新装版 坂の上の雲 (3) (文春文庫) (文春文庫 し 1-78)
- 文藝春秋 (1999年1月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167105785
感想・レビュー・書評
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子規の最期、日露・日英外交を経てついにロシアとの開戦にいたり読みどころ満載。当時の政治家や軍人の考えが、昭和の哲学性や神秘性を盛り込んだ不可思議な思念ではなく、簡潔明瞭に理的であった点を著者は再三言及し、それは、当時30代の青年男子の基本的な教養として、合理主義を説く江戸期からの朱子学の影響ではなかったかという指摘は興味深い。明治という時代の持つ明るさはそういった思考の明晰さにもよるのかも知れない。
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ついに日露戦争が始まった。
この時期の戦争感と第2次のころでは、精神面で大分違いがあったのか。
まだ列強に肩を並べる前の弱小国が大国ロシアに挑むのは、
悲壮感さえ湧き出す行為だった。 -
坂の上に見える一片の雲が一人ひとりの幸せだと信じて、日本人が、日本という国がしゃにむに駆けた明治という時代、その時代が終わってからまだ100年もたってはいない。明治とはなんだったのか?(2010:熊谷芳郎先生推薦)
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日露戦争なんて、今はとうに亡い曾祖母くらいしか体験したことがない。
歴史の教科書で読んでしまうと、覚えることはできてもどこか架空の事のような気がしてしまう。
というか「まあ、そういうことも昔はあったんだね」という程度の感覚しか持ち得なかった。
将校の名前も膨大に覚えたけど個人として認識できてはいなかったし。
こうやってストーリーとして読むと、相変わらず現実感という意味では覚束なくても、関わった人々の性格や当時の風習やものの考え方がしみ込んでくる。
少なくとも『日本史』として覚えていたころよりは身近に感じられる。 -
ついに日露戦争開戦
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いよいよロシアとの戦いは避けられない気配が濃くなって開戦する。そんな中でも個人間では敵国の知人をリスペクトしたり、国家間でも戦いながらも相手の大将の死を悼む雰囲気もあったというところが示唆深い。
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正岡子規の最期と日露戦争の開戦と、これまでで一番手に汗握る展開で、夢中で読んでしまいました。
にしても、まるでその現場で見聞きしていたかのような詳細な描写、これが司馬遼太郎なのでしょうけど、いったいどのくらいの時間と労力をかけて人物や史実を研究したのかと、純粋にただひたすら感服するのみです。 -
小さな島国の国民が、国のために何かを成し遂げようとする姿がこの本にはある。
自分を含めて現代の日本人には、「国のために」という意識があるのだろうか…。 -
▼推薦科目/推薦者
細胞・分子生物学/滝野 隆久先生
▼推薦理由
伊予松山出身の3人を中心に、明治時代の明暗と近代国家の誕生にかけた人々の姿を描いている。日本の高い識字率を利用し、外国語で書かれていた教科書を日本語に翻訳することで日本の近代化を推進した明治人の魂を思い出して欲しい。
▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BA40764321 -
軍人一人ひとりに哲学があり面白い。