新装版 坂の上の雲 (6) (文春文庫) (文春文庫 し 1-81)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167105815

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  • 明石元二郎による諜報活動

  • 本巻では陸の黒溝台会戦、海のバルチック艦隊の冒険、そして革命直前のロシアが描かれる。

    日露戦争の勝敗を決めたのはロシア国家が国として機能しなかったことに尽きる。皇帝や将軍らが守っていたのは国ではなく、自身の地位と身分。そのためには味方を落とし入れることも辞さないし、情報を独り占めしようとする。

    対照的に、日本の弱点は情報を重視しないこと。秋山好古率いる騎兵部隊や情報やロシア外交員から送られる敵国情報を軽視。さらには騎兵部隊を最も適さない陣地防御に使うなど、戦争の常識も無視。

    自身に関わる情報だけを必死に収集する官僚組織と情報を絶ち経験と感覚に頼る筋肉組織の対決が展開される。そんな争いとは違う世界でバルチック艦隊はフラフラと漂いながら、我が道を行く。この対比こそ、この小説のおもしろさ。

  • 黒溝台の戦における日本軍総司令部の愚劣さが
    (多少誇張はあると思いますが)描かれており
    どうなるのか冷や冷やする出だしでしたが
    露軍も日本以上の愚劣さを発揮してくれて
    何とかなったという印象が強かったです。

    他には明石元二郎のロシア国内の革命勢力への刺激という
    大諜報が描かれており、その暗躍振りに心底驚嘆しました。

    それ以外の部分では海軍では日本海会戦への準備
    陸軍では奉天会戦に向けた準備が描かれており
    話はあまり進んでいないような気がするのですが
    クライマックスに向けて盛り上げていく巻なのかなと思います。
    日露戦争では日本が勝ったということは分かっているのにも
    関わらず全く気の抜けない展開で続きも楽しみです。

  • 黒溝台会戦勃発前の日本軍の悪手から奉天会戦直前までの第六巻。黒溝台では司令部の判断力欠如を現場の軍人が補う恰好で、この戦いが本当に綱渡りな勝利であることがこのエピソードでも語られ、この大戦で負けた場合の日本の今日を考えると寒々とします。
    明石の諜報作戦、バルチック艦隊、ロジェストウェンスキー航海も読みごたえあり。特にバルチック艦隊は前巻よりじわじわ進んでおり海戦の章が不謹慎ながら楽しみになってきます。最終的に日本が勝つとわかっているので安心して読めるが、愛国心をもって読んでしまいます。秋山兄弟の出番は薄く児玉源太郎など首脳陣達の人間ドラマが楽しめます。

  • 日露戦争は一旦小休止し、ロシア艦隊の停滞振りと、日本軍の満州決戦準備に多くの頁が割かれているので、全体的に動きがなく中弛みの印象。

  • 2017/07/13

  • 2017.04.14読了。

  • 黒溝台会戦~奉天会戦

  • 前巻からもうずっとやけど、こんなに危うい状況で、作戦をたてて邁進した人たちのことを思うと、心臓がいくらあっても足りない。
    その各々のことを事細かに伝える司馬遼太郎はほんまにすごい。
    事細か過ぎてやっぱり上滑り。笑
    あと2巻!あとちょっと!

  •  トリビアというか著者の蘊蓄が彼方此方で叙述される。なかなか面白いし、よくもまあそんな小ネタを仕入れているものだなぁと感嘆。
     鉄甲弾の技術進歩と日露の特色、喫水線以下の軍艦の形状等々。

     陸軍は黒清台会戦から奉天会戦へ。
     海軍はバルチック艦隊東征の続き。
     そして、明石大佐による諜報、ロシア国内での紊乱活動が描かれる。

     この巻だけ保持継続しようか?

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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