新装版 坂の上の雲 (4) (文春文庫) (文春文庫 し 1-79)
- 文藝春秋 (1999年1月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167105792
作品紹介・あらすじ
明治三十七年二月、日露は戦端を開いた。豊富な兵力を持つ大国に挑んだ、戦費もろくに調達できぬ小国…。少将秋山好古の属する第二軍は遼東半島に上陸した直後から、苦戦の連続であった。また連合艦隊の参謀・少佐真之も堅い砲台群でよろわれた旅順港に潜む敵艦隊に苦慮を重ねる。緒戦から予断を許さない状況が現出した。
感想・レビュー・書評
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戦争禍において無能な上司の下に配属されることほど悔やまれる事はないとわかる。また派閥に基づく人事も碌でもない。令和の今となってもその悪しき習慣はある。残念すぎる。
無能無策な上に頑迷で、多くの日本兵を殺すことになった乃木という人間の描写が耐えられなかった。が、どうにか読み切った。次号に期待。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
▼日露戦争開戦。司馬さんは戦争が好きだ。ちょっと言い方が雑だけれど、司馬さんは戦争の細部や人間臭さが好きであろう。司馬さんは人間の明るさとか賢さとか合理性とか機能性とか合目的性とかが好きだし、そういうリーダーに率いられる人間の集団について、汲めども尽きない興味を持っておられる。▼そういうわけで、機械好きの子供がラジオを解体して仕組みを発見して喜び、そしてまた組み立てるように、司馬さんなりに明治日本と日露戦争を解体して検証しておられる。そして、司馬さんのような意では多くの人が戦争が好きであろう。「ガンダム」だって「銀河英雄伝説」だって「大河ドラマ」だって同じくでしょう。戦争が好きなのは男子が多いと思われる。自分もその意では、好きである。
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薩摩長州ばかりが、大日本帝国の中枢にいたんだなあ〜って読みながら腹が立ってきてしまう。
陸の長州、海の薩摩だって!! -
黄海海戦の緊迫感、遼陽会戦、沙河会戦での際どい戦い。バルチック艦隊のイギリス漁船攻撃。旅順攻略でのあまりに酷い乃木希典、伊佐知幸介の指揮による尋常ではない被害とそれを変えられなかった日本軍。色んなドラマが凝縮された4巻でした。
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日本史としてしか知り得ていなかった日露戦争。
その結果と背景しか知らなかったが、そのプロセスにはここまでも凄惨な生々しい戦争が繰り広げられていたとは。また、その上に自分たちの生活があることをありありと感じさせられる。
日本人として読むべき一冊。 -
バルチック艦隊が、日本艦隊を恐れるあまり英国の漁船を日本軍と見誤って襲撃してしまう事件はいたたまれない。
一つの戦争には数えきれない事由、国家的事情や背景などが複雑に絡み合い、勝敗などと言う結果だけでは説明のつかないものなのであると痛感する。 -
大学2年または3年の時、同期から「読んだこともないの?」と言われてくやしくて読んだ。
長くかかったことだけを覚えている。
文庫本は実家にあるか、売却した。
そして2009年のNHKドラマの数年前にまた入手して読んだ。
秋山好古・真之、正岡子規について、初期など部分的に爽快感はあるが、とにかく二百三高地の長く暗い場面の印象が強い。
読むのにとても時間がかかった。
その後3回目を読んだ。
バルチック艦隊の軌跡など勉強になる点はある。なお現職の同僚が、バルチック艦隊を見つけて通報した者の子孫であることを知った。
いずれまた読んでみようと思う。(2021.9.7)
※売却済み -
日露戦争 中盤
陸軍→遼陽、沙河、旅順要塞攻撃
海軍→黄海海戦
常にハラハラしながら読んでた。日露戦争って勝利した煌びやかな歴史のみ語られがちだが、そんなに簡単に言い表せるものでもない。
また、組織統率者の重要性、部下に与える影響を教えられた一冊。 -
海軍による黄海での一大決戦から始まり、陸軍の遼陽・沙河・旅順大戦までが記されている。教科書ではほんの数行で説明されてしまう日露戦争の、悲劇的で薄氷を踏む戦いがありありと描かれており、怒り・悲しみと言ったあらゆる感情が胸の内から湧き上がってきた。
司馬の偏見も入ってるとは思うが、それにしても乃木・伊知地コンビは酷い。 -
司馬遼太郎さんの本で一番好きな本。
日本人であることに誇りが持てる。 -
司馬遼太郎による、乃木希典への酷評が続く。
一人の人間からの意見しかわからないが、これを読む限り相当やばい。 -
最高。冗長な部分は確かにあれど、日本人必読の書。
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日露戦争開戦。
日本・ロシア双方に将軍の器のない人物が指揮を執ってしまい多数の死者を出していく。
戦記なのに少しおかしみを感じてしまうのは不謹慎か。 -
この巻では日本、ロシア双方の馬鹿さ加減が分かる。ただまったく笑えない、リアルな人間像を描いている。
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ユダヤ人と乃木希典を中心に描かれている。
ユダヤ人は迫害された歴史から、迫害にあがらうべく、敵の敵を応援することで自らを守ろうとする。
乃木希典は、優秀な参謀に恵まれないと、全て敗北することを教えてくれる。今の自分の仕事でも思うが、人材配置こそが勝ち戦のための重要なファクターだと思う。
農牧民族の日本には、自然の摂理に従うことを生業としていたことから有能無能がないため、狩猟民族に劣るし、考え方も違うというのはそうだなあと思う。
一小国のロシアが強いのは、軍を持っているからというのはなるほど。軍なくして、強国にはなれない。 -
どうも長い。勧める人は多いけど。全体で2冊ぐらいになりそうな。
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近代戦争を初めて経験する日本は、あらゆる面で後手後手に回ってしまう。
中でも物資不足は、深刻だった。
初めての近代戦争に臨むにあたって見通しが甘かった。
お金が無い中での開戦。
正に綱渡りの戦争であった。
そして、度々、議論がある司馬遼太郎による『乃木希典愚将説』
名将か愚将かは、各個人それぞれに考え方があると思う。
だから、司馬遼太郎が乃木希典は愚将だと思うならそれはそれで、いいのではないだろうか。 -
日露戦争の描写がえぐくなっていく。。。だよね、そう描かないといけないんだよねと。戦争は、悲惨で、とても騎馬戦のようなもんじゃない、体が木っ端みじんになって死んだり、腕や足がもげたり、体が縦に割れて死ぬ、大量の人間が死ぬ世界。それぞれに、親が必ずいて、人によっては、子もいただろうに・・・
戦艦対戦艦じゃない、大砲の数や火薬の強さでもない、悲惨さ。見ようとしなければ、見なくていい部分が戦争にはあるんだなということがわかる。
そして、旅順攻略において指揮をとった乃木とその参謀に対して、相当の紙幅を使って、これでもかと痛罵している。
色々な立ち位置、見方ができると思うが、指揮系統の混乱、現場から離れた所で指揮、戦術的な検討の不備、相手に予測された定期的な攻撃、多数の死者、戦争の悲惨さへの筆者の怒りが巻末に向けて増していっていることを感じた。
乃木については、wikiなどで調べると違う側面がある事も分かる。多数の死者を出した事への悔恨もあったようだが、自死によって幕を閉じた人生は、否定したい。
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旅順攻撃が中心となる4巻
印象的なのは旅順攻撃の際の日本軍のグダグダっぷり。
旅順の要塞に無策の正面突破を繰り返し、多くの兵士たちを犬死にさせながらも、攻撃方法や作戦を一向に変えようとしない、大将の乃木とその参謀、伊地知の頑迷さ、無策っぷりに呆れかえりました。
そして彼らの更迭案を何度も出しながらそれを実行できない大本営にも読んでいてイライラ。こういう上層部のグダグダや無理解で被害を被るのは現場の人間、この場合は兵士たちなのですが……。太平洋戦争の際もそうですが、いつの時代も日本軍は兵士たちを駒としてしか見ていなかったのかもしれないなあ、と思いました。
ロシア軍も日本海軍に恐れをなして、イギリスの漁船を間違って攻撃してしまうという、とんでもない失態をしてしまう場面が描かれます。
戦争という極度の責任や恐怖がのしかかる局面になると、その人の本当の姿が表れてくると思います。そしてそれが大将だとか将軍だとか、責任のある立場になるとなおさらそうです。
乃木・伊地知やイギリス漁船を攻撃してしまったロジェストヴェンスキー提督は、そうした状況の中で周囲の状況が見えなくなったり、冷静な判断が出来なくなった人間の姿だと思います。その姿は愚かと言ってしまえばそうなのですが、そうした状況下で冷静な判断が出来なくなってしまう人の哀しさ、というものも少し感じてしまいました。
また日露戦争を続ける上での海外からの資金援助に苦労する日本軍の上層部や、人種問題から日本に援助するユダヤ人の存在など日本が対外的にいろいろ動いている姿も印象的でした。
そして資金援助を得るために戦争の結果を海外にアピールしたり、人種問題の存在を実際に肌で感じたりと、日本が海外に出ていく中で新たな価値観にぶつかっていく姿も読んでいて面白かったです。
こういうのは教科書では全然教えてくれないところなので、こういう裏側的なところが読めるのが歴史小説のいいところだよなあ、と改めて思いました。 -
3巻と比較して、戦況に大きな変化がなかったためか、人間味のある話題が少なかったためかわかりませんが、極端に読むスピードが遅くなりました。6日かかりました。
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司令官 乃木希典は尊敬する人物だったのに日露戦争でこんなにも無能だったと初めて知った。
参謀長 伊地知幸介はさらに輪をかけた人物。
無能であることをわかりながら交代させない大本営は無責任。
人命の尊厳さを無視している愚かな人々。
絶対服従するしかない兵士にとって上層部がどんな方針をたてるかがいかに大事か。
陸軍は太平洋戦争でも同じ過ちを犯した。
学習していない。 -
4作目。
主に日露戦争の話。
非常に興味深く、いかに激戦であったかが伝わってきた。
続きが早く読みたい。 -
日露戦、黄海海戦、旅順の攻防など。著者の旅順戦に対する参謀伊地知へのこれでもかという批判はややくどいという感を持つ。
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日露開戦初期、両国の総司令官および各級司令官を丁寧に対比している章。
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黄海、遼陽、沙阿、そして旅順。激戦に次ぐ激戦。物資が枯渇する中生命をふりしぼって多くの兵士が大陸に倒れていく。どんどん辛くなってきました第4巻。それにしても旅順の乃木隊には苛立つ。平和時であれば無能は罪悪にはならないが、戦時や緊急の場では罪悪であり害悪であることが強く感じられます。今現在の無能な政府を思い返さずにはいられません。すぐれた小説は多くを学ばせてくれるものです。
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ひたすら日露戦争のお話。
日本の陸軍の旧態依然さにところどころイラッとしてしまうし、
秋山兄弟はあまり出てこないし・・・
考えさせられはするけれど楽しんで読んではいなかったと思う。
戦争はいやだな。