- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166611102
作品紹介・あらすじ
産経新聞記者時代の司馬遼太郎が、本名である福田定一名で刊行した“幻の司馬本”を、単独としては著者初の新書として刊行する。古今の典籍から格言・名言を引用、ビジネス社会に生きる人たちに厳しくも励ましに満ちたエールを送る本書は、著者の深い教養や透徹した人間観が現れているばかりでなく、人生について語る読物としても充分に楽しめる内容となっている。加えて、本書の2部に収録、記者時代の先輩社員を描いたとおぼしき「二人の老サラリーマン」は、働くことと生きることの深い結びつき問う、極めつけの名作短編小説として読むこともできる。現代の感覚をもってしても全く古びた印象のない本書は、後年に国民作家と呼ばれることになる著者の魅力・実力を改めて伝えてくれる。ビジネス社会を生きる若い読者にも、ぜひ薦めたい一冊である。
感想・レビュー・書評
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司馬遼太郎こと、福田定一のサラリーマンエッセイ。
前半は箴言を交えた皮肉含みのユーモアにニヤリ。
後半の市井にそっとさく老サラリーマンの物語りにはぐっとくるはず。ナンバーワンにもオンリーワンにもならなくていい。それも生であろう。 -
先輩からは知恵を後輩からは感覚を汲むがよい 西 諺
運命は神の考えるものだ。人間は人間らしく働けばそれで結構だ。夏目漱石 -
驚きなのは、司馬さんがこれを32歳で書いたということ。ここまで世の中のことをこの年齢で分かってしまったのか。戦後10年で書かれているのに、中身は今でも通じることが書いてある。戦後70年余り、日本はあまり変わっていないのかなあ。社内恋愛はするなと書いてあるけれど、後に司馬さんは同僚と結婚されます。そこがくすっと笑えます。
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硬質な語り口がよい、まあ、ちょっと現代ではあれな表現はあれど、読み応えはある
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司馬遼太郎 作家デビュー前(昭和30年)の著作。サラリーマンのための金言集。100円ワゴンで帯買い。儒教的処世術の言葉に 歴史小説の面影は感じる
戦後日本の復興のため頑張ろうという内容でなく、サラリーマンは つまらないけど我慢しよう というアプローチ
徳川家康遺訓「人の一生は重荷を負いて遠き道を行くが如し。急ぐべからず〜おのれを責めて人を責めるな」
「義を先にし 利を後にする者は栄える」
カント「人は義務を果たすために生きるのである」
仕事=義務→仕事の楽しみ=義務を果たすことにより楽しみを見出す
ヴォルテール「思索しないで自分を働かすがよい。これこそ人生を堪えうるものにする唯一の方法だ」
20で希望に燃え→25で疑いをもち→30で迷いになり→35であきらめる→40になると保身に走り→45で慾が出る
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司馬遼太郎によるビジネスマン向けの指南書。
といっても実際に書いたのが50年前なので、さすがに古臭い感じ。 -
2017年18冊目。サラリーマンの人生訓。内容に目新しさはないが、昭和30年32歳の司馬氏の悟り具合に驚かされる。自らも組織に属しながらサラリーマンとは何かを考えただけでなく、その職を辞する決意があったからこそサラリーマン界を俯瞰できたということか。
ただ、私は文章のリズムに馴染めず、最後まで読みにくかった。