新装版 坂の上の雲 (8) (文春文庫) (文春文庫 し 1-83)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167105839

感想・レビュー・書評

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  • いよいよクライマックスで、この巻を読むためにここまで来たのだと思う。
    日本海海戦がここまで圧勝とは知らなかったので、清々しさも感じた。
    終わり方があっさりしているのは、この本についてはそれが良いと思った。それにしても超大作だった。

  • この世における最後の万歳を唱える。で、泣いた。
    終わってしまうのが名残惜しい作品。

  • 新生国家日本と巨大軍事国家ロシアの極東における攻防を描いた作品でしたが、始めから終わりまでその内容に釘づけになりました。本当に楽しく読めました。
    また、いろいろな本を読んで今より広くて深い教養が身についた時に読み返してみたいです。
    その時、この作品の中に新しい発見があることを楽しみにしています。

  • 久々の小説にも関わらずこの大作を選んだのは、目下のロシア情勢もあって近現代史の勉強になればと思って手に取った。
    調査〜執筆に10年かけられたこの大作は、司馬史観という言葉もあれど一つの史実と受け止めている。ロシアという国家の歴史をふまえ、なるほど今の侵略戦争も歴史の繰り返しなのだと納得する。
    加えて、明治維新という激動の時代は密度の濃いものであるが、清国のように列強に侵略されまいともがき、ひたすらに上を目指す日本人の強さが輝いた時代の一つだったのだろう。
    停滞感と閉塞感のある今の日本人が、先人に学ぶべく読むべき必読書である。

  • 日清日露を駆け抜けてきて、それがとうとう終わり、切ない気持ちになった。好古や真之、子規の生き様を感じることができた
    日露戦争って日本人からすると自国防衛だけど、今後の各国の動きを左右するような戦争で、世界中から注目されてたんだな

  • 坂の上の雲(8)

    日露戦争については神話的に語られることが多いが、司令官たちの評価についてイメージが変わることが多かった。
    そして、この勝利について参謀本部は自分たち自身で「日露戦争史」という、ただ出来事と数字だけを書いた何も役に立たないものを残した。
    しっかりと分析と評価を書き込んだものを残しておいたのなら、
    その後の昭和陸軍の愚行のようなものはなかっただろうと司馬遼太郎はあとがきでも語っている。
    彼自身は直接、戦争そのものを否定する記述はなかったが、悲惨な戦争の描写と主人公の1人、真之がその後、精神世界に傾倒していったことで、戦争の狂気の面も描いている。
    戦争は勝った国も狂わせる。

  • とても面白かった。
    ロシアという国がなんとなく分かった気がする。
    当時の日本の雰囲気もよく想像できた。

  • 明治を描くのにこれ程よい舞台はないと思わされた。秋山真之と正岡子規、この二人は世界は違えど明治人の偉大さを示した。

  • 日本海海戦のくだり、夢中になって読みました。解説つきで記録映像を観た気分です。また、登場人物の活動も生き生きとしており、惹き付けられます。個人の伝記も読んでみたいです。

  • 遂に最終巻。バルチック艦隊との激戦は圧巻だった。と言うかここに至るまで読み進めた事によって、日露戦争に日本が勝利した理由や背景などを知る事が出来た訳ですが、その後日本が辿る道のりを思うと胸の痛む思いだった。
    ただ、『日本史をどのように解釈したり論じたりすることもできるが、ただ日本海を守ろうとするこの海戦において日本側がやぶれた場合の結果の想像ばかりは一種類しかないと言うことだけはたしかであった。日本のその後もこんにちもこのようには存在しなかったであろうと言う事である。』とある様にこの様な歴史、犠牲の上に今自分が生きているのだと言うことを思い知った。
    また、勝利後の武人達の言動や心情には、戦争がもたらす無意味さ、無念さを改めて痛感し、度々目頭が熱くなった。
    例えば無口な東郷が病床のロジェストウェンスキーにかけた言葉。
    『はるばるロシアの遠いところから回航して来られましたのに、武運は閣下に利あらず、ご奮戦の甲斐なく、非常な重傷を負われましたー略ーご同情つかまつります。われら武人はもとより祖国のために生命を賭けますが、私怨などあるべきはずがありませぬ。ねがわくは十二分にご療養くだされー略』
    真之が正岡子規の墓前へ足を運ぶ最終章を経て、これだけの長編小説を完成させた著者の思いと言うのが伝わった。著者への敬意の気持ちを込めて、あとがきの一部分を残しておきたい。
    『敗戦が国民に理性をあたえ、勝利が国民を狂気にするとすれば、長い民族の歴史からみれば、戦争の勝敗などというものはまことに不可思議なものである』
    常に忘れてはならない理であると、胸に刻みたい。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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