新装版 坂の上の雲 (7) (文春文庫) (文春文庫 し 1-82)
- 文藝春秋 (1999年2月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167105822
感想・レビュー・書評
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奉天会戦で薄氷を踏むかの如き勝利を得た日本であるが、それは日本軍の善戦もさることながら、露軍側、特にクロパトキンの稚拙な戦術眼、官僚的保身によるものであった。
バルチック艦隊はベトナム沖で第三艦隊との合流のため漂泊を続け、これまでと同様、船員の士気と体力を奪っていた。一方、日本側ではバルチック艦隊の航路が太平洋側からまわるのか、対馬海峡を通るのかの議論で秋山真之と第絵本営は右往左往するも、東郷平八郎は対馬で一点張りをしていた。この一貫した態度が、東郷の以後の名声をより高めたと言われているらしい。そして、哨戒艦信濃より有名な「我敵艦見ユ」との通信が入る。いよいよ、日本海海戦というところで本巻は終わる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
指揮官の能力不足は救えないが、追い込まれたときの判断能力低下もある。
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日露戦争の地上戦はいよいよ大詰めの奉天会戦。戦力で圧倒するロシア軍だが、総指揮官クロパトキンは石橋を叩いても叩いても渡らない臆病な男。彼は日本軍の戦力を過剰に見積もり、無意味な退却を指示するだけだった。一方、海上のバルチック艦隊長ロジェストヴェンスキーは情報を独占し、周囲の意見も聴かないし、軍事会議も開かない。自分は死なないという根拠なき自身が彼を増長させる。
日本が日露戦争を勝利できたのは、このロシア陸海軍のトップ2人の無能さと、上司からの命令は絶対とするロシア官僚制度のおかげだ。
それはともかく、ついに舞台は日本海海戦へ。バルチック艦隊がやってくるのは対馬海峡か、太平洋周りか。日本軍、政府の意見が交錯する中、日本の連合艦隊司令官、東郷平八郎はズバリ言う。「それは、対馬海峡よ」。
ロジェストヴェンスキーと同じく根拠なき自信なのだが、あまりに説得力があるのは2人の器の違いなのか、作者の表現力なのか、読者には結果がわかっているせいなのか。次巻ではこの両国の艦隊長の違いが勝敗を決定づけるんだろう。 -
奉天での会戦からバルチック艦隊が日本海ち差し掛かるまでの7巻。クロパトキンの愚策により日本か辛勝する描写は克明で説得力がある。数々の幸運が今日の日本を救ったのであり、そうでなければロシアに取り込まれたであろうことを考えると感謝の念にかられる。
バルチック艦隊のロジェストウェンスキーがいよいよ到来し期待が高まる最終巻。 -
陸戦もいよいよ大詰めに。
日本軍の強さではなく、ロシア軍の、しかもたった1人の将校の精神的弱さによって薄氷を踏む勝利があったとは知りませんでした。
これから始まる海戦も同じような雰囲気を感じます。 -
2017/08/01
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2017.04.22読了。