植物はなぜ薬を作るのか (文春新書)

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著者 : 斉藤和季
  • 文藝春秋 (2017年2月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166611195

植物はなぜ薬を作るのか (文春新書)の感想・レビュー・書評

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  • <目次>
    第1章  植物から作る薬
    第2章  薬になった植物成分
    第3章  植物はなぜ薬を作るのか?
    第4章  植物はどのように薬になる物質を作るのか?
    第5章  植物の二次代謝と進化のしくみ
    第6章  バイオテクノロジーと植物成分
    第7章  人類は植物とどのように相互共存してくべきか?

    <内容>
    植物の生合成のしくみからさまざまな化学成分の抽出(これがいわゆる漢方)、さらには化学的に生成、さらに遺伝子配列の分析からいわゆるバイオテクノロジーと研究を進めてきた著者の、こうした分野での解説書。わかりやすい書き方で、高校程度の生物・化学の知識があれば読める内容である。そして、逆に薬や味、匂い(これは食べ物として)、たばこや麻薬などの嗜好品(麻薬を嗜好品というのは…)、これらの多くは植物由来であり、さらに言えば彼ら植物が光合成をしてくれているからこそ、我々がこの地球上に生かされていられる訳だし、太古の植物の死骸などが石炭、石油となっていることを考えると、もっと植物のことを考えねばならない。
    また、バイオテクノロジーに関しても、「怖い」イメージがあったが、こうした啓蒙を受けると今やなくてはならない技術であり、もう身近に恩恵を受けている。こうした研究者の方の働きかけも弱いと感じたが、反対派のヒステリックな反応もどうかと感じた。

  • 生命の定義
    ①自らの生存と成長の為に物質代謝、エネルギー代謝が出来ること。
    ②自己を複製して次世代に受け継ぐこと
    この2つの属性を有し、生命として成り立つために動かないことを選択した植物は独自の生存戦略を発達させた。それが結果的に多くの薬をもたらす事に繋がった。

    地球上で1番多いタンパク質はルビスコ。空気中の二酸化炭素を最終的ブドウ糖などに至る有機化合物に固定できる。温暖化防止に役立つ。
    現在では医師の9割が漢方を使っている。
    ミトコンドリアのゲノムが母親にしか由来しないのは人間も植物も同じ。
    アレロパシー、他感作用。
    薬用成分は植物の二次代謝によってできる。
    一次代謝は生命維持の活動。
    地球上にある種子植物あるいは顕花植物の総数は22万から26万種あると考えられている。その内ゲノム配列が解明されたのは100種程度。

  • 植物の素晴らしいことが理解できた。
    薬の発見される仕組みも

  • またしても、良い入門本に出会えた。本草学って感じだ。
    タイトルで興味を持ったが、内容はそれに答えるものというより、バイオテクノロジーへの導入本のような感じだ。

    身近にある薬が植物由来であることから始まり、その植物の生態系、なぜそのような薬効が得られているかの説明があり、最後に植物研究の話も簡単にお披露目がある。

    学びはいくつもあったが、、これどっかで質問できるところとかないのかな。。笑

    アレロパシーの話は印象深い。大好きなコーヒー、そしてカフェイン。そんな目的があったなんて。。。

    少し調べて見たが、例えばデカフェは遺伝子組み換えの応用でできるようだ。しかし実用化されてないと書かれてるが2004年時点。今どうなったんだろう。さすがにできてそうだが。。。
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A7

  • 植物学、薬学の基礎解説本。ぎりぎり啓蒙書レベルであるが、高校生物学程度の知識が必要で、どちらかというと難易度は高い。

    現在、ほとんどの穀物が遺伝子組み換えになっている事実。遺伝子組み換えよりも気候による変化などの方が大きいこと。薬は植物由来が6割、化学由来が4割であること。抗がん剤、抗生物質などの作用機序。毒である物質になぜ生物自身は侵されないか=無毒化の仕組み。など。

    タイトルはあまり深く掘り下げられていない。

  • 〈本から〉
    アレロパシー
    コーヒーの木のカフェインのように、植物が特異的成分を放出して他の植物の生長(主に植物個体が伸び育つこと。それに対して「成長」は主に人や動物が育って大きくなること)を抑えたり、微生物や昆虫、動物から身を守ったり、あるいは引き寄せたりすることを「アレロパシー」あるいは「他感作用」と言います。

    植物からの万能薬ーポリフェノール
    ポリフェノールが代わりに酸化されることで、活性酸素の毒素から身体を守る

    乾燥と紫外線を防ぐフラボノイドとアントシニアン

    タンニンの渋み戦略
    口の中には食べ物のカスやさまざまな雑菌があり、口臭や虫歯の原因となっています。タンニンはおうした食物や雑菌のタンパク質とくっつくと、それらを凝縮させて固める働きがあります。

    動けない植物の巧みな生存戦略
    陸上植物には私たち人間の約1000~2000倍の長い生命の歴史があります。
    (略)
    植物はこのような長い歴史を生き抜くために、戦略を立てて、実行して、トライアル・アンド・エラーを繰り返しながら進化する必要がありました。

    生命が持つべき属性
    (1)自らの生存と成長のために物質代謝、
      エネルギー代謝がができること
    (2)自己を複製して次世代に受け継ぐこと

    同化代謝戦略ー太陽エネルギーと土からの栄養による光合成

    人間などの動物は、細胞の構成成分やエネルギーの元になる有機化合物を、食物から取っています。そして摂取した食物を代謝(消化や変換、分解)して単純な化合物に戻し、その変換の過程でエネルギーを取り出しています(これを「異化代謝」と呼びます。)これは動物が、自ら動いて食物を獲得することが出来る、という性質から可能になったことです。
    しかし、動けない植物は、動物のように動いて食物を獲得することができません。そこで、空気中の二酸化炭素と、土壌から根によって吸い上げた単純な無機塩類(窒素塩、硫酸塩、リン酸塩など)を使い、エネルギーを与えてアミノ酸や糖などの有機化合物を作る気嚢これを「同化代謝」と呼びます)を発達させました。この同化代謝は前述の異化代謝には逆方向の反応です。同化代謝を行うにはエネルギーを与えることが必要ですが、そのために太陽からのエネルギーを使って行う同化代謝が「光合成」っです。これは動物にはない、植物だけが持っている生きるための戦略です。

    酵素とは、生体内で物質の化学反応を助けて、反応を速やかに進める触媒の役割を持つタンパク質のことです。

    植物は自然を汚さない精密化学工場

    地球という閉じられた世界の中で、植物などの光合成生物は太陽エネルギーを利用できるとう植物独自の機能によって、エネルギー・燃料・工業原料は食料・薬となる有用物質の生産や二酸化炭素の循環に貢献し、地球上の生命の根本を支えているのです。従って、宇宙船地球号に同乗している人類は、実はその生存が全面的に植物に支えられているのです。

    植物は、厳しい進化の歴史の中で、極めて巧みに設計された精密化学工場によって、多様な化学成分を作るという機能を発達させて、進化の歴史の厳粛な審判に耐えてきたのです。

  • 少し立ち読みして、私には難しいかなあ、と戻して帰ったら、気になって。レビューなんかを見ると、とてもいいことが書いてあって、やっぱり購入。
    ハーブに興味を持ってから、漢方にも植物にもリンクしてる気がして、つい手に取る。

  • 【それは、植物の生き残り戦略だった】漢方薬に使われる生薬から最先端のゲノム解析によるメタボロミクスまで。植物がなぜどのように薬を作るのか気鋭の薬学者が解明する。

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植物はなぜ薬を作るのか (文春新書)の作品紹介

ゲノム科学の進展で、今、薬用植物の世界が熱い!ポリフェノール、カテキン、フラボノイドなど、今や日常用語として使われている植物由来の成分です。モルヒネやキニーネ、ヤナギの成分から作ったアスピリン、生薬を用いる漢方薬など、人間は古代から植物の作る薬を使ってきました。しかし、つい最近まで、なぜ、どのように植物が薬を作るのかは解明されていなかったのです。その根源的なメカニズムがわかってきたのは、2000年代に入って植物のゲノム配列が決定されてからのこと。「動かない」選択をした植物が「生き残り」戦略として、動物などの捕食者から身を守るため、いかに巧妙なシステムで「毒」のある成分を作るのか。しかも、その「毒」から自らを守るためにどのような方法を採っているのか。その「毒」には抗がん薬の元となる成分も含まれます。そうした巧緻なしくみが、ゲノム科学の発展により遺伝子レベルで突き止められるようになってきました。中国からの輸入が困難になりつつあるカンゾウ(甘草)の成分も人工的に作ることが可能になるなど、最先端のバイオテクノロジーにも触れつつ、驚くべき植物の戦略を明らかにします。

植物はなぜ薬を作るのか (文春新書)のKindle版

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