歴史上の偉人も、世間を騒がせる有名人もサイコパスかもしれない」ような具合で列挙されると、さすがに軽々しく思われ、三文記事のような印象になっている。

    またサイコパス特性が、戦時下やある部族社会などにおいては有益ともなりうる、とまで視点を変えられてしまうと、判然と分類できる概念なのか、却って疑問を深めてしまった。

  • 本書を読んでこれまでのサイコパスの概念を新しくすることができた。

  • サイコパスについて、脳科学の見地から解説している。
    そのため、少し難解な部分もある。
    というか、思った内容と少し違ったので、じっくりと読まないと頭に入ってこなかった。
    勝ち組サイコパス、負け組サイコパスという発想は、分かりやすく面白かった。

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サイコパス (文春新書)の作品紹介

平気でウソをつき、罪悪感ゼロ……そんな「あの人」の脳には秘密があった!外見はクールで魅力的。会話やプレゼンテーションも抜群に面白い。しかし、じつはトンでもないウソつきである。不正や捏造が露見しても、まったく恥じることなく平然としている。時にはあたかも自分が被害者であるかのようにふるまう。残虐な殺人や善良な人を陥れる犯罪を冷静沈着に遂行する。他人を利用することに長け、人の痛みなどこれっぽっちも感じない。……昨今、こうした人物が世間を騒がせています。しかも、この種の人々を擁護する人も少なくありません。もともとサイコパスとは、連続殺人鬼などの反社会的な人格を説明するために開発された診断上の概念です。しかし、精神医学ではいまだ明確なカテゴリーに分類されておらず、誤ったイメージやぼんやりとした印象が流布していました。ところが近年、脳科学の劇的な進歩により、サイコパスの正体が徐々に明らかになっています。脳内の器質のうち、他者に対する共感性や「痛み」を認識する部分の働きが、一般人とサイコパスとされる人々では大きく違うことがわかってきたのです。しかも、サイコパスとは必ずしも冷酷で残虐な犯罪者ばかりではないことも明らかになってきました。大企業のCEO、政治家、弁護士、外科医など、大胆な決断をしなければならない職業の人にサイコパシー傾向の高い人が多いという研究結果もあります。 また、国や地域で多少の差はあるものの、およそ100人に1人の割合で存在することもわかってきました。そればかりか、人類の進化と繁栄にサイコパスが重要な役割をはたしてきた可能性すら浮上しているのです。最新脳科学が、私たちの脳に隠されたミステリーを解き明かします。

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