新装版 竜馬がゆく (2) (文春文庫) (文春文庫 し 1-68)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (441ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167105686

作品紹介・あらすじ

黒船の出現以来、猛然と湧き上ってきた勤王・攘夷の勢力と、巻き返しを図る幕府との抗争は次第に激化してきた。先進の薩摩、長州に遅れまいと、固陋な土佐藩でクーデターを起し、藩ぐるみ勤王化して天下へ押し出そうとする武市半平太のやり方に、限界を感じた坂本竜馬は、さらに大きな飛躍を求めて、ついに脱藩を決意した。

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    まだまだ出だしの第2巻ながら、個人的には少しばかり箸休めの期間かのように感じました。
    というのも、この本では黒船到来から開国⇒攘夷運動などにつながる推移ではあるものの、その時代背景の描写に終始しており、主人公である竜馬の動きが特に見られないからでしょう。
    とはいえ、こういった時代背景や世論の推移は、今後の幕末物語を読むにあたり決して飛ばすことの出来ない大切な項目のため、初見の方はしっかり読んでおいた方が良いと思います。

    個人的には、暗殺時に共に最期を迎えた中岡慎太郎とのやり取りと、共に脱藩して後に海援隊の一因ともなった沢村惣之丞の人物描写だけでオナカいっぱいです。

    あと、余談ですが、武市半平太ってお酒強かったんだ。笑
    大河ドラマ「龍馬伝」では、お酒を全く飲めない下戸というキャラクターでしたが、史上では果たしてどうだったのでしょう?



    【あらすじ】
    黒船の出現以来、猛然と湧き上がってきた勤王・攘夷の勢力と、巻き返しを図る幕府との抗争は次第に激化してきた。
    先進の薩摩、長州に遅れまいと、土佐藩でクーデターを起し、藩ぐるみ勤王化して天下へ押し出そうとする武市半平太のやり方に限界を感じた竜馬は、さらに大きな飛躍を求め、ついに脱藩を決意する!


    【引用】
    1.竜馬に喧嘩を売ってきた中岡慎太郎に対して、下手に出る事で逆に相手をオドオドさせることに成功
    「暴言お詫びします」と謝った中岡慎太郎に対し、「武士が吐く言葉には命を賭けるべきじゃ、それをすぐ暴言だと自認して謝ったりするのは性があわん」
    と、顔色も変えずに、力まかせに中岡を殴りつけた。

    武市が一番驚いたのは、殴られた中岡でさえも、つい竜馬のペースに巻き込まれて「飲みましょう」と杯をあげたことだ。
    竜馬には、人を溶かす独特の何かがある。

    2.なぜ井伊直弼が槍玉にあがった?
    ハリスが日米修好通商条約を結ぶにあたり、外国恐怖症の天子・孝明天皇の許可が下りず、業を煮やしたハリスが、
    「であれば我々は京都政府と調印を交わす」と、幕府を慌てさせた。

    板挟みとなった井伊直弼は、ついに勅命を経ずに調印することを断行し、それによって尊王攘夷論が火のように燃え上がることとなった。
    そして後に、安政の大獄⇒桜田門外の変につながる。



    【メモ】
    p14
    ・中岡慎太郎との出会い
    藩邸での酒の席で。
    (ちなみに武市は酒を飲んでも強かったという。)
    竜馬より2つ3つ下の歳で、みるからに眼の鋭い精悍な顔つき。
    剃刀の頭脳と、きびきびとした実行力をもっている。

    「中岡くん、こっちへこないか」と武市が誘ったが、
    「武市先生は理由もなく人をお呼びになるのですか。たとえ三歩でも、中岡慎太郎は理由なく身を動かしません」と断った。
    理屈っぽいというものではなく、理屈が人の皮を着て歩いているような男である。

    また竜馬に対して、
    「わたしは剣術使いには興味はありません」
    「せっかく腰間に剣を帯びながら、いま天下がどうなっているか、何に向かって命を捧ぐべきかをお考えになっているような御様子がない。そういう方とは、お近づき願う気がしません」
    と回答した。

    対して竜馬は、
    「中岡くん、お前のいうとおりじゃ。わしァ何も知っちょらせん。天下がどうなっちょるか、その天下に向かってお前のようにどう吠えたくったらよいか、何も知らん」
    と、意外にも本気で謝り、中岡慎太郎を狼狽させた。

    「お前はえらい。胆(きも)の上に天下を載せちょる。酒に酔うても載せちょる。わしもお前の心がけに学ばにゃならんが、なにぶん子供のときからの鈍根じゃ。ボチボチやる。世がわしを必要とするまでボチボチやる。それまでは怒らんでこらえてつかァされ」

    そして、「暴言お詫びします」と謝った中岡慎太郎に対し、「武士が吐く言葉には命を賭けるべきじゃ、それをすぐ暴言だと自認して謝ったりするのは性があわん」とニコニコして顔色も変えずに、力まかせに中岡を殴りつけた。

    武市が一番驚いたのは、殴られた中岡でさえも、つい竜馬のペースに巻き込まれて「飲みましょう」と杯をあげたことだ。
    竜馬には、人を溶かす独特の何かがある。


    p36
    ・なぜ井伊直弼が槍玉にあがった?
    ハリスが日米修好通商条約を結ぶにあたり、外国恐怖症の天子・孝明天皇の許可が下りず、業を煮やしたハリスが、
    「であれば我々は京都政府と調印を交わす」
    と幕府を慌てさせた。

    井伊直弼は勅命を経ずに調印することを断行し、それによって尊王攘夷論が火のように燃え上がることとなった。

    そしてそれが、安政の大獄につながる。


    p438
    ・沢村惣之丞
    竜馬と共に脱藩。
    学問好きで、数学と英語に長じ、のちに竜馬の配下となって海援隊士官として随分と働いた。
    維新直前、沢村は長崎で、酔漢を盗賊と見誤って撃ち殺し、その男の素性を調べると薩摩藩士であった。
    沢村は海援隊と薩摩藩との関係がまずくなるのをおそれ、薩摩藩側でさえ止めたのに、威勢良く腹を切った。

    いま、長崎の西山に、沢村惣之丞の墓が寂しく苔むしている。

  • 武市との金打(きんちょう)のシーンがハイライト。
    いい男同士の友情って大好き。
    竜馬の場合、誰とコンビのときでも(藤兵衛や源おんちゃんのときでさえも)様になっていて好きだけど。

    何をしたらいいのかわからん、とか ぼんやり言いながら、学者を訪ねて講義をきいたり 地方に遊説にいったり 脱藩したり、行動力が抜群なのがカッコいい。
    仕事のできる男。
    男が惚れる男として、具体的にしっかり描かれているのが良い。

  • 再読中。2巻では安政5年、すでに井伊直弼による安政の大獄が始まっているが、まだ竜馬にはそれほど関係がない。江戸遊学の期限がきて土佐へ帰ることになった竜馬は、藤兵衛と共にその帰路で京都まで水原播磨介という三条家の公卿侍の護衛をするなりゆきに。播磨介の懐の文書を狙っているのは井伊家の家臣。竜馬はその文書を三条家に仕えているお田鶴さまに届ける。このあたりもフィクション色が強い。

    土佐に帰った竜馬は、にわかに学問をしようと思い立ち、すでに私塾を開いて若者たちのカリスマになっていた仲良しの武市半平太におすすめ本を教えてもらったり、絵師で西洋通の河田小竜に弟子入りしたりする。そんな中、上士と郷士の間で刃傷事件事件が起こり、土佐藩内は紛糾。佐幕派の上士と勤王派の郷士の溝は深まるばかりで、ついに武市と竜馬は土佐勤王党を結成する。

    のちに海援隊の仲間になる饅頭屋長次郎や池内蔵太らも登場、中岡慎太郎、吉村寅太郎、那須信吾、沢村惣之丞、田中光顕ら土佐を代表する志士たちも続々と。板垣退助と後藤象二郎は、この時点ではまだ藩内では敵である上士側。武市は局面を打開するため吉田東洋暗殺を計画、実行する。一方竜馬はついに脱藩。

    時代が切迫するにつれて竜馬を取り巻く上京も緊張感を増してくるけれど、そんな合間にもちょいちょい女性にモテまくっていて感心する(笑)

  • 竜馬が脱藩。おもしろい。
    三巻が楽しみですが、なんせ私には読み方が難しくものすごく脳を使うので、しばらくは他の本で頭を休めたいと思います。笑

  • ここではさらっとした中岡慎太郎との出会い、江戸から土佐へ戻り、伊予、長州への外遊?や土佐勤王党のはじまり。岩崎弥太郎も登場したり、遂には脱藩。良く知る坂本龍馬イメージへのルーツみたいのが多いに感じられるワクワクする2巻でした。

  • ★龍馬脱藩す。励ます乙女さんが潔い。

  • 竜馬自身は学問に興味がなかったが、その本質を見抜く力、桂小五郎などとの出会い、によって大きく成長していく。そして脱藩へ。これから豪放磊落な竜馬が何を成していくのか、また、どのように描かれていくのか楽しみだ。

  • 坂本竜馬の後半生がどれだけ濃密だったのか、
    この小説の進み具合からしても推し量れるところがある。

  • いよいよ脱藩へ。竜馬の世界が高知から日本へ広がる決断をする一巻です。幕末のいごっそうのひしめき合う土佐で、ひとあじ違う竜馬の姿勢に、読者ながら惚れてしまいます。

  • 竜馬はあまり好きになれない。人んちに放尿したり、はっきりしなかったり、性格的に合わない。でも、幕末に興味あり読んでいます。内容は読みやすく楽しめます。

    竜馬は武市半平太のやり方ではうまく行かないだろうと脱藩する方法を選び、武市半平太は吉田東洋を暗殺し藩を勤王化しようと着々と計画を進めますが、江戸にいる老公が国もとの政変に激怒していた、というところで二巻終了です。

    三巻に進みたいけど、少し休んで別な本を読んでみる予定です。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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