昭和史発掘 (4) (文春文庫)

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著者 : 松本清張
  • 文藝春秋 (1978年8月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167106348

昭和史発掘 (4) (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 1978年刊行(初出65〜66年週刊文春)。①「天理研究会事件」②「『桜会』の野望」③「五・一五事件」。◆②③は何れも、昭和戦前期、独善的な視野しか有しないことに無自覚なまま、暴力と暗殺という極めて短絡的な手法で、自己主張を通した軍人・右派・右翼テロリストを描述。特に②は、橋本欣五郎陸軍中佐を観測定点と定め、1931年(昭和6年)の、宇垣擁立・三月事件、満州事変、十月事件を解読。また③は流れに新奇はないが、北一輝・西田祝対大川周明の構図、牧野伸顕内府と大川の関わり等、右翼の内ゲバに関する理解不足も痛感。
    加え、牧野暗殺を大川が押し留めた可能性に至っては…。ホンマでっか?◆が、②③よりも驚いたのは①。天理教の分派兼闘争相手たる天理研究会(天理本道)主宰大西愛次郎が不敬罪・治安維持法違反に問われた件。大西は「天皇のみならず、一般の我々も祖先を持つ以上、悉く一系(万世一系の普遍化。生物学的には当然)」「今の天皇は皆と同様人間(天皇神格化の否定)」と大真面目に説き続けた人物だ。この点、S3年大審院は心神喪失で、下級審の有罪を破棄し無罪判決。が、S13年の、二度目の大西の逮捕・勾留は、S20年終戦後まで続いた。
    その7年余りの間には、一審有罪判決が下されただけで、控訴審の審理中に終戦になり、しばらくして釈放・無罪という過程を経ている。公判過程が明確でないものの、未決勾留が7年余りも続き審理の停滞すら想起できる状況も問題だが、大西が勾留中でありながら確信的に教義を貫徹したのも、別の意味で吃驚させられた。

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