翔ぶが如く 5 (文春文庫 し 1-43)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 179
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167105433

感想・レビュー・書評

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  • ☆4つ
    司馬遼は大久保利通や大隈重信そして山県有朋がどうやら大嫌いの様子である。

    この小説『翔ぶが如く』では、後に日本が太平洋戦争をおこした事の遠因は、大久保と大隈とそして山県にあり!と断言している。こりゃエンタメ小説などではなくて司馬遼という思想家のアジ小説だな。おもしろいからそれでもいいし、先にも書いたけど何も読まない体に比べると雲泥の差だから。

    この巻では盛んに宮崎八郎という男のことを書く。
    思うに司馬遼はこの八郎という男ともしくはその子孫関係者と何がしか昵懇な関係だったのであろう。
    でなければ面白くもない八郎話を延々読まされる身としてはちょっと納得行がかないのでる。すまぬ。

  • 『翔ぶが如く』5巻を読了。
    読了までえらい時間がかかった。というのも興味関心があっちこっちに行ったため、カバンに入れながら読まなかったり、放り出したまま読まなかった時期があったためである。
    司馬遼太郎はあくまで作家である。歴史を題材にした小説である。歴史そのものではない。
    司馬遼はキャラクターを立たせるのがうまい。
    実際の人物がもつ複雑さを捨象して、登場人物のキャラクターを際立たせていると言っても過言ではないだろう。
    ただし、史実を徹底的に調べ、探究し、点と点を結び線にして、一つの物語に仕立てる筆力はさすがである。
    点と点を結ぶ際に作者の想像が多分に入り込んでいるだろうが、歴史のうねりを知るのに小説という手法は有効である。その時代の雰囲気を生々しく取り込むことができるからだ。
    日本人が歴史の面白さを教えた功績と、その時代の雰囲気を残した司馬遼の功績は大きい。

  • 征台の気運が高まる明治七年、大久保利通は政府内の反対を押し切り清国へ渡る。実権を握る李鴻章を故意に無視して北京へ入った大久保は、五十日に及ぶ滞在の末、ついに平和的解決の糸口をつかむ。一方西郷従道率いる三千人の征台部隊は清との戦闘開始を待ち望んでいた。大久保の処置は兵士達の失望と不満を生む。

著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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