十一番目の志士 上 (文春文庫 し 1-2)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167105020

感想・レビュー・書評

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  • 攘夷思想の渦巻く長州藩「高杉晋作」と巡り合った「天堂晋助」が、幕末動乱期の刺客として京都、大坂、江戸を所狭しと暴れまわる波乱万丈の時代小説です。時代の大波が押し寄せるなか、天堂晋助と桂小五郎、坂本龍馬、西郷隆盛、勝海舟、土方歳三など実在した人物と絡み合う場面がふんだんに登場することから、幕末史秘話の掘り起こしかと錯覚するほどリアリティあふれる小説です。

  • 尋常でない剣の腕により数奇な運命に翻弄されていく天堂晋助。

  • 久々幕末維新もの。

    主人公天堂晋助が架空の人物か否かは知らぬまま下巻の途中まで読み進めていた。そこまで読んだ感覚で答えるとせめて読了まではそのままの感覚で進みたかったところ。昨今のネットの弊害は時折このような形で襲ってくる。

    冒頭の絵堂、鋳銭司という地名で誰が出てくるであろうかという予想までは即座にできるところまでは育つことができた。ただその先が思った以上に広範囲で目まぐるしい上、読了したばかりの「梟の城」の上を行く度合いで女性の登場人物も目まぐるしく移り変わるのでだれかが評した「やりたい放題」というのも納得が行く。長編小説の出版年からいうと「竜馬がゆく」よりはあと、「世に棲む日日」「花神」「翔ぶが如く」よりは前という時系列にあるところからシバさんはこれを書きながらその後の作品群の構想も練っていたと思われる。

    さて後半。一気に読み上げるとしますかぁ。

  • 2019.5.2(木)¥200(-20%)+税。
    2019.6.18(火)。

  • 武士ならぬ下等農民ながら、高杉晋作に見出された二天一流の達人・天堂晋助が主人公。まず幕末は警察力が低下し武家政権の構成要員も格闘技能力が劣化していたことが描写され、舞台は京から江戸へ。この巻の後半には「フランス=ナポレオン三世から大枚六百万ポンドを借款し近代装備で長州征伐を成功させ幕府の権威を回復させいっそ外敵対抗の中央集権体制に持っていこう」とする小栗上野介を暗殺しようとする。人斬り以蔵、など暗殺者は《時勢》に疎いから革命後は冷遇されるのが実情だが(奇兵隊もそう)、晋助は勝海舟と出会い多少の知恵を授かる

  • 架空の人斬り。陰惨にならない筋立てと展開は巧いと感じさせます。スラスラ読めちゃうし、やはり司馬さん凄い。

  •  天童晋助は高杉晋作と出会うことで、幕末の動乱期を刺客として生きることになる。晋助は毛利家領内周防に村の出身である。身分は百姓だが田地がない、父の時代から他家の家僕をしている最下級の身である。ただひとつ誇れるものがあるとするなら、宮本武蔵から伝わった兵法がある。亡き父をして晋助の剣を神技と言わしめた。彼の人生を大きく狂わすことになる兵法は果たして彼に幸福をもたらすのだろうか・・・司馬遼太郎のこの手の小説が面白い。

  • 今(2015年)の大河ドラマで放送しています。江戸時代末期(幕末)の日本をかえた二人?高杉晋作と晋助との話の前半です。

  • なぜ。刺客である天堂晋助を主人公にしたのか?
    というのが 上巻を読んで感じたことである。

    主人公は 天堂晋助ではない ということかも。
    幕末 そして 明治維新に向かう 志士たちが主人公だった。
    時代の流れの中で 天堂晋助がであう 志士たちの逸話を
    ちりばめて 群像を描こうとしているのですね。

    そのためには 無口であり 行動力がある。
    そして、危機にあっても 命を落とさないという
    剣力を持ち、それが 宮本武蔵の流派である
    という フィクションの主人公が 創造された。

    高杉晋作、坂本竜馬、小栗上野介、土方歳三、近藤勇。
    その断面が 表現される。

    赤根武人という人物を通じて 高杉晋作の 限界性を
    表現しているのが 特筆に値する。

    それにしても 天堂晋助。
    実にたくさんの オンナ とマグあうのである。
    晋作のお下がりのオンナからはじまり
    粟屋菊絵。妹お冴。絵師お咲ー娘婿となる。
    小若。五助の女房。六道の政の妾ー小梅。南京屋女中。
    菊絵。与力の姪お弥寸。お里。おのう。
    しかし、その所為は まこと 動物的である。
    もっと工夫がないのか 司馬遼太郎さん。

  • 主人公自体創作だが、隠れた名作だと思う。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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