新装版 坂の上の雲 (5) (文春文庫)

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著者 : 司馬遼太郎
  • 文藝春秋 (1999年2月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167105808

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新装版 坂の上の雲 (5) (文春文庫)の感想・レビュー・書評

  •  ようやく旅順陥落の5巻

     乃木に代わってやってきた児玉の漢っぷりがかっこよかった巻に尽きるかなあ、と個人的には思います。師団の参謀たちを叱り飛ばし、それでいて長年の友である乃木への気遣いを忘れない。そんな姿がかっこよかったです。

     旅順陥落後の日本軍とロシア軍の会談の場面も印象的でした。戦時下の将軍同士の会話なんて、もっとぎすぎすしたものかと思っていましたが、
    お互いに相手のことを認め合っている節があって、兵器が戦争の主軸になり始めた近代の戦争と違ってまだわずかながらも、戦争に情のあった時代だったのかもしれないですね。

     また停戦後日本兵とロシア兵が抱き合ったり酒を酌み交わしていた、という記述が印象的でした。勝利も敗北も関係なく、戦闘が終わったという解放感からの出来事と書いてあるのですがそれが真実だとすると、改めて戦争って何なのかな、と思ってしまいます。

     説明的記述がまた増え始めてきたのが少し辛いところですが、ロシアの石炭事情や外交事情などいろいろな見方がされていてそちらも興味深かったです。

  • …かわいそう、バルチック艦隊…!


    私の中では、今までバルチック艦隊は絶対無敵だったので、どうやって日本軍は勝ったんだろう!と思っていたのですが…


    結構、ぐずぐずな組織…!



    あと、「国家」「兵隊」「指揮官」を司馬遼太郎がどのように考えているか、一番現れている(5巻までしか読んでいないので、あれですが)のではないかと思いました。

  • やっと五巻目読了

    司馬遼太郎の作品はこれが初めてなんだけどいったいどこまでが史実に基づいているのだろうと思うくらい司馬史観がダイナミックに描かれている。

    中学高校の歴史で少々触れた程度の日露戦争がどれほど重要な国防戦争であったのかまじまじと実感させられます。

  • 坂の上の雲〈5〉 読了。
    遂に旅順開城。一万人以上の戦死者を出した激戦のやりとりがよく分かる。児玉源太郎、乃木希典、伊地知幸介…様々な考えが交錯しながら作戦が進行していく。司馬遼太郎の考えと、実際は異なる部分もある(賛否両論あるようだ)のだろうが、明治の軍人たちの考えが伝わってくる。

    この巻で印象的だったのは、ステッセルの降伏から戦場に攻撃停止命令が出たとき、

    「狂うがごとく、この開城(厳密にはまだ開城ではない)をよろこんだ」

    というシーン。ロシア兵も日本兵も抱き合いながら喜び、酒を酌み交わしたという描写が描かれている。

    実際に戦場で戦っている人間にとって、戦争は利益などないのだろう。凄惨な戦争を早く終えたいと願いながら戦う。国家の感覚と戦場の感覚は大きく異なるのだと思う。

  • おすすめ度:90点

    旅順攻略をしたことから日露戦争の英雄とされている乃木希典が、実は全くの無能であったことがよくわかる。
    乃木軍のあまりの無策さから、児玉源太郎が一時的に秘密裡に指揮をとったことで、二〇三高地の奪還を成し得ることができた。
    むしろ、乃木の、鉄壁を正面から攻るというその無能さによって、日本軍はおびただしい血を流しつづけてしまっているのである。
    それにしても、名も無き兵士たちの、その純粋なまでの日本人にとっての武士道、ロシア人にとっての騎士道の精神が身に染みる。

  • 日露戦争も佳境。
    これだけ詳しく日露戦争についての記述があるということに感激した。
    いよいよ終盤に入っていくのだろうか・・・?
    続きが楽しみだ。

  • ついに旅順要塞が陥落。
    思うに乃木さんは、武人としての精神は明治軍人の典型であるし、一軍を率いる器に足る人物である。一軍の司令官は日頃はドンと構え、部下に完全に任せ、部下がやりやすい環境を作ることある。旅順攻略で悪かった点として、参謀長の伊地知があまりに無能である点、戦局が悪くなったときにも参謀長に任せっきりになったことであると思う。大山厳が言った通り、負け戦になったら自分が全ての責任を負うべく、その決定指揮をすべきであった。

    この時期の日本が良かったのは、強国ロシアに向かい合うときに、事実を事実として受け入れ、戦略に賭博的作戦を極力排したことであるだろう。それは設立まもない軍隊と当時の弱小国ならではであり、対するロシアのように全てが官僚的腐敗がなかった。
    皮肉なことに日露戦争後には初期の旅順攻略のような精神性に頼った作戦遂行を重視するようになり、軍の体質も官僚的に腐敗することになった。

    ここにはどこか日本人の民族的な性質の弱点があるような気がする

  • 旅順陥落。壮絶な戦闘が繰り広げられる中、勇気、驕り、臆病、妬み、自己の立場を守る姿勢などによって戦績が大きく変わった。

  • ついに旅順が堕ちる。児玉源太郎による指揮権の借用によって数万人の犠牲者を出した旅順作戦が。どうしても今回の東日本大震災でお亡くなりになった方と数を比較してしまう。それを遥かに上回る人為的な死者の数であった。
    203高地での激戦、旅順略奪までの話は非常に読みやすかったし、熱くもなった。児玉と乃木の指揮権委託に関する話、203高地から眺める旅順港、水師営でのステッセルの早すぎた降伏、そして念願の日本の艦隊の帰港。
    以後、バルチック艦隊の喜望峰、マダガスカル島への航海の話に展開していく。そこにおいてはじめて日英同盟の威力を目の当たりにする結果となった。
    そして黒溝台で秋山騎兵の活躍へと移っていく。主人公が当初の三人から日露戦争そのものに移り変わっていっている。司馬遼太郎の目で日露戦争を遠くから観ている気持ちに陥った。学校の授業では学ぶ事のできなかった戦争の悲惨さ、明治の日本人の考え方を感じ撮る事ができる。少なくとも現代とは死の考え方が全く違うという事。たった100年と少し前の話であるというのに。
    また、今と違って情報というものがそう簡単に伝わらない、その中で個人個人が動いていかねばならない、そして情報が伝わらないからこそ生まれる戦後になってからわかる奇蹟の積み重ねが何ともいえない神秘的さをこの戦争から感じた。
    しかしながら第5巻は少し読むのがしんどかった。。。

  • 旅順の陥落、バルチック艦隊の東征など物語も佳境。

  • 二〇三高地の激戦は電車の中で涙しました。児玉源太郎をはじめとする多くの日本人の努力や乃木や伊地知の自分の考えへの執拗なまでの執着。多くの人間模様が描かれています。

    そして、日本は日露戦争に勝つことになりますが、それは、ロシアに勝ったのではなく、ロシアの官僚主義が自ら負けにはしってくれたからのようなものだからということもわかりました。

    「大国に戦争に勝った」「我々は強い」

    このことだけが一人歩きし、この後の太平洋戦争へ繋がっていくのかなぁと一方で悲しくもなりました。

  • 6月14日読了。日露戦争が続く中、児玉源太郎が旅順に赴きニ〇三高地を奪取し、バルチック艦隊ははるかヨーロッパ・アフリカ大陸を迂回して極東の地に迫り、満州の地ではコサック騎兵隊が秋山好古の騎兵隊に攻めかかり・・・。有能・無能、好戦的・消極的と様々なタイプの軍人が現れるが、運不運や外的要因は多々あれど、その戦果を決するのは目的/優先順位を明確にすること、決断し迷わないこと、決断のための正しい情報を収集すること、に尽きるのだなと思う。日本(と秋山兄弟)びいきの物語ではあるが、ロシアにも勇猛・優秀な将官が多数現れ、両軍の戦闘場面にはなかなかに血湧き肉躍らされる。外国に勝つ(戦争も経済も)ためには、相手の欲しいものを把握した巧みな外交が不可欠なのだなあ。

  • ようやく旅順陥落。読むのに時間かかりすぎて色々展開を忘れてしまった。思い出しながら残りを読み進めようと。
    しかし、この時代の人たちの精神力の強さには本当に感服する。

  • 「ロシア兵は保塁上に全身をあらわし,たがいに抱き合って踊っているかとおもうと,一部の戦線にあっては,日本兵も壕からでてたがいにさしまねき,両軍の兵士が抱き合っておどるという風景もみられた。・・・『負けてもいい,勝ってもいい。ともかくこの惨烈な戦争がおわったのだ』という開放感が,両軍の兵士に,兵士であることをわすれさせた。このまだ交戦中であるはずの段階において,両軍の兵士がこのように戯れながらしかも一件の事故もおこらなかったというのは,人間というものが,本来,国家もしくはその類似機関から義務付けられることなしに武器をとって殺し合うということに適いていないことを証拠立てるものであろう。・・・この光景がありえたというのは,まだ戦争にモラルが存在した時代であったからということもいえるし,さらにはこの旅順攻防戦が,人間がそれに耐えうるにはあまりにも長く,あまりにも悲惨であったからともいえるであろう。」

  • 満州軍総司令官クロパトキン、旅順要塞司令官ステッセル、バルチック艦隊司令長官ロジェストウェンスキー、乃木希典ら指揮官のとった行動と、その行動の根拠となるその人物たちの思想に向けられる目は、さらにその思想の背景たるその時代や彼らの国家や民族の価値観を踏まえて評される。時代の中のその人物を見る目はまさにジャーナリストだ。

  • 全8巻の坂の上の雲もいよいよ後半戦。本巻は、203高地攻略、旅順占領、黒溝台会戦の途中までが描かれている。203高地攻略は読んでいて清々しさを感じるし、ロシア軍が降伏し旅順を占領した記述は一読者の身ながら達成感が満腹だった。しかし、日露戦争はまだ終わらず、黒溝台会戦に突入していき、また戦争モードに戻されてしまった。そして忘れてはならない、ロジェストウェンスキー司令長官率いるバルチック艦隊。いまだアフリカ大陸のマダガスカル島にいる。ダメキャラ全開で哀れ過ぎて同情したくなるほどだ。
    本巻では主人公の秋山兄弟の記述はほとんどなく(もう一人の主人公:正岡子規は3巻で死去のため影も形もない)、まるで日露戦争記といった感である。

    以下に、興味深いシーンを列挙したい。

    「諸君は昨日の専門家であるかもしれん。しかし明日の専門家ではない」
    →児玉源太郎が参謀本部で怒鳴った論である。児玉の言わんとすることは「専門家に任せきりにしてしまうと、出来ない理由を並べ立てられ実行に移せない。専門家の言うことばかり聞いて保守的になってはいけない」ということだ。専門家の諫言ばかり聞いて、中々203高地を攻めない乃木希典にそのままあてはまるため、児玉は乃木を説得しに旅順に向かったのだった。

    「豊島は物を知りすぎているから、そう思ったのだろう。わしは何も知らんから、敵に撃つ余裕を与えぬほどに、こっちが撃ち続ければよかろうと思ったのだ」
    →同じく児玉源太郎の言葉だが、上記と同じ論理である。知らない者であればこそ、怖いもの知らずで行動が出来るということだ。

    「いくさは何分の一秒で走り過ぎる機微を捉えてこっちへ引き寄せる仕事だ。それはどうも智恵ではなく気合いだ」
    →これも児玉源太郎の言葉。いくさでも仕事でもスポーツでも、勢いの重要さは否定できない。

    「冬季はロシア軍は動くまい」
    →満州軍総司令部参謀の松川敏胤が、黒溝台会戦前に放った固定概念である。「この厳寒時に、大兵力の運動はとても行えるものではない」というのが唯一の理由である。戦術家が、想像力を一個の固定概念で縛り付けてしまうことは最も残念なことだが、長期の疲労か、情報軽視からか、それを冒してしまった。ロシアがナポレオンの常勝軍を本国に引き入れて撃破したのは、冬将軍とも言われる冬季を利用したからに外ならない。こうした戦史上の習性を知らないため、黒溝台会戦では思わぬ苦戦を強いられてしまう(結局は勝利したのだが)。これを児玉が同意してしまった点が残念でならない。児玉は本書の中で好きなキャラの一人であるのに。しかし、長いくさで疲労し、麻痺した部分もあるのだろう。優秀な人間も失敗するというのも、人間らしくていいじゃないかと思えてきた。

  • ポイント
    ドイツの陸軍vs海軍
    旅順降伏時の双方の人間的喜び
    総司令部の、「ロシアは冬に攻撃しない」という固定観念

  • 人々が純粋で従順だったことは決して悪いことではない。
    それを「物を知らないから」だとか「洗脳されてたから」だとかで下位に観た言い方をするのは好きじゃない。
    そういう純粋な人々に対して碌でもない使い道を思いついた奴らこそ下位だと思うけど、「そういう時代」「そういう思想が普通」だったんだと言われたらそこがまた100年後の私たちが善悪をどうこう言えるものでもないので余計に難しい。
    ただ、いずれも実際に過去には存在していたことなので四の五の言うことこそ野暮なのかもしれない。

  • 【概要】
    懸案の旅順は、児玉源太郎が異例ながら乃木より統帥権を穏便に一時借用(剥奪)して指揮し203高地をわずか数時間で奪取。観測所を設け旅順港内のすべての艦隊を撃滅したことにより戦線が一気に好転。敵将ステッツェルの保身意識の高さから露が降伏し、水師営にてステッツェルと乃木との会談に至る。
    一方で、バルチック艦隊は喜望峰を回航しマダガスカル島北端に到着する。この間、日本の同盟国である英国が海域を脅かし、さらには戦局の旗色が悪いことから露の同盟国であるはずの仏が、仏領港での石炭載積作業に難渋を示す。また、旅順陥落の悲報にロジェストウェンスキーの当初の戦略である、2倍兵力による東郷艦隊撃滅の素地が崩れる。露に遺してきた老朽艦隊が応援として差し向けられるに留まり、来る海戦での敗戦がほとんど予想されるに及ぶ。
    冬営していた沙河戦線では、連勝気分と極度の寒さから、児玉ら作戦参謀が「この寒さで露が攻めてくるはずがない」という根拠のない思い込みに至り、好古の報告する敵情をことごとく黙殺する。クロパトキンらは地道に兵力を増し、グリッペンベルグ率いる軍が南下して日本の弱点である最左翼に迫る。さらに奇襲軍が日本戦線の後方を脅かす。
    一方好古下の永沼挺身隊および谷川挺身隊も、露後方を脅かすため遥か北上している。特に永沼は冷静かつ柔軟な采配により、露の鉄橋爆破に成功。いずれも小部隊での北進であったが、露側が一万の大部隊と誤認したため、クロパトキンの判断によりミシチェンコ騎兵が後方の戦線に下がることになり、予想外の効果をもたらした。

  • 人間臭いしがらみとこだわりとが錯綜しながら戦争は続く… 人の死がぞんざいに扱われるのが戦争。

    死の部分に目をつぶって読んでみれば、普段の会社生活でも同じ様な事があるって感じる。

    目的意識をクリアにもって、俯瞰して冷静に作戦を練って実行することがどこまで出来るか?

    中高年サラリーマンにとっては、切実な思いも錯綜するんでは無かろうか…

  • いよいよ第七師団投入、からの旅順陥落。

  • 旅順の戦いが終了し、乃木希典が今も名将として名が残っている理由も判明。
    ロシア軍の滑稽さと悲痛さが中心の巻でした。

  • 2017.04.04読了。

  • 二〇三高地~黒溝台

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強靱な旅順要塞の攻撃を担当した第三軍は、鉄壁を正面から攻めておびただしい血を流しつづけた。一方、ロシアの大艦隊が、東洋に向かってヨーロッパを発航した。これが日本近海に姿を現わせば、いま旅順港深く息をひそめている敵艦隊も再び勢いをえるだろう。それはこの国の滅亡を意味する。が、要塞は依然として陥ちない。

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